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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園 羅臼

188件の記事があります。

2014年01月31日冬の熊越の滝

知床国立公園 羅臼 上村 文望

羅臼岳のふもとに位置する「熊越の滝」をご存じですか?
知床横断道路の羅臼側入り口から、1kmほど歩いた場所に「熊越の滝」入り口があります。アップダウンのある遊歩道の先の展望台からは、落差15メートルの滝の眺望を楽しめます。

羅臼自然保護官事務所では、この熊越の滝の巡視も行っています。
横断道路の閉鎖後でも、水鳥の飛来状況確認と鳥インフルエンザ監視の為、熊越の滝の巡視は継続しています。


●熊越の滝 下流ダム周辺の風景


熊越の滝の下流には、羅臼川へ続く小さなダムがあります。

ダム周辺の河川は、水深が浅い箇所と一定の流量がある所と多様性に富んでおり、水性昆虫やオショロコマなどの魚類をはじめ様々ないきものの観察が可能です。
また子供でも徒渉が可能であるため、夏には地元の子供たちを対象にした環境教育の場となります。

訪れる人も少なくなった冬は、どうなるかというと…水鳥たちの楽園となります。
この日の調査では、カワアイサとホオジロガモを確認しました。

じっとしていると強風に体温を奪われてしまうので、鳥のカウント調査を終えたら、すぐに動き始めます。


●河畔林でスノーシューの跡を発見!

跡を追って森の中へ進んでいくと・・・



●熊越の滝
 熊越の滝にたどり着きました。所々に氷結が見られます。
先に訪れた人達も、熊越の滝の冬の姿を堪能した事でしょう。

※注意※
現在、知床横断道路は冬期閉鎖しており、遊歩道も雪に埋まっています。散策はスノーシューやスキーを装着し、自己責任でお願いします。
また、羅臼のガイドツアーのご利用もおすすめです。

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2013年12月09日野生に帰ったオジロワシ

知床国立公園 羅臼 上村 文望

2011年7月、「羅臼漁港でオジロワシが溺れている。」との通報がありました。
当時のアクティブレンジャー、知床財団、羅臼町、漁業協同組合、多くの団体の方々の手により保護収容された、1羽のオジロワシ。

●2011年7月、保護直後の写真。ずぶぬれです。

当時の記録資料を確認してみたところ、人に対して威嚇はするものの右翼と右脚の力が弱っていた模様です。
その後、釧路湿原野生生物センターの猛禽類医学研究所に収容され、治療とリハビリにより無事に回復。

2013年10月に、再び羅臼の空に帰れることになりました。

●2013年10月。放鳥間際のオジロワシ。

緯度・経度を記録する装置を装着して放鳥しました。
オジロワシには負担をかけてしまうものの、これまでわからなかった行動圏やねぐらなどを知ることができます。
なお、装置は電池が切れる一年後くらいには自然に脱落するようになっています。

現在、羅臼自然保護官事務所では東京農業大学の白木先生のご指導をいただきながら、学生さんたちと共同で、このオジロワシの追跡調査を実施しています。追跡調査の結果は、獣医師さんと情報共有することによって、野生下での生活に適応できているか、再収容の必要性があるか、判断材料の目安になります。

得られたデータからは面白い事実がいろいろとわかってきましたが、具体的な内容の紹介はまた後日、AR日記でお伝えいたします。

調査中に、ハシブトカラス達にちょっかいをかけられている場面にも遭遇しましたが、たくましく生きています。まもなく、知床が海ワシであふれる季節になりますので、いい出会いがある事を願ってやみません。


多くの方々の力で野生復帰したオジロワシ。ぜひ生き抜いて次の世代の子孫を残してほしいものです。

がんばれオジロワシ

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2013年11月01日シーズン最終 羅臼湖

知床国立公園 羅臼 三浦 武

ヘアジャムじゃない三浦です。

国道334号知床横断道路の冬季閉鎖(11月7日15時より)に伴い羅臼湖歩道での業務も今シーズン最終となりました。
支障木処理や鉄杭ロープの撤去作業等、冬到来を前にやるべきことを片付け来シーズンを待ちます。
そして、羅臼湖歩道は来シーズン大きく変わります。

