ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

RSS

知床国立公園 羅臼

188件の記事があります。

2013年02月01日ふと見るとアライグマの足跡!

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

1月中旬に、羅臼ビジターセンター付近を巡視中にアライグマの足跡を発見!!この真冬になぜ?と思ったのですが、話によると繁殖期は真冬で、雄のアライグマは、ねぐらから出てきてパートナーを探すことがあるのだとか。
 アライグマは、外来生物法によって特定外来生物に指定されており、本来の自然生態系を壊してしまう危険のある野生動物です。また知床半島には希少な猛禽類であるシマフクロウが生息しており、アライグマは木登りが得意ため、木の洞で生活するシマフクロウの生息環境を脅かす存在であることが知られています。
万が一にでも10年・20年先、知床にアライグマがぞろぞろと歩くなんて事になってしまっては、シマフクロウ存続の危機です。そんなことにならないように、羅臼自然保護官事務所では、センサーカメラによって日々アライグマの動向を監視しております。カメラに写った場合、新しい痕跡が見つかった場合など、捕獲のためのワナを設置する事があります。


羅臼ビジターセンター シマフクロウ剥製

いつまでもシマフクロウの生息できる知床であってほしいものです。


今回発見のアライグマ足跡(後藤AR撮影)

アライグマの足跡は、五本指であるのが最大の特徴です。上の写真でもくっきりと5本指のあとが残っています。非常にわかりやすい足跡です。
今回の足跡発見!により、足跡発見場所でアライグマの捕獲ワナを現在設置しています。

羅臼自然保護官事務所では、昨年も数件のアライグマ目撃情報が寄せられており、これから、ますますアライグマの動向に注視していかなければならないと感じています。

最後に、ただ一つ忘れてはいけないことは、アライグマが悪いのではなく、それを持ち込んでしまった人間に責任があるということです。メディアなどではいかにも外来生物が悪者であるような演出をする番組がありますが、私はあまり好きではありません。
元をたどればほとんどの場合、元凶となっているのは、人間なのです。

ページ先頭へ↑

2012年12月27日ようこそ、知床へ

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

全国から訪れる観光客であふれかえるサマーシーズンも終わり、
そんな賑やかさがちょっぴり恋しくなる今日この頃。

そんな知床に、お客様が。
しかも、知床には初めてお越しとのこと。

そんなお客様は、ヒメハジロです。

鳥インフルエンザ監視のため、水鳥の飛来状況を確認していた巡視中の事。
「あれ?!見たことない鳥が…。」
それが彼、ヒメハジロだったのです。

北アメリカ北部で繁殖し、冬はアラスカ南部からアメリカ西部・南部で越冬する種です。
日本ではまれな冬鳥として少数確認されることがある、いわゆる迷鳥。
北海道は根室管内でも数件、本州でも数件の確認はあるようですが、
なかなか珍しい鳥のようです。

6000km以上も離れたアメリカ大陸から、はるばる羅臼まで。
渡りの途中でしょうか。
ホオジロガモの群れにたった一羽だけ、オスのヒメハジロが混ざっていました。


胸から尾にかけて白色、背中が黒色、そして頭部は光線によって緑、青、紫の光沢がかるなんともきれいな羽の色です。
残念ながらきれいに写真におさめることはできませんでしたが、
時折光の加減で見える頭の色は、とてもきれいでした。



長旅で疲れた羽は休めることができましたか?
羅臼はお気に召しましたか?
たくさん栄養をつけて、元気に旅を続けてくださいね。
そして、ぜひまた来年もお越しいただけることを願っていますよ。

知床初確認となる鳥との出会いに立ち会え、とても嬉しい経験でした。
まだまだたくさん知らないことや新しい出会いがある知床の自然に、さらにワクワクします。

後日、北海道新聞にも取り上げていただきました。

ページ先頭へ↑

2012年12月26日野付半島 冬の野鳥

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

 12月20日、野付半島の巡視に行って来ました。
冬の野付半島といえば、北海道のバードウォッチャーにはとても有名です。
希少な猛禽類やカモ類などがたくさん訪れます。今回は野付半島の美しい野鳥を紹介したいと思い立ち、日記に記します。

 鳥好きの自分としては、冬の道東で野鳥を観察しながら仕事ができる事を、何よりも幸せに感じます。もちろんただ野鳥を観察しているわけではありません。鳥インフルエンザ監視のために、弱っている野鳥や死亡個体などがいないか確認し、発見した場合には救護等の活動を行います。その他、野付半島の利用状況や自然情報の収集、鳥獣保護区制札の確認、エゾシカの発見記録などの業務を行っています。

