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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 上士幌

92件の記事があります。

2014年05月22日然別湖畔でササを刈る

大雪山国立公園 上士幌 木村 慈延

暖かくなって木々や野草、色々な物が芽吹いていますが、登山道のササもニョキニョキと芽を伸ばしています。最初は小さくかわいいのですが、夏前にはすっかりと葉っぱを広げて、道を覆い隠してしまいます。

ということで、登山をする皆さんが迷ったり、怪我をしたりしないように、然別湖畔のササ刈り(倒木の片付け、ピンクテープの補強も)を行いました。

この作業は毎年恒例の行事なのですが、今年は人員をたくさん配置し、然別湖畔の外輪山(天望山~白雲山、東・西ヌプカウシヌプリ、南ペトウトル、駒止湖)を一気に整備することになりました。今回はその第2回目です。
参加メンバーは林野庁、鹿追町、地元ガイド、パークボランティアの皆さんと環境省を加えた総勢25名の精鋭揃い!?
各々の手には刈り払い機や刈り込み鋏み、熊手を携えていざ出陣!
ササと人との戦い・・結果やいかに!?

私は西ヌプカウシニプリの担当となったので、こちらの様子を紹介します。
ここは、今までにあまり整備をしてこなかったエリアで、ササは伸び放題。
高い場所だと胸の高さ以上はありそうです。


途中で二手に分かれて、それぞれ上と下を目指して刈り進みます!

 

ササの中には植物(写真はアイヌタチツボスミレ)もあるので、注意します。また、後半の岩石地帯では霧が出ると見通しが悪く、遭難の恐れがあるため、目印を強化しました。






いかがでしょう!?
皆さんの力を結集した結果、とても綺麗な登山道に戻りました。
作業に参加した皆さん、本当にお疲れ様でした!

普段、「誰が管理してくれているのだろう」と考えることはあまりないかもしれませんが、
実はこうした地道な努力の上に、楽しい登山は成り立っているのでした。

今シーズンも、事故の無いように楽しみましょう!

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2014年04月21日ごあいさつ

大雪山国立公園 上士幌 木村 慈延

4月より上士幌地区に赴任しました、木村と申します。
十勝エリアの、リアルタイムな自然情報を発信していきますので、
お楽しみに!

4月も終わりに近づき、北海道も少しずつ暖かくなってきました。
道脇に残っていた雪も平地ではほとんど融けてなくなりました。

とはいえ、冬芽はまだ眠ったままのものも多いです。
桜の満開は5月上旬から下旬でしょうか!?
本格的な春の訪れにはまだ早い上士幌です。

そんな中で、春の訪れを知らせてくれる植物を紹介します!
事務所前でもきれいに咲いてくれていました。

「フクジュソウ」





春先一番に花をつける植物のひとつです。
フクジュソウの花は、太陽を浴びて外気温よりも暖かいため
暖をとりに虫達が集まってきます。
そして暖まって出て行くときには、虫の体にくっついた
花粉を運んでもらえるため、フクジュソウは甘い蜜を
作らなくても、受粉ができるのです。
本当にうまく出来た仕組みだなと思います。

さて、これからどんな出会いがあるのでしょうか!?

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2013年10月04日バイオトイレでの汲み取り作業

大雪山国立公園 上士幌 小岩井 拓

10月1日に上川総合振興局や上川町役場、観光協会など総勢15人で黒岳石室にあるバイオトイレの糞尿・オガクズ汲み取り作業を行いました!

今年6回目(今年度最終回)の汲み取り作業となります。トイレの冬囲い作業とともに1シーズンでたまったものをヘリで下ろすための準備作業も行いました。

作業は、漏れないようにビニール袋を2重にし、その中に便槽に溜まったものを汲み取って入れます。
1つの袋にはだいたい10kg~20kg入れます。
そして袋の重さを量り、袋を閉じます。

翌日2日にこれまで汲み取った糞尿をヘリで降ろすため、大型土嚢に詰め畚(もっこ)で縛る作業も行います。
1シーズンで汲み取った屎尿は大型土嚢1パック300kgが16パック、合計約5tになりました。

文章にすると単純で簡単そうなのですが、扱うものが扱うものなので、実際は・・・・・
加えてこの日の天気は生憎の雨でしたが、参加者の全員が一生懸命作業したので、無事に作業を終えることができました!

