利尻礼文サロベツ国立公園
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2018年06月22日礼文島での外来種除去活動
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
皆さんこんにちは。
礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
6月も後半となり、レブンアツモリソウは終わりの時期。
礼文もそろそろ本格的な夏の花のシーズンへと突入します。
さて今回は、少々遅れてしまいましたが、5月26日に行われた利尻礼文サロベツパークボランティアによる外来種除去活動についてご報告します。
昨年まではゴロタ岬で活動しておりましたが、ゴロタ岬でのセイヨウタンポポ駆除には一定の見切りを付け、今回は人も多く訪れる桃岩展望台での活動にシフトしました。
ターゲットは「ハルザキヤマガラシ」という植物です。色んな所で見かけるポピュラーで困った外来種です。(ハルザキヤマガラシの写真が用意出来なかったため、今回は本種の写真を掲載いたしません。次回以降、機会があれば載せたいと思います。身近な場所で見ることが出来る花ですので、是非近くを探してみてください。)
最近、桃岩展望台付近においてものすごく目立ってきたという情報を受け、今年は除去を行う事となりました
皆さん、初めての相手ながらも軽快に外来種を抜いていきます。
※活動中の写真。引いたアングルでは見えない小さな個体も残らず抜いていきます。
途中、多くの観光客の方にも声を掛けていただき、活動のPRも中々出来たのではないかと思っています。
リレーのような形で、礼文から利尻・サロベツの別地区へと除去活動のバトンを渡していくのは昨年度以前から変わりません。パークボランティアさん達と一体になって動ける本活動が、今後も普及啓発の継続や外来種の抑制になればと願っています。
※今回の参加メンバー。スタッフを含めて8人での活動となりました。成果は45ℓゴミ袋5袋分でした。
最後に花についてのお話をします。
※礼文島6月上旬某所にて撮影しました。
夏に咲くハクサンチドリの白花です。過去に撮影場所とは別のコースで盗掘されてしまった事例もある珍しい花です。心無い方によって自然が傷付けられてしまうのはとても悲しいことです。
先日、桃岩展望台コースにて「立ち入り禁止」という立て札まで立っている場所にもかかわらず、はっきりとした踏み跡がコース外に付けられているのが発見されました。
桃岩展望台コースの脇に咲いたレブンアツモリソウを近くで写真に撮ろうとしたのではないか、と地元の方は仰っていました。不用意にコース外に入ってしまうと、そこで育っている植物たちが傷付いてしまいます。
また、珍しい花の周りに踏み跡が付くとそれが目印となり、盗掘を考える人間にとって格好の獲物となってしまいます。
それを防ぐために、より厳しく立ち入りを規制する為のロープ補強作業を地元の方が行っているときにも、「もっと近くで撮影したい。コース外に入っても良いか?」と聞いてくる方もいらっしゃったそうです。
今一度、「何故コース外が立ち入り禁止となっているのか」をよく考えてください。
珍しい花などを見かけても、手を触れず、立ち入り禁止場所には入らず、マナーとルールを守って鑑賞して下さい。これは礼文島に限りません。日本の素敵な自然を守るためにも、宜しくお願いいたします。
2018年06月06日自然再生事業地で、ヒメシャクナゲに包まれる
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子
薄着になる前に、顔と手だけが日に焼けてきて困っている、稚内の青山です。
5月31日、パークボランティアさんと共に、自然再生事業地へモニタリングを兼ねて巡視に行ってきました。
サロベツで環境省が行っている自然再生事業地は3箇所ありますが、どれも普段は立ち入ることができない場所となっています。調査等で入るための木道はつけられていますが、一人が通れる幅しかなく、バランスを崩すとすぐ湿原に落ちてしまうため、バランス感覚が求められる場所です。
そんな木道の状態を確認することと、自然再生事業地の現状を見ること、そしてその道中では、初夏を迎えつつあるサロベツ湿原を楽しむことを目的に行ってきました。
だだっ広い中を延々と木道が続きます。この木道の先では、2000年始めまでの30数年間、泥炭の採掘をしていました。当時、採掘に使われていた浚渫船(しゅんせつせん)という船が、サロベツ湿原センター横に展示されています。