 ここからは、巡視で観察できた野鳥を紹介します。
やはり冬の道東といえば、オオワシ・オジロワシですよね。野付半島 では、オオワシの群れが観察できました。綺麗な青空をバックに、オオワシの凛々しい姿が撮影できました(電線が少し邪魔ですが)。野付半島では、他にオジロワシ、クロガモ、ユキホオジロ、オオハクチョウ、セグロカモメ、ワシカモメ、シロカモメ、スズガモ、カワラヒワなどの野鳥に出会えました。


野付半島、オオワシ成鳥

尾岱沼側の標津漁港付近海岸では、コオリガモの群れが観察できました。
他にも、春別川河口付近には、オオハクチョウ、ミミカイツブリ、カワアイサ、マガモ、ホオジロガモなどのカモ類が観察できました。特にコオリガモは、羽の色が特徴的でとても美しい野鳥です。


標津漁港付近、コオリガモの群れ
 
 これからも予期せぬ野鳥との出会いを思うと、胸が躍ります。
冬の道東、皆さんも是非訪れてみてください。
きっとすてきな経験ができるはずです。

ページ先頭へ↑

2012年11月22日知床学 ‐ぼくたち、わたしたちの知床‐

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

前回の日記で報告した「知床学」出張授業の二日目をお届けします。
↓一日目の様子↓
http://c-hokkaido.env.go.jp/blog/2012/11/994.html

「知床の自然を守るために必要なこと、自分たちにできること」を考えてくる、という宿題を渡して終了した授業一日目から一晩、
さて、子どもたちは宿題をやってきてくれたでしょうか。

二日目の授業のテーマは、「ぼくたち、わたしたちの知床」です。

一日目にみんなでつくった「知床の生態系」に貼られている、それぞれが描いた絵。山の生きもの、海の…、川の…、自分の絵があるグループに分かれて話し合ってもらいました。
それぞれが考えてきた「知床の自然を守るために必要なこと、自分たちにできること」をグループ内で発表しあい、紙にまとめてもらいます。



そして、みんなの前で発表してもらいました。



「ゴミをすてない・ひろう(動物がすめなくなる!)」
「やせいの動物にえさをあげない」
「生ゴミの味をおぼえさせない」
「水をむだにしない」
「どうぶつをいじめない(びっくりさせない)」
「どうぶつのすみかをたいせつにする」
などなど…。
子どもたちは、しっかり考えてきてくれました。



みんなからのたくさんの意見はどれも素晴らしいもの。
その内容ももちろんだけど、知床で生まれ育ったみんなが、知床のことを一生懸命考えた、そのこと自体が素晴らしい。
海にクジラがいるのも、川にシマフクロウがいるのも、美味しい魚がたくさん食べられるのも、毎日のことだと当たり前になってしまう。
だからこそ、みんなが考えるってことが素晴らしいということ。


知床の自然を守り、残し、伝えるために、大人たちもみんなで手分けをして色々なことをしている。
知床で暮らす人々、政府や役所、役場の人、専門家などたくさんの人が集まって、会議をして話し合っている。調査や研究をして、ダムなどの河川工作物を改良してサケが行き来できる川にしたり、海の資源を大切にするために魚を獲る量などを決めたり、増えすぎたエゾシカから植生を守ったり…。自然を大切にしながらたくさんの人に知床の自然の良さを体感してもらうためにルールを決めたり、ヒグマと共に生きていくための道を考えたり…。美味しい魚貝類など、知床の恵みをたくさんの人にPRして知ってもらったり…。
魚を獲っているお父さんも、それを手伝っているお母さんも、知床の恵みをたくさんの人に食べてもらいたいと、きっと思っている。知床の恵みは素晴らしいって知っているから。
みんなのふるさとは素晴らしい。


二日間にわたる授業は、こうして終えたのです。
授業の最後に、アンケートに答えてもらっていました。
そこには、
「いつもたべてる魚も命のつながりだった」
「知床がこんなにすごいところだと知らなかった」
「世界の人に自まんしたい」
などと書いてくれていました。


目をキラキラさせて話を聞いてくれ、問いかけにも競争のように元気いっぱい大声で発言してくれる、そんな羅臼の子どもたちと一緒につくった「知床学」の授業は、私にたくさんのことを教えてくれました。
世界に誇る自然遺産の町に暮らす子どもたち。
そして、彼らが担う将来。
この子たちのためにも、私にできることを考え続けていきたいと思います。

