ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園 ウトロ

220件の記事があります。

2011年01月17日凍り始める

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

先日、海ワシ調査を行った際、多くのオブジェを確認しました!





堤防を越えて波を被った看板は何かのキャラクターのようには見えませんか?また、灯台は怪物に、堤防は氷の壁の様に見えます。港の中の水も凍り始め海鳥達は避難しているようです。鳥の姿は確認出来なくとも、ここならではの景色を楽しむことができます

さて、凍り始める・・・と言えば、皆が待ち遠しく感じている、「流氷」!!見えてきましたよ。オホーツク海沖に影が。現在の流氷の育ちを確認するには下記のアドレスをチェックしてみて下さい。    
海ワシ調査では、調査毎にワシの確認数が増えたり減ったりします。数の増減は、流氷、漂着したクジラ、エゾシカの残滓、工事の騒音等々いろんな要因が関わるのだと思います。調査中は、その様な些細な情報も記録しておきます。
今年は例年に比べて、幌別川河口付近でワシの数が少なく、ウトロ市街地で多く見かけるような感じがします。今は科学的根拠をもって違いを示せませんが、いつか、この「感じ」の理由がわかるようになるでしょうか。

※16日に流氷が肉眼で確認されたとの連絡。これからの風によって近づくでしょうか、離れるでしょうか。本日確認しようと思いましたが、外は吹雪。私と流氷の再会はまだ先になりそうです。

流氷の状況を確認するには→「海氷情報センター」
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KAN1/1center.html

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2011年01月12日遺産センター盛り沢山

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

12月9日に後藤ARから、羅臼でワシ調査の結果を羅臼ビジターセンターで展示するとの報告がありましたが、ウトロにある世界遺産センターでも、海ワシ飛来状況調査の展示を始めました。

この展示に併せて、ワシの見分け方や生態などの展示も行っています。更に、まだ数は揃ってはいないのですが、港から見ることの出来る動物の写真展示も作成中です。調査中はじっくりと自然観察をすることもできるので、わくわくする時間でもあります。撮影することのできた写真を随時追加し、冬の知床を楽しめる情報の提供を行いたいと考えています。

さらに同じスペースで、野鳥絵画コンテストの入賞作品展も開催しております。愛鳥週間を機会に野鳥の保護と親しみを目的に、北海道が道内の児童・生徒の皆さんより公募したものです。
以上、盛り沢山の展示内容となっています。
冬になり、観光で回れる場所が少なくなってきていますが、世界遺産センターで冬の楽しみ方の情報を入手し、冬ならではの知床の自然を満喫しませんか。

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2011年01月04日冬の海 命のつながり

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

12月21日、海ワシ飛来調査の際にオジロワシやオオワシが、この時期にしては珍しく多くカウントされました。その数約80羽。
一本の樹の上に10羽近く停まっているものもありました。
ワシが多く停まっている海岸には5mほどのミンククジラと思われるクジラの死体が漂着していました。ワシたちは、海からやって来たごちそうを食べに集まってきていたようです。


樹の上のオオワシたち

11月から12月にかけて知床半島ウトロの海は大荒れの日が続きます。この時期、弱ったクジラの赤ちゃんが波で攪乱されることが原因で死亡し、海岸に漂着することがあります。このクジラは見つけたときは既に死亡して何日か経っていました。ワシやカラスなどにつつかれて、ところどころに穴が開いています。


漂着したクジラ(12月21日)

1月2日、動物に食べ尽くされたクジラは背骨がむき出しになり、ほとんど骨になっていました。
もうワシ達はほとんど寄ってきません。ざばーん、ざばーんと打ち寄せる大きな波がクジラを洗い、どんどん骨になっているようです。


漂着したクジラ(1月2日)

大きなクジラが十数日で朽ち果ててしまうとは・・・。知床の冬の海で行われる生き物の命のつながり、自然が浄化作用の早さに驚きを感じました。

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2010年12月14日狩りの季節

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

知床付近のエゾシカ狩猟が、10月23日からはじまっています。今年度から、斜里町の一部の区域について、可猟期間に一時期中断する日を設けるようになりました。常に人がいると、シカが警戒して近寄らなくなりますが、中断期間中にシカが油断して、この可猟区内に戻ってくるところを捕獲することで、捕獲の効率を上げることが期待できます。また、常に人が立ち入らないようにすることで、希少猛禽類への影響を少なくすることも目的としています。
狩猟をする方は、狩猟の出来る場所と出来ない場所がある・・・ということはもちろんわかっているとは思いますが。気をつけて下さいね。可猟区と鳥獣保護区(禁猟区)が隣接されている箇所もあります。境を越えて、うっかりとそんな鳥獣保護区に入っている人がいないか確認を行うのも、ウトロARの仕事です。


この赤い看板が目印で、ここから先は狩猟が出来ないことを示しています。
おっと。看板が曲がってしまっていますね。パトロールではこのような看板の立て直し作業も行います。

森の中を歩いている時に、オレンジ色のベストを着た人に出会うことがあるかもしれません。ハンターの方は、自分の居場所を知らせる為に、目立つ格好をしています。みなさんも散策時には、目立つ格好をして自己防衛をして下さい。シカに間違われたら、大変ですからね!

