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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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大雪山国立公園 東川

170件の記事があります。

2015年07月28日山の日制定「あ、次の休みは山へ行こう」

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

古くから、山と人は深い関係で繋がっていました。

山の恵みが麓の人々の生活に潤いを与え、山を敬い、山に感謝する心が生まれました。

「山に親しむ機会を経て、山の恩恵に感謝する」ため、2016年8月11日、国民の祝日に「山の日」が加わります。

それを祝し、大雪山の麓,東川町で記念講演会&トレッキングツアーを開催します。

講演会のゲストは登山家 山野井泰史さん、モデルKIKIさんのお二人。

お二人には山の魅力について60分ずつ語って頂いたあと、東川町在住の大雪山ガイドMountainFlow主宰 青木倫子さんを交えてのトークセッションを予定。

世界に誇るアルパイン・クライミング界のレジェンド・山野井泰史さんと、海外登山や大雪山にもよく登りに来られているKIKIさん。

このお二人のお話が一日で聞けるのはまたとない機会であることは間違いないでしょう!!

講演会の他、会場では山の装備や地図の読み方、マナーなど、登山の基礎知識を学べる4つの展示ブースを設置、なんと山野井さん、KIKIさんお二人の愛用装備も展示されます。

翌日は東川エコツーリズム推進協議会主催の旭岳~裾合平一周のトレッキングツアーも開催します。

「山の日」制定をきっかけとして、山を思い、守り、活かし、親しんでいくための、山との向き合い方を考える二日間です。

※講演会・トレッキングツアー両日とも事前申込みが必要ですので、ご注意下さい※

詳細は添付画像をご覧下さい。

これまで、山と関わりがなかった人、登山って大変そうと思っている人、山に行ってみたかったんだという人。

山の日制定をきっかけに、山を身近に感じ、山へ親しむ機会がきて、毎週とは言わなくても、夏山シーズンに1,2回くらい自然と足が山へ向かうことが夏の恒例となればいいな、と思っています。

何事も、きっかけって大事ですよね。


化雲岳に咲くチングルマ(H27.7.23撮影)。

大雪山の中でもマニアック気味な化雲岳に今年はもう3回行きました。山深さを感じる素敵な山です。

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2015年06月26日やっぱり大雪山が好き。

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

先日、山開きの前にパークボランティア(以下:PV)の皆さんと十勝岳周辺と旭岳周辺の登山道整備を行いました。

6/13(土)十勝岳の整備の日は残念ながら雨予報。曇天の中、総勢15名で歩き出し途中小雨にあたりましたが、合羽上下を着込むと雨が上がる!というお決まり(?)の状況となり、上富良野岳から上ホロカメットク避難小屋までロープ張りが出来ました。避難小屋付近は雪渓から溶け出た水を取るための踏み跡が広がり道が複線化しています。そこを一本に誘導するためのロープ張りを重点的にしました。小屋清掃や冬に残置されたゴミも下ろします(親切で残置する残りがハンパのガス缶を他の誰かが使うことは殆どありません。自分で上げた物は自分で下げましょう。)午後から雨となり、十勝岳には行かず下山となりました。展望がなく残念でしたが、皆さん連携した作業お疲れさまでした。

6/21(日)旭岳は快晴でした。この日は総勢13名。姿見駅から山頂を目指すコースは高度を上げ南側を降り返ると、トムラウシ山~十勝岳連峰が見渡せます。朝の澄んだ青空と遠くまで続く山並みは何度見ても壮観で、「今年もこの景色が見れた」と嬉しさが込み上げ、これから旭岳山頂で見渡せるであろう表大雪の山々を想像し、ワクワクする気持ちと、今年も迎え入れてくれる旭岳に感謝の気持ちが自然と沸いてきます。

この日は旭岳9号目~間宮岳~中岳までロープ張りと標柱ペイントをしました。古くなったロープは回収し、新しいロープと交換。風化した看板のペイント作業もはかどり、想定以上の整備が出来ました。皆さん、ありがとうございました。

