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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

礼文島の花々がこれからも咲き続けますように

2022年09月15日
稚内 津田涼夏
みなさん、こんにちは。
礼文島アクティブ・レンジャーの津田です。

9月に入り、朝晩と冷え込むことが多くなった道北です。
早速ですが、今年礼文島で行われた外来植物の除去活動についてご紹介します。

まずは5月下旬、桃岩展望台コースの周辺でハルザキヤマガラシとセイヨウタンポポの除去活動を行いました。
ハルザキヤマガラシは5月~6月にかけて、礼文島内で見られる黄色の花を咲かせる植物です。毎年の活動の成果もあり、ハルザキヤマガラシは減少しているように感じました。一方、セイヨウタンポポはコンクリートの間に根を張る個体や、引っ張っても簡単に抜けないほど大きく成長してしまった個体が多く、一株抜くことにも時間がかかりました。
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除去活動の様子
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ハルザキヤマガラシ
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セイヨウタンポポ
8月中旬には、礼文島で環境省が管理をしている土地(環境省所管地)の中で、アメリカオニアザミとメマツヨイグサが多数侵入していたため、除去を行いました。
これまでは環境省所管地内で外来植物を見つけた場合、その都度除去を行っていましたが、これらの外来植物は除去が追いつかないほど広がりが早いため、急遽、集中的に除去行いました。
葉や茎にトゲが多く、ピンク色の大きな花をつけているアメリカオニアザミは、怪我をしないよう厚手の軍手を着用し、根元のトゲがない部分を持って力強く抜いていきました。綺麗な黄色の花を咲かせるメマツヨイグサは、アメリカオニアザミに比べると比較的抜きやすい植物です。夏でも涼しい礼文島ですが、この日は珍しく風がなく、太陽が照りつける場所での作業だったため、汗が止まりませんでした。
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アメリカオニアザミ
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アメリカオニアザミの葉
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メマツヨイグサ
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除去活動の様子
8月下旬、レブンアツモリソウ群生地の周辺で、ノラニンジンの除去活動を行いました。
この植物は現在礼文島内で一番勢いが強い外来植物かもしれません。道路脇、トレイルコース脇にもその姿は目立ちます。中でもレブンアツモリソウ群生地の周辺では、毎年ノラニンジンの群生地かと思うほど花が咲き広がっています。
増え続けるノラニンジンを、レブンアツモリソウ群生地に侵入させないよう、地道に周辺のノラニンジンの除去を行っていますが、昨年度の除去活動の時よりも、残念ながら数が増えている印象がありました。
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ノラニンジン
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広がるノラニンジン
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除去活動の様子

桃岩展望台コースには、礼文島特有の貴重な高山植物がたくさん生育しています。同様にレブンアツモリソウ群生地も貴重なレブンアツモリソウが生育していますが、外来植物の侵入によりこれまでの景色が変わってしまう要因となりかねません。
今年は3回に渡って外来植物の除去を行いましたが、自生の花々がこれからも咲き続けるように、地道な除去活動を続けていくことが必要だと改めて感じました。

外来植物とは?

元々生育していなかった場所に、人為的に持ち込まれてしまった植物のことです。(動物も同じです。)長い年月をかけて形成された食う食われるといった関係は微妙なバランスの上で成り立っており、そこに侵入することで生態系に影響を与え、私たちの生活を脅かす可能性もあります。礼文島の場合は元々生育してなかった植物が何らかの原因で持ち込まれて、繁殖をすると、礼文島の高山植物の生育に悪影響を与える可能性があります。
人為的に持ち込まれた植物たちですが、1度定着してしまうと、根絶するまで長い時間と労力が必要になるので、侵入初期に除去することが大切です。