ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2009年10月

18件の記事があります。

2009年10月13日秋終盤~秋色色

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 浅田 唯衣

 羊蹄山はもう初冠雪を終え、山頂付近の谷筋はうっすら白く化粧されています。洞爺湖湖畔沿いや有珠山山麓の木々は色づき、気温もぐっと下がり冬へ着々と向かっているようです。日は短くなって仕事帰りのバスからは、満月が洞爺湖を照らし、湖面に光の帯が映る様子を見ることもできます。
 四十三山の巡視に入りました。すっかり落ち葉ロードになり、赤い実をつけたカンボクやガマズミ、ノイバラがすでに終盤です。歩道入り口にあるクリの木も実をぼたぼたっと落ち、歩道を歩けばカツラの葉からはキャラメルのこがした様なにおいも漂います。四十三山には多いオオウバユリも、実から種子がはじける寸前です。その種子は「キツネの小判」といわれているそうで、この時期、小判が何枚も入っているのを見ることができます。もう時期、実がはじけて風に飛ばされるのでしょう。


狐の小判。オオウバユリ。
オオウバユリは「大姥百合」と書き、種子から開花するまでに10年以上かかるそうです。白い花の咲く頃に、葉が枯れてなくなることから、姥の歯が抜けることをたとえたようです。またノブドウを初めて見ました。ほぼ全国で見ることの出来る、つる性の落葉木で水色や紫色と濃淡もあり宝石のような実を付けます。この実の色を見たときなんて自然から生み出される色はすごいのだろうと感動しました。


色鮮やかなノブドウ。

しかし帰って調べてみたところ、ノブドウの本当の色は赤紫で、ブドウタマバエやブドウトガリバチといったハエやハチの幼虫が寄生することで紫や水色になるのだそうです。自然は共存していることも改めて実感です。これからは紫色の小さな実をつけるムラサキシキブも四十三山を彩るでしょう。
 自然界にはたくさんの秋色で色づいています。オレンジもあれば水色もそして赤もあれば紫も。みなさんぜひ自分の秋色を色々探して下さい。


洞爺湖ビジターセンターから望む夕暮れ間近の有珠山。



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2009年10月09日空から見た釧路湿原

釧路湿原国立公園 釧路湿原 磯野 満里子

先日、釧路湿原を空から撮影する作業に立ち会うチャンスがありました。

空から撮影、というとすぐに思い浮かぶのはヘリコプターやセスナに人が乗りこんで撮影する方法でしょうか。
しかし今回飛んだのは我々人間ではなくこちら、「バルーンカメラ」。



バルーンの下にデジタルカメラ等を取り付けて撮影する機材です。
(赤丸印のところにカメラがついています)
リモコンで撮影向きやシャッターを操作できる仕組みで、カメラの画像を地上のPCモニターで受信しながら作業できます。

今回は釧路湿原周辺の4カ所で業者さんにこのバルーンカメラを上げて頂き撮影を行いました。
バルーンは地上とワイヤーで繋がっており、ヘリコプターのように自由自在に飛び回る、というわけにいかないので、ポイントごとにバルーンを上げ下ろししました。
またバルーンが木などに引っかからないように、上げ下げの作業には開けている駐車場やキャンプ場の敷地などを使わせて頂きました(オレンジ色の大きなバルーンはとても人目を引いていました)。

果たしてその実力やいかに!
私もリモコンでの撮影に挑戦しましたので、今回撮影した写真を使って釧路湿原を空からご紹介します。




細岡展望台の駐車場から釧路川を撮影しました。
細岡展望台は釧路川が蛇行しながら釧路湿原を流れていく景色が見られることで人気がありますが、上空からだとこの蛇行がよりはっきり見えます。
釧路湿原を紹介する場面で「いかにも釧路湿原らしい景色」というと真っ先にこのような写真を資料として求められる場合が多いので、是非とも欲しかったショットです(自然保護官 談)。

この写真では、蛇行のカーブの途中から細い直線的な河道が湿原に延び得ているのが見えます。
湿原周辺は陸路がまだ不便だった戦前は水運が流通に大きな役割をはたしていたようですが、これもその頃に作られたものなのでしょうか?湿原北側の丘陵地にあった民家では近くの川から家の側まで水路を引き、生活の足にしていたといいます。

(上空とは角度は異なりますが、展望台からも蛇行を含む釧路湿原の眺めが十分堪能できます。是非お立ち寄りを!)