職業病でしょうか。一冬超えると、去年まで崩れていなかった登山道の荒廃も目につきます。手を加えることで間に合うならば、痛々しい道の侵食を止めたい。

お花はまだ1分咲きでしたが、膨らみ始めた蕾を見ると、これから満開となるお花畑が想像され、もしその一番良いときに見に来られなかったとしても、あの場所では今イワウメが満開で誰かを癒やしているんだろうなとか、雨粒がキバナシャクナゲの花びらを濡らしているのかなとか、山のいっときを想像するだけで気忙しい気持ちが一気に緩んだり、無意識に山に思いを馳せる時間が心を癒やしていたり、日々の活力になっているのだと思います。

あっという間に過ぎ去る大雪山の夏。ここ以上に気持ちのいい尾根歩きや気持ちの良い風が吹いている場所はないんだろうな、と改めて自分にとって大雪山の偉大さを感じた登山道整備の日ともなりました。

PVの皆さん、久しぶりに皆さんとワイワイ大雪山を歩けて楽しかったです。秋の整備もよろしくお願いします。

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2015年06月12日ホッとした、三十三曲り

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

久しぶりのAR日記となりました、東川AR渡邉です。

大雪山のリアルタイム情報はこちらでもアップしています。

https://www.facebook.com/daisetsuzan?ref=hl

「大雪山国立公園連絡協議会」facebookページもチェックしてみてください。

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天人峡の三十三曲り歩道は傾斜50~60℃の急峻な地形につづら折りに歩道があり、ジグザグと歩いていくと一時間ほどで尾根に取りつき、その先には現在唯一、羽衣の滝を見ることが出来る「滝見台」があります。悪天時にはトムラウシ山からのエスケープ口として下りてきたり、クワウンナイ沢に登った後の下山道となる、重要な役目を担う歩道となっています。

昨年、積雪の影響で歩道に設置された木製階段が転覆し、歩道にもクラックが多数入っていたり、倒木が複数あり通行に危険があるため、旭川山岳会・環境省・北海道・東川町・林野庁の連名でボランティアによる補修の呼びかけをし、北海道内の山岳団体や山岳ガイド、パークボランティア等38名に集って頂いて、クラックの埋め立てやササ刈り、看板補修、木製階段の据え直し補修をして、安全に通行が出来るようになりました。

そこで先日、一冬超えたあと補修箇所がどうなっているか、新たな危険箇所がないか調査に行ってきました。

調査の結果、致命的なクラックや倒木もなく、難儀した木製階段もしっかり残っていて、しかも階段は去年より見た目も馴染んで歩きやすくなっていました。

去年の8月、湿度が高くムシムシしていたあの日、階段に詰めるための石を背負子で背負い何往復もしたことや、ササ刈り、看板の補修、持っている技術や経験を総動員して施工したもらった階段など、昨年、補修に参加して頂いた方々の尽力のおかげで今年もこの道を歩くことが出来るんだと感謝と同時に、胸に留めていこう思いました。

歩道のチェックが済んだら尾根まで上がり、滝見台へ。前日の雨と雪解けで水量が増し豪快な水しぶきを上げる羽衣の滝が見れました。天女はあの大きな滝を滑りおりて遊んでいるのかな。大雪山は広く、多様な顔があり、自然は儚く、強いなあと思いました。

来週、とうとう山開きとなりました。

お花畑に蝶が爛々と舞う姿、残雪とハイマツのコントラスト、そこで昼寝するヒグマ。心地よい風が吹く大雪山をありありを思い出し、数え切れないくらい感じていることですが改めて、「なんとここはなんとイイところなんだろう」、初夏の大雪山に思いを馳せるのです。