ページ先頭へ↑

2012年11月15日ルサフィールドハウス閉館

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

季節もうつろい、羅臼も冬らしくなって来ました。
羅臼岳の頂上付近はすっかり雪に覆われ、冬の装いです。
冬鳥であるオオワシの姿もちらほらと観察されるようになりました。
いよいよこれから知床の長い冬が始まるといった感じです。

冬期にともない、ルサフィールドハウスが11月1日~1月31日までしばしの閉館です。


今季の役目を終えたヒグマの剥製

ルサフィールドハウス関係者の方々、お疲れ様でした。


ルサフィールドハウス

ルサフィールドハウスは夏場、知床の自然や
海と陸の生態系のつながりなどを伝えています。
館内には、ヒグマ、キタキツネ、野鳥の剥製も展示してあり、
見応え十分です。

また、ルサフィールドハウスでは主に知床半島先端部を利用する方々への
自然情報提供や利用のルールなどのレクチャーも行っています。
知床半島先端部は、険しい地形のため
トレッキングには大変な危険を伴います。
ヒグマ対策はもちろんこと、
体力、判断力、高い登山技術が必要不可欠です。
そんな場所だからこそ、レクチャーや
自然情報の収集が必要になります。

ルサフィールドハウスは知床半島先端部に挑む
トレッカーのための施設であると言えます。
知床半島先端部に行かれる方は、
是非ルサフィールドハウスにお立ち寄りください。

今年もたくさんの方がルサフィールドハウスに訪れてくださいました。
来年2月からルサフィールドハウスは、再び開館いたします。
冬期は、流氷に加え、オオワシやオジロワシ、
アザラシ類などの知床を代表する野生動物が姿を見せてくれます。

冬期も羅臼の自然を是非ご堪能いただければと思います。

知床世界遺産ルサフィールドハウス
http://shiretoko-whc.jp/rfh/


ページ先頭へ↑

2012年11月12日知床学 ‐命と命のつながり‐

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

以前より、町内や管内の小中学校で外来生物についての出張授業を行っていましたが、
今年度から行うことになった「知床学」授業について、ご報告をしようと思います。

「知床学」とは、
羅臼町の中学校・高校6年間の教育課程にあり、「知床羅臼町の豊かな自然と産業などについて理解し、郷土への誇りを持つ」ことを目的とした授業で、ヒグマや生態系などについて学年毎の課題に沿って学習をしています。
そして今年、全国では初となる町内すべての幼稚園・小学校・中学校・高校がユネスコスクールに認定されたこともあり、幼稚園や小学校でも「知床学」の授業を行うとのことで、環境省とも連携をして授業を行いましょう、ということになったのです。

こうして、小学3年生のクラスで「知床学」の授業を行うことになったのですが…。
なにせ、前例のない授業をすることになったわけですから、どんな授業にしようかとても悩みました。担任の先生とも何度も相談を重ね、大先輩から助言をいただいたりしながら、授業の立案、構成、組み立てなどをしていきました。


授業は、二日間にわたって行いました。
一日目の授業のテーマは、「命と命のつながり」です。

まずは、黒板に描いた知床の山と川と海に、それぞれ生息している動物たちがどう関わりをもって生態系は築かれているのか、絵を貼って確認してみます。

そこで登場するのが、かわいいキツネやヒグマ、クジラなどの絵。
実はこれ、授業を行う1ヶ月ほど前に、知床の生きもの調べをしていた子どもたち自身が描いたもの。貼るのは、事前に担任の先生にお借りしてコピーしたものです。
子どもたちは、自分が選んで一生懸命調べた生きものの絵が突然登場し、びっくりしながらも嬉しそう。



絵を黒板に貼って、その生きものが食べているものを書いてもらいます。



できあがったのは、これなーに?と聞くと、「知床の生態系!」と大きな声で返してくれる子どもたち。さすが、羅臼の子です。

知床に棲む生きものたちは、いろいろな食べ物を食べて生きている。
たとえばシロザケ。川で生まれ海で成長しまた川へ回帰する。
それをヒグマやキツネ、ワシなどが食べ、食べ残しや死体は山の栄養になる。豊かな山から流れ出るさまざまな成分が、川や海の大切な栄養となる。
山と川と海はつながっている。
命と命がつながっているっていうこと。

そして、知床の海は他にはない特別な海。
流氷が運ぶ植物プランクトンが動物プランクトンの餌になり、深い海峡に豊富な餌を求めた魚やアザラシ・トド、イルカ・クジラなどが集まる。