この日の作業では山のトイレの維持の大変さを身に染みて感じました。
山のトイレが良い状態を保つためには、バイオトイレをきれいに使う、ゴミを捨てないなど、利用される方のマナーが重要です。
そのほかにも、このような裏方の努力があり、維持されています。ヘリ空輸費などの経費の一部は皆さんの協力金で補われています。
黒岳バイオトイレでは利用時に協力金200円をお願いしています。昨年度の徴収率は50%ほど、トイレを使用される際は、ご協力よろしくお願いします。


この日も紅葉が綺麗でした♪

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2013年07月22日ウチダザリガニ防除活動

大雪山国立公園 上士幌 小岩井 拓

皆さんこんにちは!
十勝地域は、ジャガイモの花が咲く時期になりました。
晴れた日の青空とジャガイモの白い花は、とても綺麗ですよ♪

この時期といいますと、ジャガイモの花だけではなく、ウチダザリガニ防除活動の時期でもあります。
ということで、7月16日~19日に然別湖で行った、ウチダザリガニの防除活動について書きたいと思います。

然別湖では、ニホンザリガニやミヤベイワナ(オショロコマの亜種)・水草などを守るため、特定外来生物のウチダザリガニ防除活動を毎年数回行っています。
特定外来生物というと、以前にセイヨウオオマルハナバチについて書きましたが、ウチダザリガニもセイヨウオオマルハナバチと同じ特定外来生物なんですよ。
然別湖やウチダザリガニ防除活動については、私の先輩のアクティブ・レンジャーも日記を書いているので、過去の記事も読んでみてください。ウチダザリガニの他にも、面白い内容の日記がたくさんありますよ。




今回のウチダザリガニ防除活動は、鹿追町役場や然別湖ネイチャーセンター、そしてPVといった方々と環境省で行いました。
どうやってザリガニを捕まえるかといいますと、写真のような罠に餌を仕掛けて湖に沈め、翌日に罠を引き上げて入っていたザリガニを捕獲するという寸法です。




捕獲したザリガニの中では、卵を持った個体や、写真のようにたくさんの子供ザリガニを抱えた個体もいます。




写真はとある1日に捕獲したウチダザリガニの一部です。捕獲したウチダザリガニは、全長や雌雄を調べた後、その場で駆除します。
今回の防除活動では、合計8056体のウチダザリガニを捕獲しました。
そんなにいるの!?っとビックリされる方もいらっしゃるかもしれませんが、実際はまだまだ生息しています。こうやって活動をしてみると、環境保全や生物多様性を守ることの大変さを感じます。

いつか然別湖が在りし日の姿に戻れるように、これからも防除活動を行っていきます!!


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2013年05月17日特定外来生物の防除活動

大雪山国立公園 上士幌 小岩井 拓

皆さんこんにちは!!
北海道の東大雪地域は最近一気に春になり、ようやく桜の季節になりました!!

17日に士幌町で、特定外来生物に指定されているセイヨウオオマルハナバチの防除活動を行いました。
本来だったら15日に行う予定でしたが、あいにくの悪天候で気温が低く、17日の予備日に見送りました。当日は本年の最高気温を記録するなど、防除日和?となりました。(活動については後述します。)

さて、特定外来生物とは、外来生物(人間の活動によって他地域から入ってきた生物)であって、生態系・人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、又は及ぼすおそれがあるものの中から指定されます。
特定外来生物に指定されると、輸入・飼育・栽培・保管及び運搬することが原則禁止されます。

今回の捕獲対象であるセイヨウオオマルハナバチは、農作物の花粉媒介昆虫として世界中で利用されていて、日本でも温室トマト等の栽培に利用するために輸入されました。その温室から逃げ出した個体が野生化したといわれています。

セイヨウオオマルハナバチが起こす問題としては、、在来のハチが圧迫され、生息域を減らしてしまったり、在来種との交雑、短舌で盗蜜を頻繁に行うために、野生植物の種子生産を阻害する等があります。
このような問題を防ぐため、防除活動を行っています。


蜜を吸う、セイヨウオオマルハナバチ

セイヨウオオマルハナバチは、おしりが白いのが特徴です。体のサイズも大きく、またブーンと音が聞こえるため、いるとすぐわかります!!