去年私たちが補修した登山道はどうなっているのでしょうか。今年は新たな登山道補修資材も導入の予定です。お楽しみに。

冬に野外活動で出し過ぎたアドレナリンを夏は抑え気味にしたいと思います。

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2014年10月09日裾合平にてテンサーの試験施工

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

8月後半、裾合平の木道脇の洗堀している所に「テンサー」を試験設置しました。

【施工前】
テンサーとは…河川工事の土留めとして使用される強化プラスチック網の資材。
軽いので山岳地帯でも運搬がラクなうえに丈夫で、設置する場所によって高さ・幅の形状変更ができ、中に敷く椰子マットからは植生復元も見込める、という優れたもので、最近では河川に留まらず利尻山など登山道の補修材としても出番が増えてきています。
設置前はクニャクニャで、これがあの「大雪山」というハードな環境で保つのか…と少々不安を覚えるか弱さです。

今回、北海道山岳整備の岡崎氏に来て頂いて、大雪山のパークボランティア(以下:PV)の方々と実際にテンサーを設置してみました。

テンサーの設置の仕方は
①設置する場所を平らに均す。
②テンサーを筒状に丸めて連結。中に椰子マットを敷く。
③テンサーの中に、周辺の大中小の石をつめ、充填する。
所要時間、30分ほど。

【施工過程】
なんと簡単・・・!!!
PVの皆さんも私も、はじめてのテンサー施工だったので不安はありましたが、施工がしやすく、裾合平は浮き石がそこら中に転がっているのですぐに資材調達ができてラクチン。
そして浮き石があるということは土砂が常時流れている証拠。だからテンサーに土砂が溜まるのが想像しやすい!
設置していて、参加された皆さんもテンサーへの手応えを感じたはずです。
ただ、土砂が流れているということは、上がその分だけ崩れているということ。喜べないですね。

そして設置して一ヵ月後、どうなっているか見に行ってみました。

【施工前後】
少しずつですが…上流からの土砂がテンサーに溜まっているのがわかります。
順調に土砂が溜まってくれれば、洗堀を止め、木道の傾きを抑えたり、いずれ溜まった土砂から植物が芽を出すこともあるかもしれません。
いずれこのテンサーが効いて、裾合平の洗堀抑止になれば、と願っています。
そのためにもモニタリング&メンテナンスはセットで続けていきます。

見た目は近自然ではありませんが、今後の大雪山の登山道補修に活躍するかもしれないテンサー。今回は6基設置しています。
来夏、裾合平を歩くときはテンサーとそこに溜まる土砂を見てみてください。

哀愁漂う秋も過ぎ去り、大雪山は早くも冬が訪れました。
昨日は今シーズン初の雪虫を見ました。早く白い粉が舞ってこないか、楽しみでなりません。

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2014年08月19日継続と進化

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

お盆が過ぎて、大雪山はすっかり秋めいてきました。
初夏の小花が散らばるお花畑も胸躍りますが、今はカヤツリグサ類やイネ科の穂が赤や黄金色に色づき、透き通った涼しい秋風が吹き始めた秋山もとてもとても素敵です。

クロウスゴやガンコウランなどの花実も実り、登山道にヒグマの糞を見かける回数も多くなってきました。
動物も旬の物を食べるのに忙しいのでしょうね。美味しそうですもんね。

昨年に引き続き、グリーンワーカー事業で美瑛山岳会が荷上げイベントを企画し、ボランティアによる美瑛富士周辺の登山道補修に使う木材・鉄ピンの荷上げと、その設置をしてきました。
お盆にも関わらず、道内の山岳会や、パークボランティアの方々、行政関係者、ガイド、整備関係者など38名もの参加がありました。

涸沢林道登山口は、アカエゾマツや林床のミズゴケ等の植物がいい雰囲気を醸しだし、利用者も少なく、静かな山歩きが楽しめます。
足下は土なのでクッションが効き、晴れの日は膝にも優しく歩きやすいですが、雨の日は一変。
洗堀が酷いためとても滑りやすく、平らなところは水たまりが乾きにくく、足下はドロドロになってしまいます。
個人的に、登りより下りが長く感じる道です。