また、シレトコスミレやシマフクロウ、オオワシやトドなど、絶滅が心配される生きものも多く生息する。
多様な環境が多様な生きものの命を支え、複雑に絡み合う生態系がある知床は、大自然の見本のよう。

こんな素晴らしい自然は、ずっと残していきたいかけがえのない宝物だ、と
世界から認められた。
大事にしていかなきゃ!って世界が注目している。
それが、世界自然遺産に登録されたということ。



子どもたちにとっては、生まれ育ってきた知床の自然です。
「すごいことだったなんて、知らなかった。」
「当たり前だと思ってた。」
多くは漁業を営む家庭に育つ子。小さなころから食べ慣れているのでしょう、
「ホッケもサケもイクラもウニもカニもメンメも、当たり前にいくらでも食べられるよ!」
なんて贅沢な…。
でも、それも豊かな自然があるからこそ受けられる恵みです。

こんな素晴らしい自然がある知床ってすごい。
この自然は、これからもずっと続いていってほしい。
そして、もっともっとたくさんの人に知ってほしい。
続かせるために、ずっと残しておくためには、どうしたらいいんだろう。
また、自分たちにできることはなんだろう。
みんなで考えてみない?

こうして出しました、宿題。
「知床の自然を守るために必要なこと、自分たちにできること」を
二日目の授業までに考えてきてね、と。

3年生には少々難題ですが、きっと子どもたちなりに一生懸命考えてきてくれるはず、と信じて。

さて、子どもたちがどんなことを考えてきてくれたか、
また、二日目の授業がどうなったかは、次回の日記でお届けします。

ページ先頭へ↑

2012年10月17日鳥インフルエンザとは!

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

 先日、釧路自然環境事務所で行われた会議に出席した際に、猛禽類医学研究所の齊藤、亀ヶ谷両獣医師をお招きし行われた鳥インフルエンザに関する講習を受けて来ました。
 鳥インフルエンザについて基礎的な知識を学んだあと、実際の傷病鳥を用いて、鳥インフルエンザの簡易検査の手順について実習することができ、大変勉強になりました。


鳥インフルエンザ講習の様子

ここで鳥インフルエンザ講習の座学の内容を少しだけお伝えします。

 最近はニュースでも耳にすることがあると思いますが、鳥インフルエンザは、鳥類の感染症の1つでニワトリなど家禽では大量死を引き起こすこともあります。

 インフルエンザウイルスの感染経路は、鳥から鳥、鳥から人や豚などの哺乳類への感染パターンがあります。

 鳥インフルエンザウイルスは、感染した鳥との濃密な接触等の場合を除いて、通常では人に感染しないと考えられており、日常生活で鳥インフルエンザに感染する心配は、ほぼありません。ですが死亡した野鳥などには素手で触らないようにしてください。不用意に触ってしまった場合は、リスク管理のため必ず手洗い、うがいをお願いします。


 羅臼自然保護官事務所では、傷病鳥を発見した場合は、傷病個体を捕獲し、釧路の野生生物保護センターに運び、検査を行ってもらう等の対応をしています。

 ここ知床は、シマフクロウ、オオワシ、オジロワシ等の希少な猛禽類が生息・越冬しています。もし鳥インフルエンザが知床で発生してしまったら、多くの希少鳥類が危機にさらされる可能性があります。

 このような事態にならないためにも、我々職員や鳥獣保護員による日々の巡視が大切であると改めて考えさせられました。日々目を光らせ、不測の事態に備えたいと思います。

 発生しないのが一番いい事ですが。


オオワシ

皆さんも興味があったら是非、鳥インフルエンザについて考えてみてください。

ページ先頭へ↑

2012年09月11日羅臼町とヒグマたち

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

今年は、ヒグマの目撃情報が異常に多いといっても過言ではありません。

私は、今年の4月から羅臼に住み、ここまでたくさんのヒグマが姿を現す町なのだと驚いています。4月から8月末までの羅臼町でのヒグマの目撃情報はなんと300件以上にのぼっています。

 これからの季節9月~11月くらいまでは、ヒグマは冬眠のために食いだめをします。
山ではドングリや他の木の実、川では鮭などを食べ、行動も活発になってきます。特にここ知床では、世界的に見てもヒグマの生息数が多く、人里に現れる可能性が高くなっています。


浜に現れるヒグマ

 ヒグマが人里におりて、もし人間の食べ物の味を覚えてしまったら、人間の食べ物を求めて頻繁に町に姿を現すようになってしまいます。

そうなれば・・・・

人を襲って食べ物を奪おうとするヒグマになってしまう可能性があります。その結果多くのヒグマを駆除しなければならなくなります。

ヒグマに餌を与えるということは、きわめて危険な行為であるということを知っておいてください。ヒグマには絶対にえさを与えないでください!

