ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2007年8月 7日

2件の記事があります。

2007年08月07日洞爺湖 ウチダザリガニ防除

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 加藤 康大

7月24日(火)?8月1日(水)、洞爺湖温泉街にて、外来生物であるウチダザリガニの防除を行った。
「外来生物」とは、本来その地域には生息していなかったが、人間の活動によって他の地域・国から持ち込まれた生物で、もともとその地域に生息している「在来生物」や、自然環境に大きな影響を及ぼし、生態系のバランスを崩すことで問題化している。
ウチダザリガニの場合、在来魚等の卵の補食、住処やエサ、産卵場所となる水草の補食が考えられ、また繁殖力も強いことから、湖沼や河川の生態系を大きく変化させてしまう恐れがある。

洞爺湖でも3年前にウチダザリガニの生息が確認され、今後の生態系へのダメージが懸念されている。

洞爺湖でのウチダザリガニの捕獲には、潜水士による手捕りと、カゴ等を使用した捕獲の2パターンがあり、今回はカニカゴによる捕獲を実施する。
7月24日(火)、洞爺湖温泉街湖畔にカニカゴ計26個を投入。円柱形のカゴの中に、エサとなる魚のアラを入れ、水深7m?8mに多く生息するウチダザリガニがカゴに入りやすいように、カゴを湖底に着地させる必要があるため、長さ約10mのロープを取り付けたカゴを湖に放り込み、ロープの端は手すり等に結ぶ。(※ロープには環境省のタグが付いています。見かけても触れないようにお願い致します。またカゴを使用した捕獲には許可が必要になります。)カゴは湖に沈めたままにし、毎日全カゴを引き上げ、中に入ったザリガニを捕獲し、カゴは再び湖へ。これを1週間繰り返す。

「たくさん捕れるといいなぁ」「いやいや、たくさん捕れちゃダメなんだ…」という複雑な心境の中、7月25日(水)カゴ上げ初日。 いるいる…。 多い場所ではひとカゴに40?50尾。期待に応えて(反して?)大漁。初日は229尾、今シーズン最大となる体長(目から尾の先まで)136mm、体重194gという大型の個体を含め、8日間で計478尾を捕獲。(※今年度は、8月現在で1905尾。昨年度は1年間で1367尾。)うーん、やっぱりたくさんいるんだな…。

今のところ洞爺湖では、温泉街付近、約1.8kmに渡って生息が確認されているが、他の場所では未確認。なんとか今後の生息範囲の広がりを食い止め、長流川や、サクラマスの遡上が見られる壮瞥川への流出は防ぎたい。私たちのカゴによる捕獲では捕れる数にも限界があり、根絶は困難。現時点で効果的な防除方法や、組織的な防除システムの構築が必要。捕獲や運搬を規制する外来生物法の問題もあり、クリアしなければいけない課題は多いが、ぜひ地元の皆さんの協力をお願いしたい。

最後に。ウチダザリガニを日本に持ち込んだのは人間の勝手。ザリガニにはなんの罪もない。水産処理場に運ばなくてはいけない大量のザリガニを前に、毎回いたたまれない気持ちになる。


ウチダザリガニ?

ウチダザリガニ?

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2007年08月07日これは?

阿寒摩周国立公園 川湯 五月女 拓磨

みなさんはじめまして。川湯ARの五月女拓磨です。

世の中には変なものがたくさんあります。普段気にしなければ気にならないのに、一度気になってしまうと、気になりっぱなしになってしまうものです。
今回は7月25日に和琴半島の探勝路で、私が出会った『変なもの』について書きたいと思います。

ちなみに和琴半島とは屈斜路湖に突き出た半島で、探勝路は一周4km程度と短く、誰でも手軽に自然を満喫でき、数多くの植物や鳥類と出会える場所であるため散策におすすめです。また火山の影響を受けて地熱が高く、冬でも凍結しない場所があるため、多くの生物の生息を可能にしています。中でも和琴のミンミンゼミは生息の北限地として国の天然記念物にも指定されています。

そんな和琴半島での『変なもの』との出会いは突然でした。
彼(?)は、たった1個体のみで佇んでいました。ますます変だ…


これが変なもの。
葉はないし、なんかビヨーンと出ているし…。
とにかく、目立つようで目立たないやつでした。


アップ写真!
近づいてはじめてランの仲間だと気づきました。


変なもの改め、ランの仲間と思われる植物を、帰ってから図鑑で調べるとオニノヤガラというラン科の植物だと分かりました。真っ直ぐに伸びた花茎を鬼の使う矢に例えたことから『鬼の矢柄』という名前がついたのだそうです。
葉緑素を持たない腐生植物で、ナラタケ菌と共生をしています。だから、葉が見あたらなかったんです。

和琴半島にはまだまだ『変なもの』がたくさん潜んでいるはず。ぜひ探してみて下さい。
ただし、蚊があなたの血液を求めて、まだまだ飛んでいます。献血するつもりがないのであれば、きちんと虫除け対策は行っておいてください。


参考文献
 監修/林弥栄 写真/平野隆久 解説/畔上能力・菱山忠三郎・西田尚道(2002)山渓ハンディ図鑑1 野の花.山と渓谷社

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