ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上士幌

75件の記事があります。

2008年07月08日色とりどりの世界

大雪山国立公園 上士幌 石村 梨紗

 先日トムラウシ山に行ってきました。
あちらこちらで雪が溶けたところからぽつぽつと小さなかわいらしい花が目立ち始めていました。
 ピンクや白色をしたかわいい花のミネズオウ、白いイワウメ、クリーム色のキバナシャクナゲ、名前の通り黄色い色をしたミヤマ・メアカンキンバイ、紫色をしたエゾオヤマノエンドウや雪溶け一番に咲くショウジョウバカマの花。目立たないけどよくみると小さなかわいいウラシマツツジやコケモモの花もみられます。
 また、花に負け劣らず美しいものがありました。それは葉っぱです。赤やオレンジをした丸い葉っぱの織りなす絨毯はまるでお花畑のようにみえます。風雪に耐えるために抗酸化物質を出しているためこのような色になるのです。またその中にスポット的にある淡い緑色をしたハナゴケや出てきたばっかりの黄緑色のウラシマツツジの葉っぱのコントラストは見事です。
 今の季節どんどん花が咲き始めて花の種類も日ごとに移り変わり、辺りを色とりどりの世界に染めあげます。冬の単色だった山にどんどん色を加えていきます。
 また秋になるとナナカマドやウラシマツツジの赤や、イワイチョウの黄金色の作り出す鮮やかな色合い。そして餌を貯蓄するためにせっせと動き回るナキウサギやシマリスの姿が見られます。冬には雪の作り出す樹氷などといろいろな白が美しい情景を見せてくれます。
 この日は長く厳しい冬を乗り越えた生命のたくましさと美しさを見ることができました。
トムラウシは高山植物が豊富な山として有名ですが、花の色はもちろんのこと、葉っぱや雪、コケや地衣類、動物含め、いろいろなものが組み合わさり、混じり合って山に彩りを与えていることを強く感じました。
 山には一日として同じ表情はなく、登る度に山は私たちに新しい発見を与え、楽しませてくれます。次はどのような表情を見せてくれるか楽しみです。








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2008年03月07日アーチ橋

大雪山国立公園 上士幌 石村 梨紗

みなさん糠平のアーチ橋を知っていますか。
アーチ橋は旧国鉄士幌線で使われていた鉄道橋です。士幌線は農産物や森林資源の開発に貢献した鉄道で、1937年9月に上士幌~糠平間が1939年11に糠平~十勝三股間が開業しましたが、森林資源の枯渇と車社会の到来により、1978年に糠平~三股間が、1987年に帯広~糠平間が廃止されています。1000m進むと25m登るという急勾配と半径200mのカーブが続き、終着十勝三股駅は海抜661.8mと北海道の鉄道の中では最も高い位置にある本格的な山岳鉄道でした。特に音更川の渓谷に沿って作られたため、たくさんの橋を造る必要がありましたが、工事費を抑えるために現地でとれる砂利や砂を使って作ることのできるアーチ橋をかけることになりました。また、大雪山国立公園の渓谷美に似合った橋の形にしたいということもあったようです。

◆特にお勧めのアーチ橋◆
① 第三音更橋梁:鉄筋コンクリートアーチ橋としては32mと北海道一の高さを誇る美しい橋。桜の名所泉翠峡という景勝地にかかり元小屋ダムの静かな湖面に影を落としています。

第3音更川橋梁
② 第二音更川橋梁:音更川の断崖絶壁に沿った川を渡らない陸橋。とてもきれいな石組み護岸が続き、天然素材とコンクリートが自然と調和している美しい景観を見ることができます。
③ 第四音更川橋梁:音音更川に架かるところは36mの鉄の桁橋でしたが、今は撤去されています。残ったアーチ橋の上には木が生い茂り歳月を感じさせます。

第4音更川橋梁
④ 第五音更川橋梁:国道273号線から見える大きなアーチ橋です。10mの無筋コンクリートアーチが連続し、音更川をまたぐところには23mのものが作られています。
⑤ 第六音更川橋梁:国道から少し入ったところに架かる大きな橋。橋の下に降りることもでき、見上げる眺めは迫力があり、周囲の緑や険しい崖とのコントラスト、音更川の流れが心地いい。
⑥ タウシュベツ橋:ダムの水位が少ない一月頃から凍結した湖面に姿を現し、水位が上昇する6月頃から水に沈み始め、10月頃には糠平湖の湖底に沈みます。季節によって見え隠れするアーチ橋は日本でここだけです。幻の橋と言われる所以です。