掘った跡地には、製品として使われなかった残りが戻されました。戻されたあと、順調に植生が回復している所もあれば、回復せず何十年も植物が生えていない裸地の場所もあります。
環境省では、その裸地の場所に植生が定着するお手伝いをしています。
写真の中央あたりが、裸地の場所にネットを敷いている様子です。
少しずつですが、着実に植生が増えています。最初はミカヅキグサ(上の写真で灰色に見える所は全てこの植物の枯れた状態です)ばかりですが、その間から様々な種類が出てきています。
また、掘った跡がそのまま残り、開水面として残っている場所も多くあります。
遠くでカモ類やアオサギ、近くではツメナガセキレイが舞い降りる姿が確認できたり、水際を好む植物などを確認したり、自然に活用されている様子を垣間見ることができました。
泥炭採掘跡地の自然再生事業地は、大きく手を加えていくのではなく、これからも変遷を見守っていきたいと思う場所です。
更にこの周辺は、ミズゴケを中心とした高層湿原の植生を楽しめる場所でもあります。
この日は、ヒメシャクナゲが見頃でした。
小さな花が、あちらこちらに咲いていてピンクの絨毯になっている様は圧巻です。
ミズゴケの中に、ツルコケモモの実が残っているのも見つけました。
細い木道でバランスを保ちながら頑張って歩いた、ご褒美をもらえた気分になりました。
高層湿原だけではなく、中間湿原部分も見応えがあります。この日は、咲く一歩手前のエゾカンゾウを見つけたり、ワタスゲの穂や、行きでは閉じていたタチヤマリンドウが帰りには開いている所を見ることができたりと、道中は楽しい発見がいっぱいです。
普段入れない調査用木道は、サロベツ湿原の歴史、課題、取り組み、湿原植物、鳥などなど、様々な要素を見る、知る、感じることができる素敵な場所です。
行ってみたくなった方、いませんか?
普段入れない場所だからと、がっかりする必要はありません!
10月まで毎週1度、ガイドの案内で行く「バックヤードツアー」が開催中だからです。
私たちが今回行った、泥炭採掘跡地を見に行けます。
詳しくは、下記をご覧下さい。
http://sarobetsu.or.jp/swc/topics/950/
サロベツを満喫できること、間違いなしです。
少数定員ですので、要確認と要予約でお願いします。
湿原では、次の主役たちがスタンバイ中です。皆様のお越しをお待ちしております!
2018年06月05日礼文最盛期到来!
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
皆様こんにちは。礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
ついに気温30度が北海道でも度々観測され始めるようになりました。
礼文島の最盛期である夏がいよいよやって来ました。
まずは礼文を代表する花の中でも、アイドルのような扱いを受けている固有種であり、絶滅危惧種として選定されているレブンアツモリソウ。今、まさに盛りの時期を迎えています。
※アツモリソウ群生地では既に多くのレブンアツモリソウの花を見ることが出来ます。
白い鞠のような花が可愛らしいですね。
礼文島北にあるレブンアツモリソウ群生地には既に多数の花が咲いて久しく、もうそろそろ色づき花が落ちるものも出てくるかも知れません。
一方で、南の桃岩展望台コースのレブンアツモリソウは、これからが見頃になります。
是非探してみてください。
(見つけてもコース外には入らず、歩道から観察してください。)
そして、桃岩展望台コースと言えばこの花も欠かせません。
レブンハナシノブです。
※レブンハナシノブはこの写真のように花序(花の配列状態のこと。チューリップのような一つの花を付けるものやアジサイの様に花が集団で咲くものもあります)が密集している形で咲くそうです。
カラフトハナシノブというよく似た花の"品種"にあたるそうですよ。
毎年ご紹介していますが、この花も夏の時期に礼文を彩る美しい花です。
咲いているものとまだ蕾のものが半々といった感じです。これからどんどん花が開いていくでしょう。
個人的にはとても気に入っているお花です。
これから礼文にはクロユリ、レブンキンバイソウ、イブキトラノオ、レブンシオガマ、オオスカシユリ、
エゾカンゾウなどなど様々な花が咲き乱れていきます。
カラフルに彩られる、今でも夜はちょっと肌寒い?涼やかな礼文島は多くの人々で賑わいを見せています。
[おまけ]
※ゴロタ岬にてハヤブサに出会いました。こんな風に礼文には鳥たちも姿を現します。
また良い写真は撮れませんでしたが、ミゾゴイにも遭遇しました。
礼文では、かなり珍しいそうです。運が良ければ貴方も珍しい鳥に出会えるかも?