当日は登山口から4km程歩いたところの洗堀が進んだ部分まで資材(角材7kg✕28本、鉄ピン1.5kg✕60本)を運搬し、
6班にわかれて、指定の場所で階段の設置を行いました。
登山道講習会にも参加されている方もいたため、素人ながらさすが皆さん要領を得ています。

水の流れ道はこっちだから、洗堀を止めるためにここには水叩き石が必要だよね、とか、
角材は最小限しか使えないから周辺の倒木を使おう、長持ちするためにはどうすればいいか、等々それぞれの班でアイディアと試行錯誤と創意工夫をしながら、時にはプロのアドバイスも受け設置をしました。


今回嬉しかったのが、去年よりも施工の仕方が進化していることでした。
私たちの施工した階段の見た目は…なかなか馴染んでいるように見え、かなり歩きやすくなりました(自画自賛)。
あとは長持ちするのかどうかがお楽しみですね。

この荷上げ登山と整備があと数年続いていくと、ここはいずれとても歩きやすい登山道になる!と希望を感じた一日でした。
今回設置した階段がこの先何十年と使われることになったら素敵ですね。

企画・準備をしてくださった美瑛山岳会の皆さん、参加してくださった皆さん、お疲れさまでした。
また是非ご協力をお願いいたします。
楽しい整備をありがとうございました。

【出発前の1枚】

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2014年07月17日大いなるトムラウシ山

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

先日、大雪山のパークボランティア(以下:PV)の方々と沼ノ原登山口からトムラウシ山まで二泊三日で登山道整備に行ってきました。
沼ノ原登山口は平成23年より林道が土砂崩れのため通行止めとなっていましたが、昨年工事が終わり、今年通行出来るようになりました。
待望の沼ノ原!ですね。

登山口から大沼までは急な登りとなりますが、大沼まで上がってしまえば緩やかな傾斜が続き、
高層湿原や木道歩きを楽しむことができ、人気ルートであると実感できました。

更に奥に進み、化雲岳付近まで来ると、だいぶトムラウシ山は近く感じますが、それでもまだ遠く、どっしりとしたトムラウシ山は「大雪の奥座敷」という言葉はぴったりだと、ここへ来て頷くことができます。

トムラウシ山を見たPVの方が言っていました。
「当たり前だけど、今年も動かないで在った!」。
その気持ち、とってもよくわかります。あまりにも大きく鎮座していて、そこにあるのが“異物”に感じるほどトムラウシ山の山容は異様に大きいのです。

そして、化雲岳とトムラウシ山の鞍部に位置するヒサゴ沼からはじまるトムラウシ山へのアプローチの道は、日本庭園を通り過ぎて辺り一面ゴロゴロとした巨岩が積み上がるロックガーデンが続き、
ピークからの眺めはもちろん、次から次へと変化にとんでいて、自然が作り出した異様な造形美につっこみを入れたり、呆然とするほど広い景色に圧倒されたり、あらゆる桁違いが起こっているのを目の当たりにして、ただただトムラウシ山の虜(とりこ)になってしまいます。


この三日間は、レインコートを着ることはなく天気に恵まれました。
今回、パークボランティアの皆さんとはヒサゴ沼周辺からトムラウシ山頂、南沼野営指定地のロープ張り、ヒサゴ沼避難小屋トイレの壁補修、標柱・分岐ペイント、清掃を行いました。
登山道整備は本来の登山タイムよりもプラス2~3時間かかるので、連日10時間近く歩き続けることになります。
三日間の食料・登山装備以外にも、登山道整備に必要な用具を持っての登山となるのでザックはいつも以上に重たいです。
参加された皆さん、大仕事本当にお疲れさまでした。


このとき、化雲岳周辺はチングルマが満開で、ここでしか見られない広いお花畑がありました。
穏やかな陽気で、ここは天国みたいだね、下山するのがもったいないね、と何度となくPVの方々と言い合いましたが、そこは天国ではなく大雪山。そう思える自然がすぐ近くにあり、幸せです。