タウシュベツ橋

みなさんも歳月と歴史が刻んだ美しいアーチ橋の姿を見に糠平に来てみませんか。
(冬の間は糠平湖でのワカサギ釣りもお勧めですよ)
※タウシュベツ橋へいく林道の入り口は現在通行止めとなっています。
※現在多くのアーチ橋が危険防止のため立ち入り禁止となっていますので、見学は立ち入らずに離れたところから気をつけて行って下さい。

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2008年02月13日再会

大雪山国立公園 上士幌 石村 梨紗

先日タンチョウの生息調査で大樹町生花に行ってきました。
十勝は北海道有数の冷え込みの厳しい地域で今日もとても寒かったのですが、いました、いました。川沿いに6羽。餌を探しながら下流に移動しているタンチョウの群れを発見。
生花は以前タンチョウを救出し、放鳥した場所です。スラリータンク(牛の肥だめ)で糞に混じったデントコーンを食べようとして落下し、助ける頃には虫の息だったタンチョウを網ですくい上げ、低下した体温をお湯で回復させながら洗い、ビニール手袋にお湯を入れて作成したお手製湯たんぽで覆いながら帯広動物園に搬送。元気になったタンチョウを放鳥する際、1時間の道のりを時々暴れて補定バンドから抜け出てしまうのを必死でなだめながら無事生花で放鳥。
その後無事に家族と合流できたと聞いていましたが、こないだ生花でタンチョウが車に轢かれて死亡するという事故が起きたりもしていて、元気にしているか気になっていました。
 タンチョウの群れの様子を望遠鏡で観察していると・・・。
冬の輝く白銀の世界に調和するかのごとく純白と漆黒の美しいコントラストをもつタンチョウの足下に金色に輝くリングが見えました。番号は066番。*
 「よかった・・・!あの時のタンチョウだ。」実に約2ヶ月ぶりの再会でした。やはり苦労して救出・放鳥した個体が元気にしているのは嬉しかったです。
 あのタンチョウは仲間達と一緒に川で餌をつついていました。
タンチョウは一時期乱獲などにより十数羽まで減少しましたがタンチョウに携わる方々の努力の甲斐あって現在着実に増加しており1000羽近くまで増えています。タンチョウは釧路の鳥というイメージが定着していますが、これにより最近は十勝でも見られるようになってきているのです。
しかし、まだ完璧に自力で生活できる個体は多くはなく、夏は十勝で過ごし、餌のない冬場は釧路に渡って給餌に依存するものも多くます。
そして、増加の一方人間との軋轢も問題になっており時折上記のような事故も起きます。さらに、増え始めたタンチョウが牛舎に侵入し牛の餌を食べてしまうなどといった被害は酪農家にとっては困った問題です。
現在のタンチョウは給餌などによって人との境界がだんだん近くなってきていますが、将来的にはタンチョウの住める環境を作ることによって人間の生活と隔離することが理想です。
またこれはタンチョウだけでなく他の動物にもいえることで豊かな森や湿原など私たちが傷つけてきた環境が現在の軋轢を作り出しているのであり、私たちは野生動物の住める環境を取り戻すよう努力していかなければなりません。
※環境省では保護増殖事業でタンチョウの個体識別のために標識番号の付いたリングを付けています。







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2007年07月02日ウチダザリガニ

大雪山国立公園 上士幌 石村 梨紗

6月19日?22日の4日間、然別湖でウチダザリガニ(2006年2月特定外来生物指定)防除を行いました。士幌町立西上音更小学校の子供達、名古屋市科学館の方、研究者、などの多くの方々の協力を得ての大イベントでした。
3日間での合計捕獲個体数は1359(♀461、♂898)個体。去年防除した5月末から6月初めより遅い時期に行ったため、水温が高いのと、カゴの数を2倍に増やしたために、去年の防除結果である187個体の約7倍という結果となりました。然別湖のウチダザリガニは、去年1年間で2458個体も防除をしたのになかなか減少せず、去年の春より生息水域が広がっているとのことで、個体数を減少させるのはとても大変です。
 また、以前、然別湖ではニホンザリガニの佃煮が売られていたというほどにニホンザリガニがいたのですが、ウチダザリガニの侵入によって、1匹も見られないほどに減少してしまったのです。ウチダザリガニは最大のものは15cm以上(ニホンザリガニは最大でも7?8cm)で卵の数も100?500個(ニホンザリガニは20?80個)と一度定着してしまうとあっというまに分布を広げてしまうのでニホンザリガニとっては脅威です。

ウチダザリガニがニホンザリガニに与えると懸念される影響
・在来種のニホンザリガニを捕食
・ニホンザリガニと巣穴を巡っての競合
・ニホンザリガニへのザリガニペストの媒介

