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北海道地方環境事務所

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

第3回 のんびり楽しむ秋の道

2011年11月24日
羅臼
この日記でご報告している、「地域住民による地域住民を対象とした講座」。
 過去の講座はコチラから
 ・第1回目
 http://hokkaido.env.go.jp/blog/2011/09/801.html
 ・第2回目
 http://hokkaido.env.go.jp/blog/2011/10/813.html

今回は第3回目となる
「のんびり楽しむ秋の道 ~紅葉の遊歩道散策と見どころマップづくり~」
を、ご報告します。

講師は、知床の自然ガイドブック制作や、自然情報を記録・公開している
“知床サイト”の運営者、浅沼孝夫氏。
羅臼岳を含む知床連山や羅臼湖から海岸まで、知床のあらゆる植物・昆虫・
哺乳類などを記録・研究しており、日々、知床の自然を見つめ
発信し続けています。
また、研究者の立場から知床の植生保全管理のための調査もされています。

今回の講座は、羅臼温泉園地遊歩道で木や鳥・自然を観察しながら歩き、
散策ルートの見どころや魅力を参加者みんなで発見し、
“見どころ散策路マップ”を作成しよう、というもの。
みんなで作成したマップは、羅臼を訪れる観光客の方々にお配りするものに
なります。

予定していた開催日を秋雨に譲り、一日延期しての開催となりました。

羅臼ビジターセンターから少し歩いたところにある、熊の湯という
無料露天風呂近くに、歩道の入口はあります。
石畳の歩道を歩き始めるとすぐ、「リーン リーン」という小さな声が
岩陰から聞こえることに気付きます。
「ここにはコオロギがいるんです。
 温泉地帯の地熱があるので、寒くなってもしばらく鳴いていますよ。
 温泉の地熱にコオロギだけでなく、カナヘビやニホントカゲなども好んで
 集まります。あまり会いたくないですが、マムシもいるので観察には
 気をつけたいですね。」
と、浅沼氏の解説。
岩陰に姿を隠すコオロギの声に耳を澄ましたり、
赤や黄に色づいた森の中、メモを片手にのんびり歩きます。
「この木は、野球のバットに使われる木です。アオダモ、といいます。
 固いだけではなく“しなり”がいい材質をしています。」
「この木は、樹齢200年くらいになりますね。
 カツラ、という木で、黄葉した葉は甘い香りがするんですよ。
 渓流脇に生えています。割と湿った場所が好きな木です。」

少しずつ形の違うカエデ類や、亀の甲羅のような葉が真っ赤に色づいた
オオカメノキなどなど…歩道上では、たくさんの種類の木を観察できました。



「あまり注目されないですが、シダ植物というのがあります。
 実は、羅臼はシダの宝庫とも言えます。
 日本人は身近すぎてあまりピンとこないかもしれないけれど、イギリスなど
 ガーデニングが盛んなところの人が、この道を歩いたら
 “これもほしい、これもほしい”となるかもしれません。
 それくらい実はとても多くの種類のシダが一度に見られる場所なんです。」

「冬は、アカゲラやシジュウカラなどのカラ類が混群になっているのが
 見られます。夏はキビタキやオオルリなど、とてもきれいな鳥が割と近くで
 見られる場所でもあり、鳥好きの方にはけっこう穴場かもしれません。」

その他にも、
光る川面で揺れるヒレは、魚道スリットが入った砂防ダムを越えて遡上する
サケ・マスの姿。その卵を、何度も水中にもぐって狙うカワガラス。
青空に映える色鮮やかな山肌、そこから頭を出す羅臼岳。
遊歩道の、色々な表情を垣間見ることができました。



時折立ち止まり、大きな木から小さな虫まで、そして土の中のことから
森全体に至るまで、様々な視点でお話をしてくださった浅沼氏。
ほがらかな笑顔と優しい語りかけ、
そして、心地よい秋の風にそよぐ色づいた森。
参加者もスタッフものんびりほっこりとても雰囲気よく、約2キロの遊歩道、あっという間に出口に到着しました。

みんなで集めた見どころネタを整理し、マップを完成させます。
初めてこの歩道を訪れる人にも、来たことがある人にも、
歩道の魅力が伝わるよう話し合いながらまとめ、
情報満載の見どころマップの完成です。



完成したマップは、2月に予定されている羅臼ビジターセンターでの
活動報告展で展示されるほか、来春以降、来館者にお配りします。

町民の方も
「こんなところにこんなステキな道があったなんて。」
と、実はあまり知られていなかった、羅臼温泉園地遊歩道。
歩道の魅力をみんなで再発見・発掘できた講座でした。
見どころマップを片手に、散策してみませんか?

(写真:知床財団提供)