その1 
入り口と二の沼の中間点に枝道ができ、標高約780mの展望台(岩)へ行くことが出来ます。
今シーズンから国道からの入り口を付け替え、一の沼を通らないルートでしたがこの展望台からは一の沼を眺望でき、また知西別岳、羅臼岳、国後島まで見渡せる360度のパノラマが展開します。

その2
羅臼湖への最後の木道が撤去され湿地帯を迂回する新たなルートが出来ます。
これまで湿原の真ん中を通っていた木道ですが、腐朽が著しく踏み抜いてしまう穴が多く、さらにシーソー状態となって怪我人も出るなど限界に来ていました。そこで、来シーズンは現在よりも羅臼湖に向かって左側のササ群落を通るルートに付け替え工事をします。
工事終了までは既存木道を通ることになりますので、知西別岳をまっすぐに眺めながら羅臼湖へ到達するルートに名残惜しさを感じる方は最後ですから是非お越しください。

その3
ぬかるみ箇所が大幅に減ります。
今シーズンはアヤメが原の木道工事を皮切りに四の沼~五の沼間の石組み&木道工事を行ってぬかるみ対策(植生保護)を進めていますが、所々に長靴でも歩きたくない水たまり箇所があります。来シーズンはそのあたりの対策も進めて行きますが、だからといって長靴使用の羅臼湖ルールがなくなるわけではありません。来シーズンも引き続き長靴での利用をお待ちしています。


三の沼の逆さ羅臼岳

展望台からの国後島

羅臼湖への新ルート(正面は知西別岳)

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2013年09月12日羅臼岳浸食状況調査とセイヨウオオマルハナバチ退治

知床国立公園 羅臼 三浦 武

羅臼岳登山道(羅臼側)の浸食状況を見てきました。
登山道上部の浸食状況を把握しました。世界遺産登録からその知名度により浸食や複線化が見られるようになりましたが、羅臼側はウトロ側に比べて利用者が10分の1という状況でそれほど踏圧による浸食は顕著ではありません。


お花畑-岩清水分岐間

羅臼平-岩清水分岐間

上の写真は羅臼側から最短で羅臼岳に到達するお花畑-岩清水分岐ルートの浸食箇所。下の写真はウトロ側からの登山者も必ず利用する羅臼平-岩清水ルート。浸食の規模が一目瞭然です。
登山道の浸食にはいくつも要因があって、水の流れ、登山者の踏圧、それから凍結融解現象があります。これらが複合的に絡まり合うと一気に土壌の流出が起きるわけです。

凍結融解現象という言葉は聞き慣れないかと思いますが、高山が雪に閉ざされる直前の10月頃に気温がマイナスとプラスを繰り返す時期があります。凍ったり融けたりを繰り返すことで土壌の粒子が落ちてしまうわけです。さらに残雪の量が土壌の浸食と比例することが分かってきました。そして残雪の時期というのは登山者も多い初夏~夏にかけてです。雪があるということは断続的に水を供給することを意味しますので登山者が踏んでぐちゃぐちゃになった土壌を絶えず流してしまうということになります。残雪が多いシーズンだと土壌流出も進行が早いということになります。

写真を見る限り、羅臼平-岩清水分岐間の浸食はそろそろ対策が必要かもしれません。それも周囲の景観となじむような方法を考えていきたいと思います。

この日はアオノツガザクラの大群落が出迎えてくれました。今年は雪渓が遅くまで残っていた影響からか、ようやく春到来という植物も多いのかもしれません。そのアオノツガザクラの少し標高が上のハイマツ帯にはコケモモの果実が最盛期でした。夏と秋を同時に楽しめるいまの羅臼岳です。

お花畑のアオノツガザクラ

下山時にアオノツガザクラに訪花してきたセイヨウオオマルハナバチ1頭を捕獲しました。セイヨウオオマルハナバチ自体には罪はないとはいえ、特定外来の生き物は心を鬼にして捕まえます。

他に開花している植物(屏風岩-羅臼平間):メアカンキンバイ、エゾツツジ、イワギキョウ、エゾヒメクワガタ、チングルマ、チシマアザミ、チシマクモマグサ、エゾコザクラ

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2013年07月26日知床連山巡視その2

知床国立公園 羅臼 三浦 武

連山2日目、15日は二ツ池からサシルイ岳~三ツ峰~羅臼平を経て羅臼温泉口へ下山します。
二ツ池、三ツ峰、羅臼平のフードロッカー管理と周辺のトイレチェックを行い、登山道の定点撮影をします。

