ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2007年8月

21件の記事があります。

2007年08月17日自然大好き?

大雪山国立公園 東川 山下 なつ絵

    自然大好き?
8月5日の自然公園クリーンデーに、大雪山国立公園パークボランティア36名の方々と、層雲峡・然別湖・ウペペサンケ山・旭岳裾合平・富良野岳などの周辺で清掃活動を行いました。私が参加した富良野岳は花の名所として知られ、十勝岳連峰の中でも人気の高い山です。この日も歩き始めから、秋の訪れを思わせるエゾオヤマノリンドウやミヤマアキノキリンソウが歩道沿いを飾り、つい最近まで雪が残っていた場所ではエゾコザクラが遅い夏を迎えていました。山頂直下には、大雪山でも局所的にしか生育しないエゾルリソウがピンクと紫の花をもたげ・・花以外にも、ギンザンマシコやノゴマの美しい姿と歌声が印象的でした。さらに印象的だったのは、美しい高山植物に混ざって歩道脇のあちこちに咲くティッシュの花でした。美しい自然と調和出来ない白い物体は、使用目的が即座に想像できるということでも、目に入った瞬間、毎回ドキッとさせられます。
「自然大好き!」な方は、もちろん自分の物は自分で持ち帰っていると思いますが・・・

山頂までの清掃が終わり下山し始めた時、山頂直下のお花畑にキタキツネが現れました。
私の住む地域では、キタキツネは山の中だけではなく、公園に向かう道路上などでも頻繁に見かけますが、道路上に現れるキタキツネのほとんどは餌付けされたのか、それとも人間は餌をくれるものだと親に教わったのか、とにかく走ってくる車めがけて「餌くれ?」とばかりに駆け寄ってくるので、いつか轢きそうで怖いなと感じています(実際に轢かれて死んでしまうキタキツネもいます)。しかし、富良野岳で見たキタキツネは違っていました。多少人間慣れはしているものの、決して媚びることなく、野生の本能をむき出しにして、私たちの目前で狩りの仕方を実践で見せてくれました。それはまるで、自分で狩りも出来ない子供に優しく手ほどきするような感じ、それとも「人間の気まぐれに翻弄される気はないよ」とでも言っているのか。

自然も動植物も言葉を発しない分、そこから送られるメッセージは受け取る人によって様々ですが、汚さず、壊さず、近づき過ぎず、長く上手に付き合って行きたいものです。


エゾオヤマノリンドウ:在来のマルハナバチが花粉を集めていました。

花の名山、富良野岳:高山植物盗掘なども起きており、パトロールを強化しています。

キタキツネ:獲物発見!写真では判りにくいですが、あごが外れたのかと思うほど大口をあけて獲物に向かっています。目の前でネズミを2匹平らげました。

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2007年08月16日早朝おさんぽ観察会

知床国立公園 羅臼 佐々木 尚子

8月14日(火)から、羅臼ビジターセンターで、早朝おさんぽ観察会が始まりました。8月に入ってから、羅臼では珍しく30℃近くまで気温が上がる日もあり、涼しい早朝は観察会にぴったりです。
環境省で受け入れている実習生が来ていたので、学生を連れて参加することにしました。完全な夜型人間の私は、早起きは大の苦手・・・。朝、目覚まし時計と30分格闘し、何とか起き出して観察会へ向かいました。

観察会のコースは、有名な無料露天風呂「熊の湯」の駐車場を出発し、まず、知床横断道路(国道334号線)沿いを熊越の滝遊歩道入り口まで歩きます。そして、遊歩道を散策しながら熊越の滝を目指します。
出発前に、コース周辺で見られる花や鳥などの写真が載っている手作りパネルを配布し、パネルをヒントにみんなで周りを探しながら歩きました。
熊越の滝遊歩道の途中には、温泉が湧いていて、触れるところがあります。湧き出す温泉に、おそるおそる手を入れた参加者が「おっ!ぬるい・・・。」と一言。ボコボコと音をたてて湧き出ているのを見て、かなり熱いと思っていたようです(笑)。


ヨツバヒヨドリ、ミミコウモリ、ウツボグサなどの花やオトシブミの揺りかご、アワフキムシの泡を観察しながら歩くこと約50分、熊越の滝展望台に到着しました。滝のよく見える川の近くまで下りると、勢いよく流れ落ちた水が辺りに漂い、ひんやりとしています。川には、白い花を咲かせたバイカモが流れに漂い、オショロコマの泳ぐ姿も見ることができました。ここでは森の外の暑さも忘れ、ゆったりと過ごすことができます。


観察会は8月19日まで開催されています。皆さん是非参加してみてはいかがですか?きっと爽やかな空気の中で羅臼の自然を感じることができるはずです!