防除活動は、当事務所の他に、士幌町役場や十勝総合振興局、士幌町JAと生産者、帯広百年記念館、先日お会いしたPVの方々の総勢32人で行い、332体捕獲しました。(ちなみに、昨年は155体でした)
捕獲数が増えた要因は、前述した活動当日の気象条件など、様々あると思いますが、たくさん駆除できて喜ばしい反面、セイヨウオオマルハナバチの数が増えていることは喜べないという複雑な心境です。

セイヨウオオマルハナバチの防除活動や調査は、今後も引き続き行っていきます。

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2013年05月13日大雪山国立公園パークボランティア連絡会総会・春山研修

大雪山国立公園 上士幌 小岩井 拓

皆様いかがお過ごしでしょうか!?
私は、5月11日・12日に、大雪山国立公園パークボランティア連絡会総会及び春山研修会に参加してきました!!

パークボランティア(以下PV)とは、国立公園において、自然観察会等の解説活動や美化清掃、利用施設の簡単な維持修理などの各種活動について、広く国民の参加を求め、一層の活動の充実を図るとともに、自然保護の普及啓発を図ることを目的として、これらの活動に自発的に協力して頂いている方々です。平成24年7月時点で、全国の25国立公園の40地区において、各地区の特性に応じた活動実施計画に沿ってさまざまな活動を行っていただいています。
大雪山国立公園では現在、92名ものPVの方々が活動してくださっています。

PV活動のうち、私の所属しています上士幌事務所では、今年も、特定外来生物に指定されている、セイヨウオオマルハナバチ・ウチダザリガニの防除活動を行います。

研修会では、スキーやスノーシューを履いて、春山を歩きました!


私は上富良野岳をスノーシューで歩くコースでした。





道中では、写真のキタキツネやギンザンマシコを見ることができました!





山中の木々の中には、この写真のように片側にほとんど枝がついていない木があります。この辺り一帯では風が強いため、風に倒されないように、片側は敢えて枝をつけていません。上富良野岳ひいては北海道の山の厳しい自然環境の一端を知ることができました。

肝心の研修会はといいますと、濃霧のため山頂までは行かず、途中で引き返しました。
山頂まで行けなかったことは、とても残念だったのですが、多くのことを学べた実りある研修会でした。

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2013年05月07日ひがし大雪自然館が開館しました!

大雪山国立公園 上士幌 小岩井 拓

4/1から上士幌事務所(東大雪地域)のアクティブ・レンジャーになりました、小岩井です。
これから、大雪山国立公園や国立公園付近の地域の魅力を伝えていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。



去る5/1に、ひがし大雪自然館が開館しました!!
ひがし大雪自然館は、大雪国立公園の東大雪地域を中心とした自然や歴史・リアルタイムな地域の情報の発信・サテライトフィールドである十勝三股における環境教育を実施する活動拠点とすることを目的とした、環境省(ぬかびら源泉郷ビジターセンター)と上士幌町(ひがし大雪博物資料館、旧ひがし大雪博物館を移築)の合築による連携施設です。



この施設では、東大雪地域の自然や歴史について、解説パネル・ジオラマ・剥製や模型による展示・映像解説を行います。加えて、地域内施設の利用状況(登山道情報など)や様々な活動に関する情報を収集・発信します。また、東大雪地域の自然や世界の昆虫について、生物多様性に着目し、グラフィックパネルや実物標本、生体展示等により解説を行います。他にも、ぬかびら源泉郷を中心とした観光情報の発信を積極的に行います。

5・6月は、「春の自然観察会」を行います。(自然館周辺にて、バードウォッチングを行います。)
・日時 5/18~6/9までの毎週土日の9:00~10:00(雨天中止)
・予約不要・参加料無料(当日に自然館までお越し下さい。)
・双眼鏡をお持ちの方はご持参下さい

■施設案内
・住所 北海道河東郡上士幌町字ぬかびら源泉郷48番地2
・開館時間 9:00~17:00(7、8月は6:00~17:00)
・休館日 毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は木曜日)、年末年始(12/30~1/5)
・入館料 無料
・ホームページ http://www.kamishihoro.jp/shizenkan/



クジャクチョウ

雪が降ったりと、まだまだ寒い日が続いておりますが、ようやく春の気配も少しずつ感じられるようになりました。

ぜひ、足をお運び下さい。

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2013年02月01日大雪山国立公園フォーラムのお知らせ

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

第16回大雪山国立公園フォーラムを新得町にて開催いたします。
大雪山の火山活動研究の最前線と温泉療法の2本立て。
2日目はトムラウシ温泉無料入浴付きの野外活動。
全道各地からのご参加をお待ちしております。