次は、釧路湿原の特別保護地区内の核心部に位置する赤沼です。
この赤沼の周辺は、貴重な湿原植生の宝庫なのですが、今回空から見てみたらその貴重な植生の中に想像以上に「エゾシカ道」が縦横無尽についていました。
(掲載している写真のサイズでは見えにくいですが)
数が増加しているエゾシカの影響は釧路湿原でも懸念されています。
定期的に上空から撮影できれば、十分モニタリングにもなりそうです。

今回撮影した地点は、私にとっては日々の巡回で見慣れた景色なのですが、ほんの100~200mでも上空から見ることで環境の状況や変化がより分かりやすい場合もある、と実感しました。
撮影作業をしながら、季節ごとに撮影できたら・・・あそこも撮影できたら・・・と希望(欲望?)がバルーン並に膨らんでいきましたが、とりあえず今回の撮影は1日で終了。

自然環境や施設の状況など、国立公園の環境は日々変化しています。定期的に現状を画像として記録し、資料として蓄積することも国立公園を管理する上で大切な作業です。
今回の撮影分も資料に加えて、今後活用していきたいと思います。


*撮影した写真を「環境省 釧路湿原野生生物保護センター」に展示しています。
 お近くへお越しの方は是非ご覧下さい。

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2009年10月08日ホロホロ山

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 浅田 唯衣

 先月、ホロホロ山登山道の巡視を行ってきました。ホロホロ山は伊達市と白老町にあり、登山コースは、伊達市大滝から日鉄鉱山跡コースから徳舜別山とホロホロ山へたどる登山道と、もう一つは白老町から登る白老コース(ホロホロ山登山口より)があります。白老コースは国立公園内にあり、ホロホロ山の山頂を境にしています。
 ホロホロ山への白老コースは昭和58年に出来た登山道で、利用者は日鉄鉱山跡コースよりは圧倒的に少ない状況です。道道から林道に入り、約4.5kmで「ホロホロ山登山口」という看板が設置されてある旧登山口があります。(標高650m付近)ここには登山者名簿があるので入山の場合は記入しましょう。ここから4.5合目(標高840m付近)まではかつて登山道が沢沿いに延びていましたが、現在は通行不可です。ここからは4.5合目まで林道が伸びているので徒歩か、車で上がります。車の場合は、4.5合目の登山口は3台程のスペースしかなく、また林道は雨水により段差が激しく、落石の可能性もあるため乗用車(?)はおすすめしません。




ホロホロ山頂手前の名前のないピーク。斜面は紅葉していました。
 
 そこからの登山道は迷う道もなく、途中ダケカンバの合間から、支笏湖や樽前山、恵庭岳、無意根山を望むことができます。樽前山山頂にある溶岩ドームからは噴煙が出ているのを確認できます。




ホロホロ山山頂より支笏湖、樽前山、恵庭岳が見える。

紅葉は約1000m付近まで下りていました。さらに上がるとハイマツ帯に入り、ますます、支笏湖が目前にせまるような景色が見られます。登山道沿いには鮮やかな紫色のエゾリンドウが目を引きます。ハイマツ帯を標高差100mほど上がれば、そこはもう360℃のパノラマ。近くはオロフレ山、羊蹄山、有珠山、洞爺湖、駒ヶ岳など、また遠くには日高方面の山々の展望が開けます。またなんと言ってもホロホロ山頂から歩いて30分もかからない距離に徳舜別山がせまります。山の形は三角帽子のようで、長く稜線に延びる登山道が帽子のてっぺんにつながっています。斜面はオレンジ、緑など色鮮やかになっていました。ホロホロ山は別名、徳心別山で標高1322.4m。徳舜別山は1309mです。なぜホロホロなのかはわかりません。でもステキな山名です。ぜひここまできたら徳舜別山へ登ってみましょう。




三角帽子の徳舜別山。

 この山域はクマも出没します。注意しましょう。また、ホロホロ山山頂からは北に延びる稜線が登山道と間違えやすくガスがかかっているときは要注意です。山頂からはやや東に向かいます。タイムコースは4.5合目からは登り1時間30分、下り50分ほどです。またホロホロ山の巡視は来年です。