「トムラウシ山はやっぱり遠い!」と言ったら、「年々近く感じるようになるよ」とPVの方に励ましてもらいました。
説得力のあるお言葉で、そう思える日が楽しみになりました。
今回の登山道整備にご参加頂いて、本当にありがとうございました。
是非、九月の後期登山道整備もよろしくお願いします。

【塗り直したトムラウシ山標柱とみなさんと】

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2014年07月03日火山と森

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

こんにちは。
無事に各地で山開きを終え、気付けば7月に突入していました。早いですね。
ハイカーの皆さま、今シーズンの大雪山には登られましたか?

6月は十勝岳周辺をよく歩きました。雪解けは例年並み、可憐なお花たちも順に咲き始めています。
毎週同じ道を歩くと、種類の異なる高山植物の開花を順番に見ることが出来ます。
がんばってピークを越えた先に、色とりどりのお花畑が広がっていると、同じ場所でも何度でも感動し、これが見たかった、とつい顔が緩んでしまいます。


十勝岳連峰は今も活動中の火山群の山です。
望岳台から十勝岳への登山道は延々砂利と砂礫地帯が続きます。
日光を遮るものがないため、サンサンと太陽を浴びながら…ではなく夏場の暑い日は容赦ない日差しをガンガン浴び、大汗をかきながらの登山となります。
十勝岳を登るときはいつもより多めの水が必要でしょう。最後、傾斜のきつい直登部分を登り切ると山頂です。
山頂からはこれまで見上げてきた噴煙が上がる荒々しい景色とは真逆の、一面濃い緑の森を見ることが出来ます。
その緑の濃さは森の豊かさ、森の濃さを示しているように思います。
その森には、ヒグマやシマフクロウが暮らし、動物に運ばれる種があり、誰にも見られないで終わるお花がある。
きっと雪解けの沢は日に照らされてキラキラと光り、その水で動物たちが口を潤しているのでしょう。
きっと人間では一生出会うことが出来ない場面があり、いつも今あの森ではどんなことが起こっているのか、どんなに美しい光景が広がっているのか、その一端を少しでも垣間見たく、見られないとは知りつつも、ついつい森を見入ってしまいます。
望岳台(表側)から見上げると荒涼としたダイナミックな山並みですが、裏側(東側)では想像できない豊かな森が広がっているツンデレで、懐の深い十勝岳が大好きです。

今シーズンもパークボランティアの方々、山岳会や登山道関係者と協力し合い、旭岳周辺と十勝岳周辺の登山道のロープ張りを終えました。
いつも皆さん、ありがとうございます。
今シーズンもよろしくお願いします。


さて、お知らせです。
7月6日(日)上富良野町の麓から十勝岳温泉をゴールに峠超えをする自転車のレースがあります。
7月6日(日)午前6時から午後2時までは十勝岳温泉登山口から入山は出来ませんので、十勝岳温泉登山口をご利用予定の方は時間をずらして頂くか、周辺の望岳台-十勝岳、原始ヶ原登山口-富良野岳などルート変更をお願いいたします。
詳細は下記のURLをご覧になり、事務局へお問い合わせをお願いします。

・かみふらの十勝岳ヒルクライムの開催に伴う通行止めのお知らせ
http://www.town.kamifurano.hokkaido.jp/index.php?id=1444


【安政火口に虹が出ました】

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2014年05月23日春を迎えた大雪山

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

田植えがはじまった東川町。
麓から見る山の雪形が小さくなっていき、このまま初夏へ向かうのかと思いきや、先週末季節外れの雪が降り、週明けに見えた大雪山は白い山に戻っていました。