~大雪山の火山と温泉を語る~

1.開催日時 2月20日(水) 2月21日(木)
2.会場  新得町公民館(役場横)
3.プログラム
1日目
   受付   13:10~13:50
【講演1】   14:10~15:30
「最新の研究成果から見た大雪-十勝火山群の成り立ちと今後」
講師/北海道大学大学院理学院自然史科学専攻地球惑星システム科学分野
岩石学・火山学研究グループ
中川光弘 教授
   休憩   15:30~15:40
【講演2】   15:40~17:00
「大雪山におけるヘルスツーリズムの可能性~温泉療法と森林浴」
講師/北海道大学大学院教育学院人間発達科学分野
大塚吉則 教授(医学博士)


2日目
 体験プログラム
スノーシューハイク(限定30名)ガイド/久保忠義(新得山岳会)
持ち物:スノーシュー・ストック(貸出しあり)
10:20~12:30トムラウシ温泉から登山口と林道を経て森の中を望岳台までを往復(参加者はトムラウシ温泉無料入浴)
新得町から無料往復バスあり。

参加申込は2月13日まで。
問い合わせ先:新得町産業課商工観光係0156-64-0522
http://www.shintoku-town.jp/shoukai/oshirase/daisetsuzan_forum


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2012年07月13日総勢30名で丸太運び

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

ある日のトムラウシ山の登山口。


何をしているかというと。

登山道のこんな泥濘箇所を


こんな感じにするために皆で運ぼうというイベントでした。


ある者は体脂肪減のため、ある者はウェスト・体重減のため、またある者は意義を感じて各々集まったのであります。そしてある者(私)はヌカカに足を12箇所刺されていたことに下山後気づくのであった。

参加団体は環境省や森林管理署、町、新得山岳会などで構成する「大雪山国立公園新得地区登山道等維持管理連絡協議会」に加え、地元山岳会や大雪山国立公園パークボランティア他を加えた総勢31名での丸太運び。
午前と午後の2往復で約200本の丸太がこの日のうちにカムイ天上付近に集められました。
1本当たり4.7kg。

新道付け替え後8年でぬかるみが名物となってしまったトムラウシ山線ですが、原因は登山道利用者の多さと地質、地形など複合的なことが絡み合ってます。ぬかるみを避けるように登山者が登山道脇を歩くと道が拡がってしまうことにつながります。

今後この丸太を使い集中的に泥濘箇所の改善作業が行われていくことになるわけです。今年はぬかるみエリアの半分を残り半分は来年改善していく予定です。
皆様お疲れ様でした。

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2012年05月28日然別湖湖水開き

大雪山国立公園 上士幌 三浦 武

前回の日記で見事に復活した公園看板の近くで24日、然別湖湖水開きが執り行われ、夏の観光シーズンに向けて登山安全祈願や水難者慰霊式などに多くの関係者が集まりました。もちろん大雪山国立公園であるので上士幌自然保護官事務所から山北自然保護官も出席。


(冷たい風の中厳かに式は進みます)

式典に続いて湖への献花、オショロコマ稚魚の放流と続きました。この日の湖水開きでは最後に上流の孵化場で育ったミヤベイワナ稚魚を500匹放流しました。


(大きく育てよ~)

(全員後ろ姿ですみません)

ここで然別湖豆知識。
然別湖は大雪山国立公園でただひとつの天然湖(東雲湖や駒止湖は水深からみて沼にあたるそうです)。今から2万年以上前に周囲の山々(東ヌプカウシヌプリ山、白雲山、天望山)が次々と噴火し、その際に川がせき止められて、然別湖が誕生したと考えられています。付近の駒止湖と東雲湖はそのときの爆裂火口といわれています。然別湖周辺の山々は溶岩円頂丘といわれ、大きい溶岩が盛り上がってできたもので、現在でも白雲山頂上付近をはじめとする然別湖の各所で火山噴火の痕跡を見ることができます。

このように形成された然別湖ですが、それまで棲んでいたオショロコマは陸封されて独自に進化を遂げ、ミヤベイワナと名付けられました。然別湖北岸と繁殖河川は、ミヤベイワナ繁殖地域として北海道の天然記念物に指定されています。
然別湖に生息する特定外来生物であるウチダザリガニの防除も2ヶ月後には始まります。ザリガニ防除と平行してかつてあった水草の植生復元プロジェクトもスタート予定です。人間の手による復元がどこまでできるのか、こうご期待。

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