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2009年10月07日徐々に白い世界が・・・

大雪山国立公園 東川 宮崎 浩

10月に入り、雪の便りが山の上からだんだんと中腹のほうに降りてくる時期となり、町でもそろそろ雪虫が飛ぶ季節となりました。(注、私の周りにも雪を待ちわびているちょっと違った「雪虫」と呼ばれる人達たちがこの時期になると集まってきますが・・・)
 ついこの間、紅葉が始まったとお伝えしたばかりのような気がしますが、山ではもうすっかり季節は冬に向かっているようです。
 標高の高い旭岳や十勝岳方面に行かれる方は、そろそろタイヤも冬タイヤが必要な時期となりましたので、くれぐれもご注意を。


現在の東川周辺の紅葉前線はかなり下まで来ました(10月6日撮影)。写真は忠別ダム周辺の様子。週末の台風が心配です…。そろそろ見ごろを迎えるころですが・・・。

こちらはおなじみの中岳温泉。まさにここでは今、日本一早い雪見の露天風呂というところでしょうか。すでに登山道は積雪状態になってしまっているので、行くとすれば旭岳周辺を熟知している方でないとおススメ出来ませんが。

 新雪の上で珍しいものを発見しました、氷河期の落とし子といわれるダイセツタカネフキバッタです。バッタ目イナゴ科の一種で日本では北海道の高山帯にのみに分布しており、国外ではロシアのバイカル湖周辺から極東地方に分布しており、羽根がないというのが特徴の“あの”バッタです。秋に産み付けられた卵の中で冬を越し7月上旬に孵化して、成虫として見られるのは8月上旬から9月下旬くらいといわれているようですが、「こんな寒い中、よう頑張った」と言ってあげたいです!が、いよいよ雪が降ってきてしまい凍えて動けなくなっていたようです…(合掌)。また、来年元気な姿を見せてください。

寒い中、良く頑張っていましたタカネフキバッタ


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2009年10月06日雌阿寒岳(2009年9月29日)

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 阿部 恭子

 雌阿寒岳(1499m)への登山道は、オンネトー側、野中温泉側、阿寒湖側からの合計3つのルートがあります。この日は、そのうちで最も距離の長い阿寒湖側から登山道巡視を行いました。阿寒湖畔から車で20分ほどの所に登山口があり、そこから山頂までは徒歩で約3時間のコースです。

 登山口からはしばらくは、トドマツやアカエゾマツなどの針葉樹林が広がるなだらかな登山道が続きます。




『5合目周辺からの景色』

 5合目付近からは展望がよくなり、上の写真のような紅葉を望むことが出来ます。針葉樹に混じって赤く紅葉している樹の多くはナナカマドですね。


『マルバシモツケ』

 マルバシモツケも秋らしく色づいていました。葉先から根の辺りへ、赤から黄色のグラデーションになっているところがとても美しく感じられました。因みに、マルバシモツケは高山帯の荒原や岩礫地で見られる低木です。7月から8月にかけて白い花を咲かせます。

 7合目辺りからは、溶岩の尾根を進みます。そこから頂上まではあとわずか。


『山頂からの眺望』

 山頂では風を遮るものが全くないため、体感温度はかなり低く、冬用の帽子と手袋を持って行かなかったことを後悔しました…。

 雌阿寒岳ではまだ初雪の観測はされていませんが、今後登山される方は特に、低体温症には充分注意しましょう。また、今時期は冬眠前のヒグマが食料を求めて活発に移動する時期でもあります。実際、登山道沿いにヒグマのフン(ガンコウランの実が主)が発見されていますので、ヒグマ対策も万全に整えて出かけましょう。

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2009年10月05日秋の森の探検(その2:けったいなキノコ)

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

砂丘林の巡視では、形や色などがかなり風変わりなキノコたちに出会うことができました。

 私たちがキノコとして見ているのは、繁殖器官である子実体という部分であり、菌類が胞子を分散させるためのものです。
菌類は森の中で次のような役割を担っています。

・枯れた樹木などに取り付いて、これらを二酸化炭素とより元素に近いかたちにまで分解して森の物質循環を円滑にします。
・生きている樹木に寄生して時に枯死させ、樹木の間引きや森の更新を促しています。
・樹木の根と共生関係を結び、樹木が光合成でつくった養分を分けてもらうかわりに
 樹木が必要な養分と水を樹木単独の場合より効率よく取り入れる手助けをしています。
 