ボコボコと激しく湧き出す温泉

熊越の滝
運が良ければ、カワガラスの採餌風景が見られるかも!?

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2007年08月13日自然公園クリーンデー

支笏洞爺国立公園 支笏湖 西川 裕美子

毎年、8月第一日曜日は全国自然公園クリーンデーです。
ここ支笏湖周辺では8月5日(日)、支笏湖パークボランティアはじめ、支笏湖温泉街の皆さんや、千歳市・苫小牧市の企業やスポーツ少年団の方々、総勢120名もの参加協力をいただき、清掃活動を行いました。

前日までの台風の影響でお天気が心配されましたが、集合した時には雨もあがり、皆さん一生懸命に清掃活動に汗を流してくださいました。

今回私は、千歳市の企業の方々と一緒にポロピナイ周辺を清掃しましたが、木や笹の下にワンサカ落ちていました。
目立つものとしては、バーベキューに使用したであろう炭の箱、絡まった釣り糸や釣り針、空き缶・ペットボトル、某ファーストフード店の紙コップや包み紙。そして驚いたのは赤ちゃんのおむつ(使用済み)。
赤ちゃんは自分でおむつは履き替えられません。よって捨てるのは大人でしょう。
こんな親に育てられた子どもは、どんな人間に成長するのでしょうか・・・

また、今回の清掃活動には夏休みということもあって、幼児?小中学生といったカワイイ子ども達もたくさん参加してくれていました。
大人が捨てたゴミを拾っていた子ども達は、何を思い、何を感じたのでしょうか・・・?


心ない大人の捨てるゴミ。

そのゴミを拾う自然を愛している人たち。


あなたはどちらの人間ですか?





家族で清掃活動ボランティア

こちらも親子で

拾い集めたゴミ約200kg

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2007年08月10日外来種とのたたかい

知床国立公園 羅臼 石名坂 豪

 8月1日(水)。ひさしぶりによく晴れて、羅臼も暑くなりました。昼休みにチェックした海岸線の気温は、22度(笑)。ただ陽射しが強いため、冷たい海から少し離れた羅臼温泉(湯ノ沢)付近の気温は、もう少し高かったはずです。
 そんな暑い中、「熊越の滝」下流付近の河原に出かけました。目的は、河原一面に広がる外来植物の駆除です。ここは知床国立公園の第2種特別地域で、世界遺産区域でもあります。
 さて河原に下りると、強力なトゲと生命力をもつアメリカオニアザミ(セイヨウオニアザミ)をはじめ、フランスギク、セイヨウノコギリソウ、メマツヨイグサなど、外来植物の花畑になっていました。かろうじて頑張っていた在来種は、ヨツバヒヨドリとコウゾリナくらい。この日は3人で計1000株近くのオニアザミを、長い剪定バサミを用いた手作業で駆除しましたが、あと1、2回は同じ場所で作業しないといけなそうです。オニアザミの固いトゲは、ふくらはぎや指に容赦なく刺さってくるためとても痛く、なかなかしんどい作業です。ちなみに、同じ場所でのオニアザミ駆除はもう4年目になります。昨年は私も参加し、かなり頑張って刈り取ったつもりだったのですが、どうやら目立たない1年目の株(ロゼット)を中心に、まだまだ多数の見落としがあったようです。

 オニアザミに限らず、ひとたび侵入・定着を許してしまった外来種を生態系から除去するためには、大変な労力を必要とします。かといって事前レクチャーが不十分なまま多数のボランティア等を動員すると、在来種を間違って刈り取るようなことが起こるかもしれません。