5月10,11日に十勝岳温泉にて大雪山パークボランティア(以下:PV)の総会と春山研修が開催されました。
総会には53名の参加があり、昨年度の活動報告と今年度の活動の意見交換が行われました。
より効率的に、意味のある活動になるよう、活動時の提案や、時期見直しの声がありました。率直な意見が聞ける一年に一度の大切な場所です。

総会後にはPV活動10年目の方々に環境省 北海道地方環境事務所長からの感謝状の贈呈式も行いました。


【総会・贈呈式】

昨年、第6期生が加わったPVですが、大雪山のことが大好きな皆さんで、この素晴らしい大雪山の自然を次の世代に繋げていってほしいです。


【平成26年度 集合写真】

翌日は雲一つない快晴の下、十勝岳周辺で春山研修を行いました。
4隊に分かれ、スキーやスノーシューを履いてシーズン前の足慣らしをします。
私は安政火口隊でしたが、火口付近はギザギザした岩壁が聳え、スケール感のある荒々しい大雪の一面を見ることができました。
今年初めてのウグイスの鳴き声と、いい風に吹かれて、ため息がもれる絶景はいつも飽きることがありませんね。
ウン十年と登り続けているPVの方々も、きっとこんな大雪山に魅了されているのでしょうね。

去年は記録的な豪雪でスケジュールもたてにくく、夏以降は大雨が降って中止になった行事もありました。
今年は先日の春山研修のように好天に恵まれて、旬の時期に旬の活動ができると良いですね。

いよいよ来月、山開きです。
またあのお花畑が見られると思うと、浮足立つのと同時に、シーズンインはまだもう少し待って欲しいような、はじまってもいないのにもう焦りはじめています。まだ桜が咲いているというのに…。

今年の夏山シーズンも充実したものとなるよう体調管理を万全に、シーズンインを迎えましょう。


【高度感がとっても気持ちよさそうですね】

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2014年03月20日春の香り

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

3月も半ばを過ぎ、待ち構えていたドカ雪も降らず、東川町はみるみる雪解けが進んでいます。
乾いた冬は終わり、チョロチョロと雪が溶け出し、湧き立つ匂いも、周囲から聞こえてくる音も、冬から初春へ確実に季節が移り変わっているのを感じています。
膨らんだ冬芽は本当に美味しそうで、冬芽をかじる動物の気持ちがよくわかる…。

先日、美瑛町の白金野鳥の森の野鳥観察舎と四阿(あずまや)の屋根の雪下ろしに行きました。
両施設とも老朽化が進んでいるため、雪に押し潰されていないか心配でしたが、ワンシーズン分の雪をずっしり蓄えたまま現存していました。


ゾンデ棒で積雪量チェックした結果、なんと積雪1.9m。自分の身長よりも高い!!
積もり積もった数か月分の雪は固く、掘っても掘っても屋根が現れず、ふんぞり返ったり、心が折れたりしながら、佐藤自然保護官と丸二日かかってなんとか観察舎と四阿、両施設とも雪下ろしを終えました。
今年一番冬を感じた作業で、アクティブレンジャーになって一番の重労働でもありました…。



【とある一日の作業風景】

作業中、ふと腰を延ばしたとき視界の端に、深い雪の上を音も立てず、しなやかに歩いている一匹のキタキツネが映りました。
厳しい冬を毛皮一つで生きぬく野生の逞しさ、気高く凛とした一直線の足跡、何一つ違和感なく自然と調和している光景に少しの時間でしたがグッと引き込まれてしまいました。

普段自分が過ごしている時間とは別の、人間の尺度とは無関係のもう一つの時間が自然界にはあるような気がします。
ダウンを着込み、手袋の換えを何枚も持ったり、スキーを履いてドタバタとしか雪上を歩けない自分にジレンマを感じつつ、今この時も流れているもう一つの大いなる時間を想うとフッと胸が軽くなるような気がします。

しつこく寒さと軽い雪を求めていましたが、そろそろ覚悟を決めて土の感触を恋しがってもいい時期しれませんね。
夏山の季節が来たら冬はまだ来なくていい、と言っている自分が目に見えます。

来年度も大雪山のアクティブレンジャーとして勤務できることに感謝をしながら、初心を忘れず、大好きな大雪山で業務に励みたいと思います。



静かな野鳥の森ではいつも動物に出会えます。

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2014年02月10日大雪山と極東ロシア

大雪山国立公園 東川 渡邉 あゆみ

 例年より雪が少ない東川町。路肩の雪山のボリュームがいつもより小さく、ドカ雪を待ち構えているのは私だけでしょうか?