 上の役割によってキノコなど菌類は森を豊かで健全に保ちます。
この巡視で沢山の種類のキノコが見られたのは、稚咲内の砂丘林が豊かな証であるように思いました。沢山見られたキノコの中からいつくかご紹介します。
でも、砂丘林内は国立公園の特別保護地区に指定されていますのでキノコ採集はしないようお願いしますね。


 鮮やかな朱色が曲がりくねって細長く伸びた写真のこのキノコ、まるで蝋細工のよう。隣の針葉樹実生の艶のある濃い緑とのコントラストがとても美しいです。調べてみるとどうやらベニナギナタタケだと思われました。


ベニナギナタタケと思われるキノコ 


※しかし、ベニナギナタタケに似たキノコに猛毒のカエンタケというのがあって誤食をしないよう注意が必要です。カエンタケは北海道では特にまれなキノコで発生する場所も苫小牧市、恵庭市など限られているようですが
(五十嵐恒夫著:北海道のキノコ 北海道新聞社より)、
食べられるキノコ、食べられないキノコを見分ける際には、専門家に見てもらうなど確かな情報をもとに十分気をつけてください。「きっとこれは食べても大丈夫よ。」という思いこみは危険です。くれぐれもご注意を!

 また、鮮やかな緑に苔むした倒木の上にはかわいらしい白いキノコがちょんちょんと並んでいました。私にはこのキノコたちが「もののけ姫」に出てくる木霊みたいに見えました。この倒木はこれら白いキノコたちによって森の土に還っていく途中なのです。何キノコなのかは分かりませんでした。かわいらしいけれど毒かもしれませんね。


苔むした倒木に生える白いキノコ 倒木は白い水玉がついた緑の衣を着ているようです。


 そしてっ!最後に紹介するのは!なんと「ひげじい茸」!・・・と命名したくなるようなキノコです。
キノコの細長い針(胞子を飛ばす部分)の束が白くふさふさした立派なおひげのように垂れ下がっている様子は、NHKで放送している生き物番組「ダーウィンが来た」に登場するキャラクター、「ひげじい」にそっくりだと思いませんか?この「ひげじい茸」の正式名称はおそらくヤマブシタケであると思われました。このキノコの形が山伏が着る着物(結袈裟)についている丸い飾りに似ているためにつけられた名前だそうです。


「おおっ!こんなところにヒゲジイがっ!」 ヒゲジイにそっくりのこのキノコはヤマブシタケか・・・。


 人間とはかけ離れた生き物であるためかキノコにはどこか得体のしれないところがありますが、じっと観察しているうちに、人間やキノコに比べて人間により近い生き物には見られない色や形の斬新さ、ユニークさに魅せられました。

秋はキノコノコノコ・・・の季節。
皆さんも毒キノコには十分注意しながら、キノコを観察してみませんか。



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2009年10月05日秋の森の探検(その1:秋色づく)

利尻礼文サロベツ国立公園 稚内 賀勢 朗子

9月の中旬に地元NPOのスタッフの方たちと一緒に稚咲内の海岸砂丘林の巡視に行ってきました。

 海岸砂丘林はサロベツ原野に隣接する日本海の海岸線と平行に延びた細長い森林です。昔、日本海の潮流や冬の強い北西風と波によって陸に打ち上げられた砂が、風の緩急によって海岸線と平行に帯状の巨大な風紋として堆積して海岸砂丘となり、さらにその上にわずかな土が溜まって森が育ちました。これが砂丘林です。

 砂丘林には、エゾモモンガやクマゲラが巣を作るのによい木がたくさんあります。さらに、砂丘の谷間には雨水や雪解け水、河川からの水が流れ込んで湿地や湖沼ができ、エゾシカが水を飲みに訪れたり、水鳥たちが身を潜めたり、エゾアカガエルが産卵する場所になったりと、多くの生き物にとって大切な棲みかになっています。ここは利尻礼文サロベツ国立公園の特別保護地区になっています。