三ツ峰のフードロッカー内には残置ゴミ1袋(回収)。残念。二ツ池のフードロッカー奥トイレ道にトイレ紙2、羅臼平のトイレ道にトイレ紙1屎尿2(トイレ紙回収)。はあ~残念。

雪渓はサシルイ岳と屏風岩にかなりの量が残っている状況です。

サシルイ岳の雪渓を登る三宅保護官(新婚)

屏風岩の雪渓(要アイゼン)

知床連山の登山道については、世界遺産登録からその知名度により浸食や複線化が見られるようになりました。上の画像はサシルイ岳南斜面の登山道です。2005年時と比較すると明らかに深さが違っています。問題は今後どうなるか。まずはデータを蓄積していきます。次回の連山巡視ではこのポイントの深さを測定し、次年度からの数値データを比較できるようにしたいと考えています。

サシルイ岳南側の登山道 世界遺産登録時からの変化

この区間の植物の開花状況としては、チングルマ、ゴゼンタチバナ、エゾコザクラ、エゾカンゾウ、ミツバオウレン、イソツツジ、ウラジロナナカマド、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラ、シラネニンジン、コケモモ、マルバシモツケ、ヤマブキショウマ、ハクサンチドリ、チシマフウロ、イワギキョウ、ナガボノシロワレモコウ、メアカンフスマ、エゾツツジ、キバナシャクナゲ、チシマノキンバイソウ、イワブクロ、コミヤマカタバミ、コメバツガザクラが咲いています。

おわり

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2013年07月23日知床連山巡視その1

知床国立公園 羅臼 三浦 武

7月14日から15日にかけて知床連山を縦走しました。
初日は硫黄山登山口を出発し知円別岳、南岳を経て二ツ池にテント泊。
天候は快晴。天気が良すぎて灼熱地獄のような尾根沿いでしたが、硫黄沢出合から長い雪渓が続き、ひんやりした空気が気持ちよい。しかし、雪渓から紫外線の照り返しがきつい。


硫黄沢の雪渓

雪の下の第一火口野営地

硫黄山から知円別岳にかけて咲くシレトコスミレ

今シーズンは残雪の多さが話題の知床ですが、第一火口の野営地は完全に雪の下。ものすごい雪の量です。
知円別岳から南岳の登山道で経て二ツ池野営地までは雪はなく、ぬかるみもありません。
二ツ池に差しかかるルートは一部区間が昨年より変更となっているため、これまでの水没した道で足首まで水が浸かることから解消されました。
二ツ池野営地では環境省を除くと4パーティ19名の利用者でテントは13張り。ここでフードロッカー管理をし、そして利用者に対する携帯トイレの普及調査を行いました。結果は2名の1パーティが持参していなかったものの、残りの17名は携帯トイレ持参という状況。約9割の利用者が携帯トイレ持参ということです。持っていなかった利用者にはこちらで持っていた予備の携帯トイレを渡しました。100%の普及を目指します。
なお、二ツ池の先には巨大な雪渓が残っており、しばらくは水に困りません。

この区間の植物の開花状況としては、シレトコスミレの他、エゾコザクラ、エゾノツガザクラ、アオノツガザクラ、コエゾツガザクラ、ミネズオウ、イワヒゲ、コケモモ、ゴゼンタチバナ、イソツツジ、ヤマブキショウマ、ウコンウツギ、メアカンキンバイ、メアカンフスマ、チングルマ、ミツバオウレン、キバナシャクナゲ、ハクサンチドリ、ミヤマクロズゲ、マルバシモツケ、エゾカンゾウ、ウラジロナナカマド、コメバツガザクラが咲いています。

翌日はオッカバケ岳、サシルイ岳、三ツ峰、羅臼平、屏風岩を経て羅臼温泉口へ下山します。

つづく

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2013年06月06日知床kids

知床国立公園 羅臼 上村 文望

羅臼町の公民館が主体となって、羅臼町内の小学生を中心に羅臼の自然を楽しみながら学習し、郷土を愛する心を育てる事を目的とした活動『知床kids』
その活動に羅臼自然保護官事務所も参加しています。

今回は知床kidsの今年度の第一回目の活動「ホエール・海鳥ウォッチング」に参加してきた様子をご紹介いたします。

 開級式では、スタッフと子供たち全員で自己紹介。その後は、知床財団職員の山本氏を講師とした海の生き物の解説です。

●わくわくしながら話を聞いています。

クジラのヒゲの標本などを用いて、羅臼の海に生息している動物を解説します。
(標本が見たい方は羅臼ビジターセンターまで!)