※今年もアクティブレンジャー写真展を行う事になりました!
現在、礼文島でも香深フェリーターミナル喫煙室横で絶賛開催中です!
宗谷地方では1ヶ月間礼文島で展示した後は、利尻島鴛泊フェリーターミナル、サロベツ湿原センターと
場所を移していきます。
アクティブレンジャーの仕事や各国立公園の風景を写した写真などがございますので是非ご覧ください。
(詳細については、当サイト5月30日掲載の『「アクティブレンジャー写真展2018~北の自然の舞台裏~」
開催のお知らせ!』の記事をご確認下さい。)
2018年05月25日春爛漫な礼文島にて
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
礼文島担当アクティブレンジャーの小笠原です。
今年度も礼文の様子をしっかり伝えていけるように頑張ります!!
さて、暖かい日が続いた4月、逆にちょっと肌寒く感じる5月が過ぎていく中、礼文島はすっかり花の季節を迎えています。春の花の代表格「エゾエンゴサク」や「キバナノアマナ」、そして桃岩展望台では初夏に咲く「エゾノハクサンイチゲ」が一面に花を咲かせています。
※霧が立ちこめた桃岩展望台より。白いエゾノハクサンイチゲがあちこちに見えます。春から初夏に掛けてよく見られる、礼文島の風物詩とも言えますね。
これから夏に向けて少しずつ暖かくなっていく礼文島。
今はまだ芽だけですが、もう間もなく礼文を代表する「レブンアツモリソウ」が咲く季節もやって来ます。礼文の花のシーズンは盛り上がりを見せています。
※写真中央に生えているのがアツモリソウの芽です。ここの株はそれなりの大きさですが、アツモリソウ群生地の株はまだサイズが小さいです。最近の気温の変化が生育に影響を及ぼしているのでしょうか。
そんな春と夏の間を行き来する日々が続く中、先日、礼文町で「みどりの日」自然環境功労者大臣表彰伝達式が行われました。
本来は東京で執り行われる本式典ですが、諸事情により礼文町にて北海道地方環境事務所の所長が代行する形で、表彰状伝達式が行われることとなりました。
表彰されたのは、礼文島在住の杣田美野里さん。昔から礼文の自然を愛し、環境保全に精力的に活動してきた方です。環境省も大変お世話になりました。これからも宜しくお願いします!!
※杣田さん(右)と北海道地方環境事務所長(左)。杣田さんはエッセイストでもあり、自然について色んな本を執筆なさっています。是非読んでみてください。
めでたい出来事も重なって礼文島はどんどん活気付いています。
礼文島は今年も賑やかになりそうです!