 とはいえ、早くしないと彼らはドンドン種子をつけてしまう。相泊方面のアメリカオニアザミやジギタリスも、早く刈り取りに行かないと・・・シカ道に沿って、どんどん山奥の方へ侵入しているんです。元を断つためには道路沿いも何とかしないと・・・国立公園区域内でも、道路の法面(のりめん)は外来植物の宝庫になってしまっています。

 一方、外来動物では、アメリカミンクが羅臼の河川沿いにたくさん生息しています。ミンクとシマフクロウとの間にエサの競合が起きていないのか、とても気になっています。

 日本人が目覚めるのが遅すぎた感のある外来種問題、あきらめて放置するわけにも行きません。しかし生態系への影響が大きそうな種に駆除対象を絞ったとしても、知床世界遺産エリアからの外来種除去は、先が見えない、はるかに遠い道のりとなりそうです。


写真1. 外来種主体の花畑。アメリカオニアザミ、フランスギク、シロツメクサ、ムラサキツメクサ・・・唯一写っている在来種の花は、ヨツバヒヨドリのみ。

写真2. アメリカオニアザミ(セイヨウオニアザミ)の花。花はキレイですが、トゲがやる気満々です。2年目に開花・結実すると言われています。

写真3. アメリカオニアザミの1年目株(ロゼット)。一丁前にトゲがあります。若いくせに、そのトゲは在来アザミ類のそれよりも痛いように感じます。根ごと引き抜こうとしても途中で切れたりして、なかなか上手に抜けません。そんな根から、来年また復活する?

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2007年08月09日近自然工法整備のその後

大雪山国立公園 上川 大久保 智子

昨年愛山渓で研修を受けた、近自然工法による登山道整備をした箇所のその後の経過です。(昨年の近自然工法研修の様子はAR日記「道のセンス」に載せています。)

7月下旬に大雨が降ったのですが、登山道は水の流れによる新しい浸食と見られる物は無く、組んだ石も崩れているところも無くがっしりと固定されています。水の流れを止める役目のプールにきちんと水が溜まっており、歩く道もきちんと確保しているものも健在しています。1年たち、組んだ石組の間には、土砂が溜まり始め、さらに安定し、周りの自然になじんで来ていました。

愛山渓周辺では、いままで試験施工を含め、数年かけて、近自然工法による登山道整備を行ってきています。古いもので5、6年たっています。ここまで年月がたつと、組んだ石の上に苔も生え、周りにも植物が生えてきていて、もちろん登山道は歩きやすくなりました。

石組み工事をしたばかりは、目立ちますが、年月をかけて、登山道をより自然の状態になじませるようにしてあげる、未来の環境まで想定した工事は、今年も大雪山では少しずつ、着工していきます。


◆近自然工法とは?◆

雪解け水や雨水による浸食、また人による踏みつけによる登山道の浸食によって、破壊された生態系が、元の成熟した状態に回復するまでには、自然の遷移のみに委ねた場合、多くの年月を要する。これを人間の手によって、ある程度まで回復させるのが近自然工法の役割である。それは、自然の発展を阻害する傷害を取り除き。自然自らが発展できる領域をできる限り広げ、その成長を助ける手段を講じることである。

参考:西日本科学技術研究所HPより


◆近自然工法の石組による保全修復のポイント◆

・自然に同化する登山道の整備を進める上では、自然石を用いた修復保全を図ることが景観的にも望ましく、浸食を防止する効果が高い。
・使用する自然石については、浮石等周辺で確保できる場合は植生等に影響のない範囲に限定して用いることとし、必要な場合には類似の自然石を搬入す る。
・なお石組の多様は逆に硬い道となるため段差のある箇所、浸食の激しい箇所等に限定することに留意する。

参考:大雪山国立公園における登山道整備技術指針より


昨年、石組工事完成間近の様子。
組んだ石がはっきりしていて、工事したのが目立ちます。


上の写真付近の石組工事現場の1年後の今年。
組んだ石に砂利がたまり、さらに固定されました。
きちんと水もたまり、水の勢いを止める役割も果たしています。


工事から4,5年たった石組工事現場。
周りの景観になじんできていて、生態系も回復しつつあります。
かつて浸食されていたであろう登山道脇の周りに、植物が生えだしています。

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2007年08月09日オオヒラウスユキソウに出会う!

