北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。
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アクティブ・レンジャーとは、自然保護官の補佐役として、国立公園等のパトロール、調査、利用者指導、自然解説などの業務を担う環境省の職員です。管内には、利尻礼文サロベツ、知床、阿寒摩周、釧路湿原、大雪山、支笏洞爺国立公園があります。
歩き始めからすぐに急登が続くこのコースは、「登りも下りもきつい」と敬遠される方もいますが、見所が沢山ある魅力的なコースです。今日はこのコースの旬の見所を少しご紹介します。
この日、急斜面を登り始めてすぐ目に飛び込んできたのは、大雪山山麓の林内に生育するユリ科の植物、ハゴロモホトトギスです。
ハゴロモホトトギスは大雪山固有種であり、生育地・生育数ともに稀で、大雪山でも私が実際目にしたのはここ天人峡周辺だけです。一時期は盗掘などで天人峡周辺でも数株しか残っていないという話を聞いたこともありますが、この日は丁度開花時期に当たった為か、歩道脇のあちこちで黄色に茶色の斑点を散りばめたハゴロモホトトギスを見ることができました。それにしても花なのにホトトギスって、一度聞いたら忘れられないユニークな名前ですね。
その他にも、ギンリョウソウ、アリドオシラン、コバノイチヤクソウなどの林床植物を観察しながら登山口から1.3km、ぐんぐん高度を上げていくと突然視界が開け、目の前に旭岳と羽衣の滝が姿を表します。この滝見台と呼ばれる開けた場所から見る景色はとても緑深く荘厳で、大雪山が豊かな自然に囲まれた場所だという事を改めて実感させてくれます。
滝見台からさらに3.6kmほど進むと第一公園と呼ばれる湿原に着きます。湿原には木道が整備され、エゾカンゾウ、タチギボウシ、ミヤマリンドウ、ワタスゲ、ホソバノキソチドリなどが見頃を迎えています。
この他にも、すっかり夏毛に生え替わりまるで別の動物?に見えるエゾリスが樹から樹に飛び移る姿を目撃したり、かわいそうになるくらいクマゲラに穴だらけにされたトドマツを発見したり、高山帯とはまた違う魅力あるコースです。
※今春の強風で倒れ歩道上を塞いでいた倒木は現在処理されています。
※天人峡羽衣の滝・遊歩道は現在、土砂崩れの為立ち入り禁止になっています。
ハゴロモホトトギス
滝見台から見下ろす羽衣の滝
第一公園の湿原(写真提供:東川事務所 田畑レンジャー)
クマゲラによって穴だらけにされたトドマツの樹