2018年02月23日ワシゴマセンサス2018
利尻礼文サロベツ国立公園 今泉潤
こんにちは。北海道最北、国境離島である利尻島の今泉ARです。
オオワシ・オジロワシは環境省レッドブックの絶滅危惧種に指定される希少野生動物です。それらの動物が増えているのか減っているのか長期にわたって固定された条件の元で調べることは重要な活動です。
オオワシ: http://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/owashi.html
オジロワシ: https://www.env.go.jp/nature/kisho/hogozoushoku/ojirowashi.html
毎年2月の第三日曜日は北海道全体で一斉にオオワシ・オジロワシを観察し、その数を調査しています。
利尻島にも精悍なオオワシ・オジロワシが冬になるとシベリアより渡ってきます。同時期にゴマフアザラシもやってきます。これらの数をカウントして記録するのが「ワシゴマセンサス」です。
今年から利尻礼文サロベツ国立公園パークボランティアの皆さんにも参加を募り一緒に調査を行いました。
前日はフェリーが欠航するほどの荒れた天気でしたが当日は雪ときどき晴れの好天に恵まれ、観察日和でした。利尻町立博物館の学芸員、地元在住の方々に混じって稚内パークボランティアも参加し総勢7人でマイクロバスにのって出発!観察に適した天候エリアを優先的に訪れるために時計反対回りで島を一周しました。
車内で誰かが見つけると他の人が確認します。遠くなのでカラスと間違えてしまうこともしばしば。
安全に停車できる場所で下車し双眼鏡やフィールドスコープで観察。その美しさ・精悍さに驚きやため息が聞こえてきます。
今年は残念ながらオオワシを発見することはできませんでしたが、オジロワシが8羽、ゴマフアザラシを2頭確認できました。
緑あふれる夏の利尻島も良いのですが、厳冬期2月の利尻島もその時期ならではの大自然に出会えます。天候次第ですが毎日飛行機もフェリーも運行しています。冬も営業している宿もあります。来冬はワシゴマセンサスに参加してみませんか? 誰でも参加できますので事前申し込みをお願いします。
マイクロバスから真剣に探す
ワシの観察
オジロワシ発見!(フィールドスコープにデジカメを合わせて撮影)
まとめ---観察種別と数の確認
当日は見えませんでしたが月に1~2回利尻山山頂までの素晴らしい景色に出会えます
(2018年2月2日の仙法志御崎園地からの写真)
2018年02月07日冬のカモ観察会を開催しました!
利尻礼文サロベツ国立公園 青山留美子
今日はとても寒いな~と思っていたら、稚内の事務所からも流氷が見えました!
寒さに震えながらも、流氷に胸弾ませている、稚内の青山です。
事務所のある建物内より撮影(奥のぼやっとした山並は、サハリンです)
流氷もやってくるほど寒い毎日ですが、2月3日(土)に、稚内の港を舞台に「冬のカモ観察会」を開催しました。
寒い中、わざわざ港に出かける訳ですが、その甲斐があると思えるほど、冬にしか見られない海鳥たちに出会える場所です。
当日は、パークボランティアさんの協力を得ながら、会場設営や資料準備などを行いました。
そして、港で見られるカモしれない鳥たちをまずは写真で紹介し、双眼鏡の練習もして、港に行ってからの準備を万全に整えます。
港に移動したら、いよいよ観察&調査の開始です。
調査は、稚内の代表的な3種類であるコオリガモ、シノリガモ、クロガモを4年前からカウントしてもらっています。
今回はそれらを見つける前に、オジロワシが止まっていたり、オオワシが旋回していたり、更にはゴマフアザラシが顔を出していたりと、とてもラッキーな出会いが沢山ありました。
移動する度に風が強くなり、寒さが増していきましたが、約1時間、港での観察を皆さん楽しまれていたようでした。
皆さんがカウントした今年の結果は以下の通りです。
コオリガモ 13~15羽
クロガモ 21+羽
シノリガモ 40+羽
今までのカウント数と比べると、数は少ないのですが、
近くで見ることができたり、大群でいるところが見えたりなど、満足感が得られました。
サービス精神旺盛な子ばかりいてくれたのでしょうか?
寒い毎日ですが、今しか見られない鳥たちが、私たちの日常の近くにいます。
あなたの町の港にもきているカモしれません。
是非、会いにいってみて下さい。
2017年12月26日年末目前、冬の礼文と宗谷
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
皆様こんにちは、礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
クリスマスも過ぎていよいよ年末。年越しに向けて慌ただしくなってきたこの頃ですが・・・、悪天候が続きますね。
前にニュースでやっていましたが今年はラニーニャ現象が発生しているかもしれないそうです。冬型の気圧配置が強まるらしく、今年の冬は寒くなりそう・・・というか、寒いので、気を付けて日々を過ごしていきましょう。
今回は3つのスポットを分けてご紹介いたします。
『礼文島の様子』
まずは、冬となってすっかり雪化粧した礼文島からです。
12月初頭の時点で桃岩展望台へ向かうための道もこの通り。通行止めとなりました。
一応、雪深い中を歩いていけば展望台にも向かうことは出来ますが、礼文の観光については一先ずお休みといったところでしょうか。
『クッチャロ湖の様子』
次はクッチャロ湖の様子。
ちょっと前になってしまいますが、これは11月下旬のクッチャロ湖の写真です
この時点で既に多くのハクチョウ、カモがやってきています。
秋から少しずつ日本へと渡ってくる彼ら。浜頓別町にあるクッチャロ湖には、毎年多くのハクチョウやカモがやってきます。一部はクッチャロ湖で休憩した後、別の場所へと飛び立ち、また一部はクッチャロ湖に残って冬を越す。この時期のクッチャロ湖はとても賑やかです。
『宗谷の様子』
最後に宗谷地域全体の様子です。
この時期の特徴は何と言っても、ワタシが大好きなオオワシが宗谷へと渡ってくるということです。冬を越すか、あるいは更に南へと飛び立つか。この時期はワシの成る木がある、なんて言われるほど多くのワシがやってきます。今年もたくさんのワシたちが渡ってきました。
しかし、この写真は去年のモノ。今年はまだ写真が上手く撮れていないのです・・・。
ワシたちが居なくなってしまう前に何とか撮影したいですね。
今年のワタシのAR日記の投稿はこれで最後となります。
来年も皆さんに様々な礼文・宗谷の情報を伝えられるように頑張りますので、これからもどうか宜しくお願いします!!