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 浅田 唯衣

 8月5日、 狩場茂津多道立自然公園 大平山へ2回目のパトロール登山を行いました。大平山(標高1191m)一帯は、道南地方には珍しい石灰岩露出地帯が広がり、日本の北限となる豊かなブナの天然林と共に、オオヒラウスユキソウなどの希少な石灰岩植生が数多く分布する地帯です。環境省では「自然環境保全地域」として指定しています。
 最初から傾斜のある小さな沢沿いを歩き、標高を上げていくと次第にブナの天然林が現れ始めます。登り始め、天候はあいにくの雨でしたが、その雨をとっても喜んでいるのはカドバリヒメマイマイというカタツムリです。前回のアクティブレンジャー日記にも写真が掲載されましたが、カタツムリの進化する過程で特に原始的な状態の殻を持ち石灰岩を養分として生きているそうです。稜線に出ると、視界も開けて谷が入り込み、山深い山並みを望むことができます。雨も上がり初め、雲が徐々に上がっていき墨絵の様な景色でした。第1ピーク(810m付近)からは狩場山が見え、天気が良ければこれから登る大平山の第2ピークが目の前に現れます。花は第1ピーク手前から徐々に見ることができます。6月初めにあったオオヒラタンポポが少なくなり、第1ピークから第2ピークまでの間にある岩場には大平山固有のオオヒラウスユキソウが多く咲き乱れていました。ウスユキソウは歌でも有名なエーデルワイス。白い花に見えるのは実は葉が綿毛に被われて白いからで、本当の花は真ん中の黄色い部分です。他にイブキノトラノオ、イワオウギ、ヨツバヒヨドリ、ハイオトギリ、ヒメエゾネギ、ヤマルリトラノオ、ツリガネニンジン、タカネナデシコ、カラフトマンテマ、ミヤマアキノキリンソウなどが咲いていました。第2ピーク手前にある岩場はもろく常に危険な状況で、6月に登った時よりもまた少し岩が崩れてしまったようです。落石が多く、いつ来てもはらはらどきどきの場所です。第2ピークから頂上までは背丈くらいある笹藪が多く雨で濡れた笹をもがきながらやっとピークに着きました。特別展望がいいところではありませんが、ハードな登山道なだけに感慨ひとしおです。昔は?測量のためのやぐらが建っていたようです。帰路は、滑りやすく傾斜のある岩場をひたすら下りながら注意し頑張って下ります。その頃空には青空も見え始め、登ってきたルートを見ることができました。最後に、木々から差し込む太陽の光に照らされ地面からの蒸気がきらきらと輝き幻想的なブナ林の中を歩くことができました。
 北海道百名山にも大平山は紹介はされていますが、登山口にある大平山のパンフレットには「体力に自信のない方はご遠慮ください!」と記載されているように登山道はかなりハードで、傾斜のきつい場所や岩場もあり、ヒグマの生息地でもあるので十分に注意してください。

可憐なオオヒラウスユキソウ

急峻な岩場を登る

ブナ林に注ぎ込む太陽の光

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2007年08月07日洞爺湖 ウチダザリガニ防除

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 加藤 康大

7月24日(火)?8月1日(水)、洞爺湖温泉街にて、外来生物であるウチダザリガニの防除を行った。
「外来生物」とは、本来その地域には生息していなかったが、人間の活動によって他の地域・国から持ち込まれた生物で、もともとその地域に生息している「在来生物」や、自然環境に大きな影響を及ぼし、生態系のバランスを崩すことで問題化している。
ウチダザリガニの場合、在来魚等の卵の補食、住処やエサ、産卵場所となる水草の補食が考えられ、また繁殖力も強いことから、湖沼や河川の生態系を大きく変化させてしまう恐れがある。