可猟期間や場所については下記のサイトをご覧下さい
北海道のサイト→http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/sika/

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2010年12月03日鳥たちで賑わう涛沸湖

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

 知床半島のウトロから網走方面へ車で約1時間のところにある涛沸湖には、今年もたくさんのオオハクチョウが飛来しています。
涛沸湖はオホーツク海につながる汽水湖。四季を通して多くの鳥が飛来し、国指定鳥獣保護区であるとともにラムサール条約登録湿地に指定されています。

 この日はオオハクチョウ以外にもオナガガモやマガモ、オジロワシ、オオワシ、ユリカモメなどが観察できました。
観察していた中でも数百羽のユリカモメが乱舞している景色は圧巻でした。地元の方のお話しによると、湖に住むワカサギを食べているのだとのこと。鳥たちにとって涛沸湖は豊かな餌資源と安心して休息できる重要な場所となっているようです。

涛沸湖とオオハクチョウ

 さて、稚内市大沼でカモの糞便から高病原性鳥インフルエンザウィルスが検出されたのに伴い、環境省では涛沸湖など鳥が多く集まる場所で渡り鳥の種類や数を調べる調査や衰弱・死亡した鳥がいないかなどの監視強化を行っています。
 鳥インフルエンザウィルスはもともとカモ類などを自然宿主として存在していますが、ニワトリなど家禽に感染した場合に高い病原性をもたらすタイプ(高病原性)が知られています。
 感染した鳥との濃密な接触等をしない限り人には感染しないと考えられています。日常生活においては、排泄物などに触れた後には、手洗いとうがいを行えば、過度に心配する必要はありません。


渡り鳥のカウントの様子

 野鳥はさまざまな原因で死亡しますが、同じ場所でたくさんの鳥が死亡していたら、鳥インフルエンザに限らず野鳥にとって重大な感染症や中毒の可能性がありますので、触ったりせずに地方自治体等へ連絡しましょう。愛嬌のある鳥たちにはついつい近づきたくなってしまいたくなるかもしれませんが、そっと見守るようにしてください。人の靴底への糞の付着等により、ウイルスを非意図的に拡散させてしまうおそれもあることから、このことにも注意していただきたいですね。
 

愛嬌のあるオオハクチョウですが、陸地に誘引するような餌やりは控えましょう

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2010年12月03日ヒグマが出た時にきちんと対処できるか

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

来年度から知床五湖の利用方法が大きく変わります。その中の一つに5月10日から7月31日の間に地上歩道を歩く場合は、ヒグマ対処法を身につけた引率者と同行してまわるということが義務づけられるというものがあります(高架木道は自由に散策できます。詳しい内容は下記のホームページをご確認下さい)。
さて、そのヒグマ対処法を身につけているかどうかのチェックを11月29日と12月1日に実際に知床五湖で行いました。今回は、引率者1名がお客4名を連れてガイドするということを想定して歩きました。本部の役やヒグマの役も配置し、来年度と同じ状況です。
全部で26名の引率者試験の受験者。ヒグマが出た際の対応だけでなく、ヒグマに会わないための対策がきちんと出来ているかどうかがチェックされました。私は、お客役として23回歩きましたよ。
お客さん気分で、ガイドさんに質問してみたり。全ての方に同じような質問をしたのですが、色々な返答の仕方があって面白かったです。ちなみに、質問内容は「(シカの糞を指して)これは何ですか?」等々。今時期のシカ糞は便秘ぎみのコロコロの糞なので「これはチョコボールです」なんて面白い回答もありました。

地上歩道に持ち込むことの出来ない食べ物を回収している所

クマが出ました! 慌てず騒がず、お客さんを誘導しています。

この試験に合格した人が、来年度からヒグマ活動期に安全に五湖を案内してくれます。
来年度の五湖の詳しい仕組みは→http://shiretoko-whc.jp/goko/

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2010年11月19日長旅の途中で

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

ウトロの港にひょっこりと顔を出したお客様がいました。それはヒシクイという名の鳥で、今の時期は、集団で南へ向かう途中のはずですが、体力の低下からか、このヒシクイは、はぐれてしまったようです。
10月27日にウトロの住民の方から連絡が来て様子を見に行くと、多少衰弱しているものの、自力でエサをとることもでき、飛ぶこともできるようなので、そのまま経過を見守ることにしました。その後は、遺産センターの横の駐車場をお気に召したようで、水たまりに足をつっこみつつ、水を飲み、草を食べ、糞をまき散らしていました。ウトロではあまりお目にかかれない鳥であるということと、愛らしい姿から、遺産センターの職員のアイドルだけでなく、観光客やウトロ住民の中でも愛される存在となっていました。ただ、この時期にウトロにいるということは、いずれ食料がなくなり、困るだろうと心配されていました。
そして残念なことに、11月15日に道路脇で息絶えてしまったとの連絡がきたので、博物館に運びました。体力の低下した動物は淘汰されてしまう、厳しい自然の中で生活をしているのだなと、あらためて感じた出来事でした。