他にも然別湖にはオショロコマの湖固有亜種であるミヤベイワナが生息しており、生息域の一部は北海道の天然記念物として保護されています。ウチダザリガニの増加はこのミヤベイワナの魚卵も補食される可能性がでてきます。ミヤベイワナの卵が産卵されるヤンベツ川へのウチダザリガニの侵入は避けたいものです。

さて、そのウチダザリガニを、防除終了後にゆでてみなさんで試食しました。
気になるお味は・・・おいしい!!!
参加者のみなさんが美味しそうにザリガニを食べる光景が見られました。怪獣みたいなウチダザリガニを食べるのを怖がっていた子供も、一口食べてみると「ハサミが美味しい!」とにっこり。※なんと、このウチダザリガニ、フランス料理の高級食材としても取り扱われています。
やはり、人間が増やしてしまったものは人間が取り除かなければなりません。駆除するとはいえ命あるもの・・・ただ殺処分してしまうより食べられるものは食べたほうが命の重みが感じられますよね!

外来種はまるで悪者のように感じてしまいますが、真の悪者は持ち込んだ人間なのです。そのためにも、絶対に家で飼っている外来の生物を野外に放したりしないで下さい。 また、特定外来生物に指定されたものは、捕まえて家に持ち帰ったりするのも、特定外来生物の移動が法律で禁じられているので、法律違反になってしまいます。
皆さん、このような例を増やさないためにも、かわいいからといって衝動飼いをせず、飼う前によく考え、飼った以上ペットは責任をもって最後まで面倒見るようにしましょうね。。。




ウチダザリガニ

子供達はウチダザリガニに興味津々

茹でたウチダザリガニはおいしい!

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2007年05月25日小さな侵略者

大雪山国立公園 上士幌 石村 梨紗

 4月から上士幌自然保護管事務所でアクティブレンジャーとして勤務している石村梨紗です。
 まだまだ未熟者ですが、日々勉強しながら、十勝の豊かな自然のフィールドを通して様々なことを学び、自然の魅力を皆さんに発信していくことができればと思っていますので、どうぞよろしくお願いします。
 
 さて、あんなにあった山の雪も溶け始め、森ではエゾエンゴサク、ヒメイチゲなど可憐な春の花々(スプリングエフェメラル=春の妖精という言葉があります)が見られ始めた5月9日、士幌町でセイヨウオオマルハナバチ(以下“セイヨウ”)防除を行いました。
 セイヨウオオマルハナバチは、在来マルハナバチとの競合(セイヨウの方が強いため在来のハチが被害を受ける!)、盗蜜*による野生植物への影響、ダニなど病害微生物の持ち込み、雑種形成の可能性(在来とセイヨウの雑種には繁殖能力がなくなる!)などの生態系への影響が懸念されることから、2006年9月に特定外来種に指定されました。

*盗蜜=強いあごを利用し、花の根本に穴を開けて蜜だけ盗むため、植物の受粉の助けにならない

 4?6月頃にまでのこの時期は、越冬した女王バチしか見られないため、セイヨウオオマルハナバチの増殖を防除するには効果的な時期です。
 士幌町では1時間で25頭の女王バチが捕獲されました。在来種のエゾオオマルハナバチまたはエゾコマルハナバチも9頭近く目撃されましたが、やはりセイヨウの方が断然数が多く置き換わりが進み始めていると考えられます。(これに対して、然別の山の方ではエゾオオマルハナバチorエゾコマルハナバチしか見られません)

 一見かわいらしく見えるセイヨウオオマルハマバチも元々日本にいなかったハチであり、元々住んでいたハチ達を追いやってしまうなど在来の生態系を壊してしまう=いわば侵略者なのです。この状況が広がる前に早めの対策が必要となります。今、セイヨウオオマルハナバチの生態を研究し、防除しようという取り組みが進められています。セイヨウを捕まえるためにハチを調べたり、咲いている花々に目をむけることで新たな発見があるかもしれません。捕まえたハチは、生きたまま運ぶことはできませんので、必ず殺処分するか、フイルムケースにいれ、捕獲日・場所などを記載しまとめたのを東大の保全生態学研究室に送って下さい。
→送り先
〒113―8657
東京都 文京区 弥生1?1?1
東京大学 農学生命科 保全生態学研究室
担当 菊池 玲奈宛

 皆さんも、春の花々が咲く野外に出てセイヨウオオマルハナバチを捕まえに行きませんか。

?セイヨウオオマルハナバチ?
・ヨーロッパ原産
・体長は約10?25mm(女王バチは大きい)
・あざやかな黄色と黒の縞模様と、真っ白なおしりが特徴
・全国の温室の受粉昆虫(主にトマト)として利用。1992年より本格的に導入され、現在年間、7万巣が流通している。



春の妖精(ヒメイチゲ)


おしりが白いのが特徴!


エゾムラサキツツジとセイヨウオオマルハナバチ

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