洞爺湖でも3年前にウチダザリガニの生息が確認され、今後の生態系へのダメージが懸念されている。

洞爺湖でのウチダザリガニの捕獲には、潜水士による手捕りと、カゴ等を使用した捕獲の2パターンがあり、今回はカニカゴによる捕獲を実施する。
7月24日(火)、洞爺湖温泉街湖畔にカニカゴ計26個を投入。円柱形のカゴの中に、エサとなる魚のアラを入れ、水深7m?8mに多く生息するウチダザリガニがカゴに入りやすいように、カゴを湖底に着地させる必要があるため、長さ約10mのロープを取り付けたカゴを湖に放り込み、ロープの端は手すり等に結ぶ。(※ロープには環境省のタグが付いています。見かけても触れないようにお願い致します。またカゴを使用した捕獲には許可が必要になります。)カゴは湖に沈めたままにし、毎日全カゴを引き上げ、中に入ったザリガニを捕獲し、カゴは再び湖へ。これを1週間繰り返す。

「たくさん捕れるといいなぁ」「いやいや、たくさん捕れちゃダメなんだ…」という複雑な心境の中、7月25日(水)カゴ上げ初日。 いるいる…。 多い場所ではひとカゴに40?50尾。期待に応えて(反して?)大漁。初日は229尾、今シーズン最大となる体長(目から尾の先まで)136mm、体重194gという大型の個体を含め、8日間で計478尾を捕獲。(※今年度は、8月現在で1905尾。昨年度は1年間で1367尾。)うーん、やっぱりたくさんいるんだな…。

今のところ洞爺湖では、温泉街付近、約1.8kmに渡って生息が確認されているが、他の場所では未確認。なんとか今後の生息範囲の広がりを食い止め、長流川や、サクラマスの遡上が見られる壮瞥川への流出は防ぎたい。私たちのカゴによる捕獲では捕れる数にも限界があり、根絶は困難。現時点で効果的な防除方法や、組織的な防除システムの構築が必要。捕獲や運搬を規制する外来生物法の問題もあり、クリアしなければいけない課題は多いが、ぜひ地元の皆さんの協力をお願いしたい。

最後に。ウチダザリガニを日本に持ち込んだのは人間の勝手。ザリガニにはなんの罪もない。水産処理場に運ばなくてはいけない大量のザリガニを前に、毎回いたたまれない気持ちになる。


ウチダザリガニ?

ウチダザリガニ?

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2007年08月07日これは?

阿寒摩周国立公園 川湯 五月女 拓磨

みなさんはじめまして。川湯ARの五月女拓磨です。

世の中には変なものがたくさんあります。普段気にしなければ気にならないのに、一度気になってしまうと、気になりっぱなしになってしまうものです。
今回は7月25日に和琴半島の探勝路で、私が出会った『変なもの』について書きたいと思います。

ちなみに和琴半島とは屈斜路湖に突き出た半島で、探勝路は一周4km程度と短く、誰でも手軽に自然を満喫でき、数多くの植物や鳥類と出会える場所であるため散策におすすめです。また火山の影響を受けて地熱が高く、冬でも凍結しない場所があるため、多くの生物の生息を可能にしています。中でも和琴のミンミンゼミは生息の北限地として国の天然記念物にも指定されています。

そんな和琴半島での『変なもの』との出会いは突然でした。
彼(?)は、たった1個体のみで佇んでいました。ますます変だ…


これが変なもの。
葉はないし、なんかビヨーンと出ているし…。
とにかく、目立つようで目立たないやつでした。


アップ写真!
近づいてはじめてランの仲間だと気づきました。


変なもの改め、ランの仲間と思われる植物を、帰ってから図鑑で調べるとオニノヤガラというラン科の植物だと分かりました。真っ直ぐに伸びた花茎を鬼の使う矢に例えたことから『鬼の矢柄』という名前がついたのだそうです。
葉緑素を持たない腐生植物で、ナラタケ菌と共生をしています。だから、葉が見あたらなかったんです。

和琴半島にはまだまだ『変なもの』がたくさん潜んでいるはず。ぜひ探してみて下さい。
ただし、蚊があなたの血液を求めて、まだまだ飛んでいます。献血するつもりがないのであれば、きちんと虫除け対策は行っておいてください。