遺産センター横の空き地で、お休み中

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2010年11月18日海ワシ類の調査を始めました

知床国立公園 ウトロ 高橋 知里

11月上旬からウトロではオオワシやオジロワシの渡りが見られるようになってきています。

知床の海岸 ワシたちは北西の風が半島にぶつかった時にできる上昇気流を利用して渡っていきます。

夏、サハリンやアムール川沿いで過ごしていたオオワシは、9月下旬頃から南下しはじめ、北海道・知床半島を経て国後島まで移動し、1月頃に再び知床へ舞い戻ります。

ウトロ自然保護官事務所では11月からオオワシ・オジロワシ飛来状況調査を始めています。
11月11日の調査では「渡り」にぶつかり、オオワシ38羽、オジロ8羽、合計46羽のワシを確認。ほとんどが2m程もある大きな翼を広げて知床岬方面へと飛んでいきました。

オジロワシの幼鳥 茶色の体に茶色の目、黒いくちばしが特徴です。

 一方、11月17日に行った調査ではオオワシが6羽、オジロワシが9羽、合計15羽を確認。このときは樹の上に留まったり、海の上をぐるぐる旋回して餌を探しているものが多く、ここで越冬するものが多かったのではないかと思われます。
知床で越冬するワシは海岸の漂着物や弱った海鳥、川沿いの鮭のほっちゃれ(産卵が終わって命を全うした鮭の死体)などを食べてすごします。
 調査ではワシだけではなく、自然情報の収集や弱った鳥などがいないかも確認しています。
この日はクマタカの幼鳥を見つけました。


クマタカ幼鳥。白いお腹が特徴。知床で繁殖していますが、見られる機会は少ないです。

 寒い、何もないとうイメージを持たれがちのこの季節ですが、鳥たちは風を読み、時化る海や川からの恵みを利用して巧みに生きています。
実際に鳥を探すのも楽しいものですが、鳥の暮らす海や森に思いをはせるのもいいものです。ひとつの楽しみ方として味わってみませんか?

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2010年11月12日おすすめの時期

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

知床では、11月7日に知床峠に向かう道路は冬期閉鎖になり、知床五湖と岩尾別登山口に向かう手前のゲートも24日の11時に閉鎖になります。
知床五湖は、7日に駐車料金所が閉まりましたが、ゲートの閉まる24日までの間は五湖の散策が出来ます。ウトロ事務所では、知床五湖の4箇所に利用者カウンターを設置しており、その管理のためと、ヒグマ対策用の電気柵と高架木道の様子を確認するために、アクティブレンジャーが一週間に一度は巡視に向かいます。今の時期は、夏の大都会知床という様子もすっかり落ち着き、のんびりと静かな知床五湖を楽しめます。今の時期が一番じっくりと五湖を堪能出来るのではないでしょうか。しかし、知床連山も雪を被り、気温下がっているため、散策をする際には、防寒対策をしっかりとして訪れるようにして下さい。


11日にオオハクチョウの姿と鳴き声を確認しました。また、ワシの渡りも確認し、冬の気配が辺りにただよっています。


来年から変わる知床五湖の仕組みは下記のホームページで詳しく説明しています。また、現在進行形で決まりつつあることも随時掲載していくようにしています。来年知床に来る予定を立てている方は来る前にこのページを確認するようにして下さい。
HP:http://shiretoko-whc.jp/goko/

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2010年10月20日鳥の目線で下界を見下ろす

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

19日に「バルーンカメラ」というものを使用して、撮影を行いました。名前の通り、ヘリウムガスを満載した風船を飛ばし、その下にデジタルカメラやビデオカメラを取り付けたもので、静止画と動画の撮影を行いました。最高高度250m。下でモニターを見ながら、リモコンを使用し、水平移動、垂直移動、ズーム、シャッター等の操作を行います。風船なのでフワフワと揺れ、なかなか思い通りの動きをしてくれず、難しかったですが、撮影を重ねるごとに、慣れ、なんとか撮影できました。また、何枚か撮影したものを繋ぎ合わせ、迫力のある上空からの写真を作成することができました。
 今回撮影した箇所は、知床五湖、岩尾別、フレペの滝遊歩の三箇所。写真は知床のPRを進める上で、使用していきたいと思っています。


知床五湖高架木道、上空250m。






敵か仲間か探るために、オジロワシが偵察にきましたよ。また、何だ、何だと上を見上げて警戒するエゾシカ達。人にはあまり警戒しないシカ達も、見慣れない物体には、警戒心を持つようです。驚かしてしまってごめんねー、と呟きつつ撮影は無事終了いたしました。

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