よいお年を!!!
2017年10月13日冬は目前?秋半ばの礼文島
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
皆さんこんにちは!
礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
10月に入り、各地の山で初冠雪が見られるようになりました。
その先頭だったのが、礼文からも見られる利尻山。
冬はもう目前、といったところでしょうか?
礼文島ではとうとう花を殆ど見かけなくなりました。
今の礼文島は黄金色に色づいた草と少しずつ赤や黄色に染まり始めた落葉樹の葉が島を彩っています。
※秋の風景。場所によってはこのようにまだ緑が残っていたりしますが、殆どの草が既に色づいています。
ちなみに、木については常緑樹が多い為、真っ赤に色づくものは少なめです。
また、前回の記事で紹介しました環境省の自然歩道整備も順調に進んでいます。
工事の進捗も速く、間もなくキンバイの谷の遊歩道は綺麗に生まれ変わります。
※真っ直ぐに伸びていく新しい遊歩道。業者の方々が忙しく動いていらっしゃいます。
最後に紹介するのは、コレ。これはなんだか解りますか?
正解は、礼文島の希少種・レブンアツモリソウの実です
今までの記事でも紹介してきた、あの白いレブンアツモリソウの花が実を結ぶとこのような形となります。
この時期になると、レブンアツモリソウは次々に実を付けて、その後弾けるように割れて種を飛ばします。
花を見たことがあるという方はいらっしゃっても、実を見たことがある人は少ないのではないでしょうか?
そんなアツモリソウの実ですが、今年は例年に比べて礼文島全体で実を付けた者が著しく少ない事が確認されています。原因は天候によるものか、受粉を助けてくれる虫が少なかったのか、そもそも実が付けられる状態ではなかったのか。
実はレブンアツモリソウの生態にはいくつかの謎が残っており、現在を以て尚、多くの不思議を抱えているのがこの花なのです。専門家の方すら頭を悩ませるその神秘が、この植物の魅力なのかもしれませんね。
以上、秋半ばの礼文島よりお届けしました。
2017年09月25日秋の礼文島とヘリコプター
利尻礼文サロベツ国立公園 小笠原涼太
皆さんこんにちは!
礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
先日の日本はすさまじい台風に見舞われましたね。
稚内も大荒れで、フェリーは当然のように欠航しました。最近は北海道にも台風が直撃する事が多くなってきて、地球環境や日本の気候が少しずつ変化していることを感じます。
そんな台風が来る少し前、礼文島では、秋の花として有名なリシリブシやコガネギクといった鮮やかな色の花が咲いていました。今年は台風以前から風が強く、花弁が飛ばされたり、花自体が倒されたりとダメージを負った花も多かったのですが、それでもまだまだ咲いている姿を見ることが出来ました。
※リシリブシ。ハチたちもこの時期は蜜集めに大忙しです。が、リシリブシはいわゆるトリカブトの仲間。根も葉っぱも茎も蜜も、毒だらけです。この時期は養蜂家の方も蜂蜜を取らないという話。・・・どうしてハチたちは大丈夫なんでしょうね?