参考文献
 監修/林弥栄 写真/平野隆久 解説/畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道(2002)山渓ハンディ図鑑1 野の花.山と渓谷社

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2007年08月03日湿原のホタル

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

夏も冷しい釧路湿原では、少し気温が高い日は目に見えて虫たちの動きが活発になります。
コエゾゼミの羽化も今がラッシュのようです。

夏の釧路湿原、なんと言ってもオススメは夜のホタル観察です。
釧路湿原にはヘイケボタルが生息しています。温根内や達古武キャンプ場の木道を利用すると、間近にその姿を観察することができます。
気温が高い日ほど活発に飛び回ります。また少々の雨や霧でもホタルは光ります。1匹のホタルが大人になってから生きられるのはわずか1週間程。この間にオスとメスが光で交信しながら出合い、次世代へ命をつなぎます。
釧路湿原で観察できるのはお盆頃までです。

観察のポイント
◆懐中電灯の使い方に注意!人工的な光でホタルを惑わせないよう、足下など必要な場所だけ照らしてください。カメラのフラッシュもほどほどに。
◆手のひらにのせて観察するときは、つぶさないよう優しく扱ってください。
◆ホタルに霧中になりすぎて、うっかり木道から湿原に足を踏み外さないよう気を付けてください。


羽化の最中のコエゾゼミの羽化。8月2日、同じ木で2匹が同時に羽化していました。気温は24度ですが、釧路湿原ではかなり暑いほうです。

7月中旬温根内でのホタル観察会の様子。

ヘイケボタル。手のひらに載せると小ささが愛おしい。さて小さな体の発する光は暖かい?

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2007年08月02日奥深い自然

大雪山国立公園 東川 山下 なつ絵

8月1日、天人峡の化雲岳登山口から第一公園まで登山道巡視に行きました
歩き始めからすぐに急登が続くこのコースは、「登りも下りもきつい」と敬遠される方もいますが、見所が沢山ある魅力的なコースです。今日はこのコースの旬の見所を少しご紹介します。
この日、急斜面を登り始めてすぐ目に飛び込んできたのは、大雪山山麓の林内に生育するユリ科の植物、ハゴロモホトトギスです。
ハゴロモホトトギスは大雪山固有種であり、生育地・生育数ともに稀で、大雪山でも私が実際目にしたのはここ天人峡周辺だけです。一時期は盗掘などで天人峡周辺でも数株しか残っていないという話を聞いたこともありますが、この日は丁度開花時期に当たった為か、歩道脇のあちこちで黄色に茶色の斑点を散りばめたハゴロモホトトギスを見ることができました。それにしても花なのにホトトギスって、一度聞いたら忘れられないユニークな名前ですね。
その他にも、ギンリョウソウ、アリドオシラン、コバノイチヤクソウなどの林床植物を観察しながら登山口から1.3km、ぐんぐん高度を上げていくと突然視界が開け、目の前に旭岳と羽衣の滝が姿を表します。この滝見台と呼ばれる開けた場所から見る景色はとても緑深く荘厳で、大雪山が豊かな自然に囲まれた場所だという事を改めて実感させてくれます。
滝見台からさらに3.6kmほど進むと第一公園と呼ばれる湿原に着きます。湿原には木道が整備され、エゾカンゾウ、タチギボウシ、ミヤマリンドウ、ワタスゲ、ホソバノキソチドリなどが見頃を迎えています。
この他にも、すっかり夏毛に生え替わりまるで別の動物?に見えるエゾリスが樹から樹に飛び移る姿を目撃したり、かわいそうになるくらいクマゲラに穴だらけにされたトドマツを発見したり、高山帯とはまた違う魅力あるコースです。

※今春の強風で倒れ歩道上を塞いでいた倒木は現在処理されています。
※天人峡羽衣の滝・遊歩道は現在、土砂崩れの為立ち入り禁止になっています。



ハゴロモホトトギス

滝見台から見下ろす羽衣の滝

第一公園の湿原(写真提供:東川事務所 田畑レンジャー)

クマゲラによって穴だらけにされたトドマツの樹

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