さすが羅臼の子供たち。海の生き物の知識は上村ARより豊富です。
講師である山本氏の質問にも次々と答えていきます。


 生き物の知識をバッチリ学習したら、いよいよ出発です。
羅臼港から、観光に訪れた人達がホエールウォッチングに利用する船で出発です。

青空の下、船はどんどん沖へ進みます。
揺れる船で子どもと飴をなめながら、国後島を眺め、生き物でてこないねー」と話したりしていると・・

●船の周辺を俊敏に泳ぐイシイルカ

 イシイルカの群れに遭遇しました!

水族館では見られない、優雅で力強い泳ぎで船についてきます!子供も大人も笑顔がこぼれます。

 顔にかかる冷たい波しぶきにもめげず、みんな夢中で観察していました。


 シャチを見ることは叶いませんでしたが、イシイルカの他にもハシボソミズナギドリの群れを見ることもでき、大満足だったのではないでしょうか。

はしゃぎ疲れたのか、帰りの船では眠っている子もいました。


下船後は公民館で、「今日見れた生き物」「今日の体験で気づいた事」をフィールドノートに記入します。

「船は思ったより揺れる」
「イシイルカとシャチは全然違う」・・・など
他にも様々な感想がありました。

きっと、文字に書きおこすには難しい感動もあったでしょう。

どんなに些細な事でも、気づき、学んで行くことが大切。
知床kidsの活動を通して、多くの羅臼を発見してほしいと思います。

これからの一年間の知床kidsでの活動が楽しみです。

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2013年05月22日羅臼へようこそ!

知床国立公園 羅臼 上村 文望

  

 斜里と羅臼を結ぶ国道334号、知床横断道路。吹雪の影響による除雪作業の遅れで、5月22日現在でも開通のめどが立っておりません。はやく横断道路を通って羅臼湖に行きたいなぁ~とウズウズしていた朝、羅臼ビジターセンターから元気な声が響いてきました。

声につられて行ってみると・・・

修学旅行で羅臼に訪れていた静岡県浜松市立北部中のみなさんの声でした。

 前日は、観光船に乗ってオットセイやミズナギドリを見たそうです。

 今日は 羅臼ビジターセンターの見学。ハンズオン展示に触れたり、標本の写真をとったり・・・、トドや、エゾシカや、ヒグマや、シマフクロウなど、知床・羅臼に暮らす野生生物の剥製や映像資料を興味津々で眺めていました。

●シカの剥製と一緒に、はいチーズ!


 羅臼ビジターセンターは、日本全国からお客さんが来館されます。羅臼は、5月現在でも最高気温が10℃を下回る日もあります。きっと寒さに驚かれることもあるでしょう。

 同じ日本国内でもこれだけの気温差。地元から離れ他の地域を見ることで、日本は生物多様性のホットスポットなのだと、実感できるのではないかと思います。

 難しい話はさておき、AR日記をごらんになっている皆様も、是非羅臼へ遊びにきてください。おいしい海の幸と人情あふれる羅臼の人々、そして豊かな(厳しい?)自然が待っています。

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2013年04月30日知っていますか?ロードキル

知床国立公園 羅臼 上村 文望

 巡視中に遭遇した、ある出来事をご紹介します。


 道路上で、にらみ合うオオセグロカモメ(左)と、ハシブトガラス(右)。
なにやらピリピリした雰囲気。

車で近づいても、二羽ともにらみ合ったまま動きません。



近くで見てみると、オオセグロカモメの足下には
・・・おいしそうな魚!