そして、この秋真っ只中の礼文島で今年も環境省による自然歩道の整備が始まりました。
今回、私が立ち会ったのは整備する際に使用する資材をコースへと引き上げる作業。
周りの植生を出来るだけ傷つけないように気をつけながらの作業となります。
※バラバラバラ、と大きな音をたてながら資材を宙づりにコースへと運んでくるヘリコプター。秋の透き通った空をバックに力強く飛んできます。
※あらかじめ決められた場所に丁寧に資材を降ろしていきます。業者の皆さんはやはり手慣れていて、非常にスムーズに作業が進んでいました。
これからしばらく桃岩展望台コースにはこの降ろされた資材が道路脇に見えてくることになります。草の上に置いて花は大丈夫かと思うかもしれませんが、きちんと場所については検討を重ねていますのでご心配なく。来年にはまた新しい花が見られるようになるでしょう。整備区間はキンバイの谷前後周辺です。
来年には、綺麗で歩きやすい歩道が出来上がりますので、楽しみにしていて下さいね。
こんにちは。礼文担当アクティブレンジャーの小笠原です。
最近は日本各地で猛暑となっていますね。
本州の方では40度を超えるような、暑すぎる日が続いているようです。
北海道でも熱中症には常に気を付けなければいけない時期なのですが・・・、本道から離れた礼文島では熱中症とは無縁だったりします。
吹き抜ける海風は涼しく、気温も上がったとしても20度を少し上回るくらい。
桃岩展望台などのトレイルコースでは、標高が少し上がることもあって清涼な空気に包まれています。
正に避暑地と言っていいでしょう。
さて、そんな誰もがうらやむ涼しさに包まれている夏の礼文島の様子をご紹介します。
※6月下旬のゴロタ岬にて。手前にレブンシオガマ、奥にチシマフウロがあります。
夏の礼文を代表する花たちです。
夏の礼文島は色鮮やかな花々が多数咲き乱れます。
レブンキンバイソウなどが代表する黄色、チシマフウロなどの青、レブンシオガマやイブキトラノオといったピンク、レブンウスユキソウもしくはエゾニュウを初めとしたセリ科の植物による白。都会では見られない目の前一面の草花は、きっと暑さにまいった心もいやしてくれるでしょう。
※レブンウスユキソウ。ちょうど今の時期がピークです。
これから緩やかに終わりへと向かっていきます。
さて、花は見頃であり活動しやすい気候のため、多くの人が訪れている礼文島。
島を訪れた方々に礼文島の自然について知ってもらい、自然を守る活動のPR、トレイルコースを歩く際のマナーの普及を主目的とした「高山植物盗掘防止パトロール」が先日、7月20日に礼文島で行われました。
※パトロール中に出会った観光ツアー中の皆様(左側)にパンフレットをお配りしました。
あいにくの天気でしたが、それでも出会った方々にPRを行いました。
貴重な高山植物を盗掘から守るためのパトロールでもありますが、白昼堂々と盗掘を行う人は、最近は見かけなくなりました。
このため、このような日中のパトロールで大切なのは、たくさんの人に「自然を守るための活動」を知ってもらうことにあります。
正しい事を知っている人の目が増えれば、盗掘を考えている人達も動きにくくなり、正しい歩き方を観光客の方々が知ってくれれば、礼文の道が荒れるようなこともありません。
礼文の美しい自然を守るのは、私達のような関係者だけでなく、礼文島を愛する全員なのです。
※礼文島某所にて撮影したリシリソウ。今の時期の礼文島であれば良く咲いているのですが、
見ての通り、色が緑色に近く、また小さなお花なので見つけるのがちょっと難しいです。
また『リシリ』と名前に付いていますが、実は礼文島の方がよく咲いていたりします。
もちろんこの写真も歩道から、そしてコース外に足を踏み出すことなく撮影しています。
先日の暴風雨で花たちもダメージを受けましたが、まもなくツリガネニンジンやコガネギクといった新たな花々が顔を出してきます。
雨にも風にも負けず、そして猛暑と無縁の礼文島。
暑さにへこたれそうになったら、是非癒やされに礼文島へとお越し下さい。