 多くの方が、ヒグマについて興味を持ち、正しい知識を身に付けて、ヒグマとのつきあい方を考える事で、ヒグマと人間の共生に少しでも近づいていけると思います。

是非皆さんもヒグマについて考えてみてください。


知床連山の風景

 自然環境は日々変化していくものだと、自然を観察していて改めて感じています。
今後も知床羅臼の自然環境を見つめ、情報を発信していきたいと思います。

ページ先頭へ↑

2012年09月05日きれいな山に似合わないもの

知床国立公園 羅臼 後藤 菜生子

それは、ゴミ。

先日、羅臼町商工会青年部さんと合同で、清掃美化登山を行いました。

商工会青年部のみなさんは、自分たちの住む町にある百名山羅臼岳を自分たちの手できれいにしようと、この清掃美化登山を3年前から行っているそうです。
それまでは、斜里町側の岩尾別登山口から登るコースで行っていたという清掃登山。せっかくならやはり羅臼町側の羅臼温泉登山口から登るコースでやりましょう、また、せっかくなら関係機関と協同でと、日頃から巡視などを行っている私たち羅臼自然保護官事務所にお声かけいただいて、実現する運びとなりました。

日頃、羅臼岳登山道の補修や維持管理、巡視を行っている私たちにとっては、地域の方々の自主的な活動があるのはもちろん、そんな活動にお声かけいただき協同で行うことになったこと、今まで羅臼岳すら登ったことないという会員さんも参加していただいたこと、そうしてイベントが行えるのはとても嬉しいことでした。



羅臼岳は標高こそ1660mですが、羅臼温泉登山口の標高は約100mなので、標高差約1500mを上がらなければならない他、岩尾別コースとくらべて勾配が急、行程が険しいなど、上級者向けのコースです。
そのため比較的登山者が少ないのですが、知床本来の静寂で奥深い雰囲気を堪能できる魅力あるコースでもあります。

日頃、巡視で登っている私たちもゴミがあれば拾いますし、もともと登山者の少ない登山道なのであまり落ちているゴミはないのでは…と想像していました。



ところが、
上の写真は、青年部のみなさんと三宅自然保護官、私たちアクティブレンジャーで拾ったゴミです。
…あるんですね。

ここを訪れる人々はみな、知床の美しい自然景観を堪能し、登山を楽しんだはず。そしてそれは、この自然環境が残っているからこそ、なはずです。
ゴミは自然景観だけでなく、野生動物へも悪影響を与えてしまいます。
あとを濁さない、これは堪能させてもらった自然に対しての最低限の配慮ではないでしょうか。

美味しく食べたお弁当やおやつ、どうしてもしたくなってしまったトイレ。
風に飛ばされないようすぐザックにしまう、携帯トイレを持参するなど、私たち一人ひとりがほんの少しだけ気を付けることが、この美しい知床の自然を保持する一歩となるのです。


きれいな山なら、キツネもうっとりお昼寝♪

ページ先頭へ↑

2012年08月20日知床連山フードロッカー

知床国立公園 羅臼 菅原 弘貴

知床連山巡視に行ってきました。

知床連山縦走路には、美しい花々やすばらしい景色があります。でもそんな場所だからこそ利用のルールもあるのです。
知床連山には、フードロッカーなるものがキャンプ地に設置されています。
その名の通り食べ物(ニオイのするもの)専用のロッカーです。ではなぜ食べ物をロッカーに入れてく必要があるのか?それはズバリ 知床のヒグマです!!
 人間の食べ物のニオイは強く、野生動物を引き寄せてしまいます。つまり食べ物をそのままテント周辺に置いておくだけで、ヒグマがテントの近くまで来てしまう可能性があります。もし万が一そうなってしまった場合、大変危険です!

 知床連山縦走路には、テント場が4箇所あります。そのすべてにフードロッカーが設置されています。キャンパーは必ずフードロッカーを活用してください。


上の写真が、フードロッカーです。
よくフードロッカー内にザックなどをデポしてしまう登山者がいます。
ザックを一つ入れてしまうだけでテント場利用者が食料を入れられなくなります。

 知床連山縦走を行う際には、フードロッカーを正しくお使いください。






知床連山の風景

ルールを守って気持ちの良い登山にしましょう。
ご協力おねがいします。

ページ先頭へ↑

ページ先頭へ