 砂丘林の中はひんやりとしていて湿った落ち葉の匂い。

ほのかに黄色や赤に色づき始めた樹冠を通してやわらかな秋の陽差しが降り注いできます。

林床にはゴゼンタチバナの赤い可愛らしい実。

ラピスラズリの吸い込まれるような青に似たツバメオモトの実。

実を糸に通して首飾りにしてみたいと感じてしまいます。

そして、丸い葉にきっちりと細かく刻まれた葉脈が亀の甲のような

オオカメノキは鮮やかな赤い実をつけていました。

この他にもツルシキミ、オオバスノキの実を見ることができました。

砂丘林の草木たちは実を結ぶ季節を迎えていました。

今年精一杯咲いた花たちが結んだ実、来年の森のサイクルに繋がっていくのでしょう。


ゴゼンタチバナの赤い実 株によっては5,6個実をつけているものもあります。


ツバメオモトの実 


オオカメノキの実


※これら草木の中からゴゼンタチバナを少し詳しくご紹介。
 ゴゼンタチバナはミズキ科の多年草で、花(実)をつける株は6枚の葉を、つけない株は4枚の葉をつけています。6~7月に咲く花は確かにミズキ科の木本であるヤマボウシやハナミズキ(別名アメリカヤマボウシ:街路樹として植えられているものが多い)に似ています。ひと株に4弁花の白い花がひとつつくのだと思いきや、花びらに見える4枚の白いものは総苞といって葉が変化したものなんだそうで実際の花は4枚の総苞に囲まれた真ん中部分に多数つきます。ゴゼンタチバナがひと株ひとつではなく多数の花をつけることは、秋のこの時期、赤い実がひと株に複数個ついているのをみればすぐに納得できます。
 サロベツ原野では、砂丘林にはゴゼンタチバナが、湿原にはエゾゴゼンタチバナが生育しています。エゾゴゼンタチバナは葉や総苞、花が茎のほぼ同じ高さから集中して出ているゴゼンタチバナに比べると、少し伸び上がってこれらが出る高さがずれた感じで、総苞に囲まれた花の部分が黒っぽくなっています。(写真を載せられなくてごめんなさい。)

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2009年10月02日道しるべ

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

ややっ!!
とある橋の上で、オレンジに輝く球体を発見!
なんだこれ?!



よく見ると、その先にも点々と、落ちています。
まるで、道しるべのよう。

もうお気づきですね?!
そう、「イクラ」です。

でも「イクラ」って落ちてるもの?!
まさか、サケやマスが地上を歩くはずもないし…
瓶に入っていたり、ご飯の上にのっているイクラしか見たことがなかった私も、知床に来る1年半前までは、まさか道の上にイクラが落ちているなんて、とても想像すらできませんでした。

この時期、サケやマスを待っているのは、人間だけではありませんよね?
冬眠前のヒグマにとって、サケやマスはこの時期の重要な栄養供給元です。
川でマスを捕ったヒグマが、場所を変えて食べようとしたのか、山へ
運んでいったようです。
その時に腹から卵がぽろぽろこぼれ落ちていたのでしょう。
ヒグマが歩いていった先には、まるで道しるべのように点々と落ちていました。


夏が足早に通りすぎていった知床の川に、今、たくさんのカラフトマスや
シロザケが帰ってきています。
大海を生き抜いた成魚が生まれた故郷に戻り、新たな命を残すためです。
写真はカラフトマスのメス。
体はもうボロボロ…。
それでも、残る力を振り絞って最後の最後まで、必死に生き抜きます。

新たな命を残したサケ・マスの命は、他の生き物を育む。
命の循環。
自然の中で命はつながっていることを改めて感じた、「道しるべ」でした。


***釣りをされる方・海岸トレッキングをされる方へ***
サケ・マスの最盛期は、ヒグマにとってもご馳走の時期です。釣りに夢中になっていて、気づかずヒグマと接近!なんてことがあるかもしれません。
ヒグマとの遭遇を避けるために、ヒグマ出没情報の収集、薄暗い時間の行動を避ける、音を出しながら行動、ゴミは必ず持ち帰るなど、注意が必要です。
また、釣った魚の放置は絶対にしないでください。腹を割いて卵だけを抜き取り、死骸を放置するということが釣り場で起こっています。ヒグマに餌付けをしてしまうことになり、他の釣り人や海岸利用者だけでなく、地元の漁業関係者を危険に陥れることになりかねますので、絶対にやめてください。
川の近くを通る時は、もしかしたら食事中のヒグマがいるかもしれない、ということを必ず頭にいれて、通行しましょう。
ヒグマに出会わないよう心がけることが第一ですが、万が一ヒグマに出会ってしまった時の対処法などを知った上で、安全に、釣りや海岸トレッキングを楽しみましょう。

詳しくはこちらよりご覧になれます
先端部地区利用の心得

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