お昼時という事もあり、彼ら(彼女たち?)は魚に夢中。

そのとき、猛スピードで車がやってきました。

危機一髪、スレスレで車をよける2羽の鳥。
このままでは危険と判断し、取り合っていた魚を回収しました。

野生動物が、道路で交通事故などにより死んでしまうことを「ロードキル」と呼びます。
動物の死は悲しいものです。しかし、ロードキルはそれ以上の問題を含んでいます。


(((もし、今回オオセグロカモメが車にはねられていたら・・・)))


カモメの死骸を食べにキツネなどが訪れ、そのキツネも車に跳ねられてしまう恐れがあります。

交通事故死した動物を食べるために、新たな野生動物が被害にあってしまうのです。

希少種であるオジロワシ、夜間だとシマフクロウが道路に降りてくる可能性も否定できません。

命の繋がりがマイナス効果にならないために・・・


・野生動物への餌付けをしない。
・餌付けにつながる生ゴミなどの投棄をしない。
・安全運転を心がける。


これらの注意だけでも、たくさんの野生動物を守る事につながります。


●海上のオオセグロカモメとその幼鳥

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2013年04月25日相泊から観音岩へ

知床国立公園 羅臼 上村 文望

はじめまして。

平成25年4月より、羅臼自然保護官事務所にアクティブ・レンジャー(以下AR)として着任した上村 文望(かみむら あやみ)です。

自然を学ぶ専門学校に入学し、獣害対策、野生動物の保護とリハビリ、環境教育・・・
様々な「自然」を学ぶうち、自然から離れられなくなってしまい、卒業と同時に北海道へ移住しました。

北海道の中でも、羅臼は特に森と海が深く結びつき、豊かな環境が保全されています。厳しくも美しい山々と、そこに住まう動物たちの身近にいられる事に感謝し、ひとまずは一人前のARになるべく日々奮闘中です。
どうぞ、よろしくお願いします。

さて、先日「知床半島先端部地区」に位置する観音岩に、ワシ類調査に行ってきました。

-== ====「知床半島先端部地区」とは・・・、=== = ==-

○ヒグマの高密度生息地
 いつどこでヒグマに遭遇するかわかりません。

○数々の難所
 何メートルもある巨大な岩、一歩でも踏み外したら海に落ちてしまいそうな岩壁や急斜面。

○自己責任
 先端部地区は番屋があるのみ。夏場は人が滞在していますが、頼ることはできません。

(詳しくは、知床半島先端部地区 利用の心得「シレココ」をご覧ください。)
http://www.env.go.jp/park/shiretoko/guide/sirecoco/index.html
-== = ===================== = ==-




残雪箇所があるため、途中まではスノーシューでの雪上移動となりました。
スノーシューを脱いだ先には、長い石浜が待ち構えています。
まるで高山のガレ場のよう・・・!しかし、すぐ右手にはうねりをあげる根室海峡。
シノリガモやオオセグロカモメたちが、荒波にもまれています。
波にのまれないかと心配しながら、先に進みます。

観音岩までの間、頭上にワシがいないか、海辺にどんな鳥がいるか、浮き石に転ばないか、いろいろなものに注意をはらって進むのですが、特に注意をはらわなければならないものがあります。

それは・・・、ヒグマです。

いきなり急接近でヒグマと出会うのが最悪のパターン。こちらが先にヒグマを発見することが大切です。
大きな岩陰に潜んでいることもあるので、見通しがきかない場所では声をだして、人の存在をアピールします。


大きな足跡や、エゾシカの残滓が目につくようになったころ、出会いました。



ヒグマです。

同行していた三宅保護官が大きな声を出すと、驚いたのか崖を登っていきます。
途中こちらに一度目配せし、再び山に帰っていきました。


姿が見えなくなったとはいえ、ここはヒグマの高密度生息地。他の個体がすぐ近くにいるかもしれません。油断は禁物です。ほいー!と大声を出して進みます。観音岩に到着後、天気も悪いのですぐに相泊へ引き返しました。

今回の調査で確認できたワシは、不明一羽。オジロワシやオオワシは、おそらく繁殖地へ渡っていってしまったのでしょう。

荒波にもまれる水鳥、急峻な崖をものともしないヒグマ、野生生物の自然と一体化した姿は言葉では言い表せない感動があります。

●観音岩を望む。

ですが、判断を誤ると、生命の危機にもつながりかねない知床半島先端部地区。
再び訪れる時は、万全の準備で羅臼の大自然に失礼のないように、挑みます。


勉強の日々ではありますが、今後も羅臼での日々をAR日記で皆様にお伝えしていきます。どうぞ、よろしくお願いします。

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