先日、東川町の天人峡にて大雪山パークボランティアの冬期研修会が行われました。
例年、講師をお招きして、一日目は座学研修、二日目は野外研修をしています。
今年は昨年度に「北海道の山(山と渓谷社)」という山岳ガイド本を出版された伊藤健次さんをお招きしての研修となりました。
伊藤さんは大雪山はもとより、日高山脈・知床や、ロシアのアムール地方、カムチャッカなど環オホーツク圏の自然や文化、野生動物を撮られている写真家です。
今回は「大雪山と極東ロシア」をテーマに、ロシア・アムール川流域のウスリータイガの森のことを写真を交えながら聞かせて頂きました。

ウスリータイガは広葉樹と針葉樹が混交する「北のアマゾン」と呼ばれる豊潤な森で、
オホーツク海からそそぐ小さな支流がたくさんあり、その川が核となっていること。
蛇行する小さな川には魚がたくさん棲み、100年前の石狩川とよく似た風景があること。
その川の流域にはアムールトラをはじめ、ヒグマにツキノワグマ、オオヤマネコやシマフクロウ、日本では絶滅してしまったオオカミやカワウソが暮らす北と南が入り混ざった多様で人間の手が加わっていない「無造作」な森があること。
それがバランスよく食物連鎖を繰り返していていること。
そして、その恵みを受けながら暮らすウデへの人たち。

とても興味深く、タイガに魅了された伊藤さんのお話は、心に響く言葉をたくさん残してくださいました。
多種多様な動物と、人間が共存・共栄している原始の野生は一体どんなところなのでしょうか。
いつか実際にタイガへ行って、「無造作な森」の息吹を感じてみたくなりました。

【伊藤健次さんとアムールトラ 
 アムールトラの正面からの映像はとても貴重です】

北海道とオホーツク海を挟んで近いようで遠いあまり知られていないタイガの森のこと、PVの方々も何かしら心に触れてくれたらいいと思います。

研修二日目は伊藤さんとPVの皆さんで「三角点から旭岳を見よう」をテーマに美瑛町の三角点 枯柴山743.62mへ行きました。
スノーシューを履いてアニマルトラッキングしつつ、新雪の上を歩きます。
天気予報では雪マークだったので山頂からの展望は諦めていましたが、うっすらと旭岳を見ることができました。
すごくラッキーです。今年の夏もあの山でたくさん行事がありますね。出来るだけ多く皆さんと活動したいと思っています。

【三角点 枯柴山743.62mで集合写真
 バックにはう~っすら旭岳が見えます】

冬も折り返し地点。日が長くなり、春は近いです。
この季節になると「今日も巣穴でヒグマの赤ちゃんは生まれたかな?」と、妄想するのが日課になります。
近距離では出会いたくないけれど、この山にいる存在感は感じていたい。
アムールの動物界の頂点はこの先もアムールトラであって欲しいし、北海道の動物界の頂点は100年後もずっとヒグマであって欲しい。
豊かな自然が残りますように。

あっという間の二日間でした。
PVの皆さん、お疲れさまでした。今年の夏も大雪山でたくさんの活躍をお願いします。
講師の伊藤健次さん、貴重なお話をありがとうございました。いつかカムチャッカのお話も聞かせてくださいね。

寒さを乗り越えたら花園が待っています。
ご挨拶遅れましたが、今年もよろしくお願いします。

【振り返るとカラフルだった!!】

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