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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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知床国立公園 ウトロ

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2013年06月04日知床横断道路、ついに開通!のその陰で……

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太

 知床国立公園・ウトロ自然保護官事務所の高橋です。


 5月後半からまるで真夏のような陽気が続いています、こちら知床半島・ウトロです。ゴールデンウィークに積もった大雪が一気に解けだし、野山に緑が戻ってきました。ようやく春の到来を実感しています。


 そしてついに!6月1日本日!知床横断道路、開通の日がやってきました!


※ 知床横断道路とは、文字通り知床半島を横断し、知床峠を越えてウトロと羅臼を繋ぐ山間道路です。毎年雪が降り始める11月頃から、翌年の春5月頃までのほぼ半年間は、冬期閉鎖されています。今年は度重なる豪雪で除雪が追いつかず、誰もが首を長くして開通を待っていました。




(ゲートのオープンを待つ人々)


 そんな知床横断道路の入口、ウトロ側のゲート前には70台以上の車が並び、オープンを今や遅しと待ちわびる人々が長蛇の列を作っています。そこへ近づく黒い影……。




(カメラ慣れして余裕を感じさせるヒグマ)


 実はこの横断道路開通日にあわせて、「知床ヒグマえさやり禁止キャンペーン」のイベントが開かれました。ゲートに並んでいる車やバイク一台一台に、チラシと記念バッジを渡し、ヒグマへのえさやり禁止を呼びかけるものです。


 ところが皮肉にも……同日、開催中のえさやり禁止イベントと時同じくして、残飯の不法投棄が発見されました。食べ残した弁当や飲み物が入った段ボールが3つ、知床五湖へ向かう道ばたの斜面に放り捨てられていたとのこと。不幸中の幸いで、まだ野生動物が食い荒らした形跡はなかったそうですが……「知床ヒグマえさやり禁止キャンペーン」が直面する問題を、目の前に突きつけられた思いがします。




(霧煙る羅臼岳を背景に「STOP!えさやり」の横断幕)


 知床峠、頂上に到着!駐車場はほぼ満車、展望台は人々でにぎわっています。これから夏に向かって、いよいよ知床のハイシーズンが始まります。旅の恥はかき捨てても、ゴミまで捨てないようにしたいところです。




※「知床ヒグマえさやり禁止キャンペーン」詳細についてはこちらから。
http://shiretoko-whc.com/esakin/

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2013年05月21日新造船お披露目

知床国立公園 ウトロ 笠井 憲子

「しんぞうせんおひろめ」と聞いて最初は何のこと?と思いましたが、
新造船というのは、新しく造った船のことです。
新車ならぬ新造船です。

そのお披露目があるというので、行ってきました。




ピカピカの新しい船が大漁旗をたくさん、はためかせながら
勇ましく登場しました。

この大漁旗は仲間の漁師さんたちが、
この船のために作って送ったものだそうです。




沢山の人が新造船を見に集まって来ています。




新築のお家の上棟式で餅まきをするように、
新造船お披露目でも、餅まきが行われました。



この新造船はサケ・マス定置網漁に使用する漁業船になります。
ここ斜里町ではサケ・マス漁が盛んで、毎年のように漁獲量が日本一になっているほどです。
もちろん川への遡上数も大変多く、豊かな自然の恩恵を動物たちも受けることになります。
知床の自然は、サケ類が川をのぼり海と陸とをつなぐことで、
豊かになっているのです。

この新造船は、これから7月~11月に掛けて行われるサケマス漁で、大活躍することでしょう。








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2013年05月17日フレペの滝遊歩道

知床国立公園 ウトロ 笠井 憲子

はじめまして。4月からウトロ自然保護官事務所のアクティブレンジャー(AR)になりました笠井憲子です。よろしくお願いします。

5月15日のフレペの滝遊歩道巡視でのことです。
巡視中にエゾシカが林内から集団で出てきました。何だろうなと思いながら進んでいくと、何やら黒い塊が見えるではありませんか。さて、この黒い塊は何でしょうか?




正解は


ヒグマです。


距離は大分離れておりましたが、緊張が走ります。
クマスプレーをいつでも噴射させられるようにしながら、ヒグマが何をしたいのか様子を見ながら徐々に後退していきます。
ヒグマはシカをガン見し、私の存在には気付いていない様子なので、ホーホーと声を掛けますが人間を気にする様子もなく悠々と歩き回り、そのうち出てきた方角とは逆の林内に去って行きました。

巡視中に足跡や糞などの痕跡はよく見ていましたが、姿を見ることであらためてヒグマ高密度生息地域の知床なのだと感じました。
このフレペの滝遊歩道は観光で来られるお客さんも多く利用しているところです。
知床でヒグマを見かけたら、あわてない、さわがない、走って逃げないで、冷静にヒグマとの距離を取るようにしてほしいと思います。


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2013年05月01日三寒四温の知床五湖

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太

知床半島・ウトロ自然保護官事務所の高橋です。
あれよあれよという間に4月が終わり、待望のゴールデンウィーク突入ですね。

三寒四温の差が激しすぎて、激動の4月でした。
春の嵐による土砂崩れ・停電に始まり、その嵐が嘘だったかのような晴天――怒濤の勢いで雪解けが進み、さあこのまま知床五湖、開園日だ!と思ったら、季節外れの吹雪……と、目まぐるしいことこの上ありません。


春です!


やっぱり冬でした……


「春でも冬でもどっちでもいい!おれはもう起きる!」

ゴールデンウィーク前半はまたしても大雪に見舞われ真冬に逆戻り、知床五湖も道路も閉鎖になるなど、相変わらずとんでもない天気です。冬眠あけのヒグマや、冬毛を脱ぎかけのエゾシカ、土から出てくるタイミングを間違えたエゾアカガエルなど、動物達はこの天気をどう思っているのか気になるところですね。

さて連休後半にかけ、天気は徐々に回復へ向かう模様。ポジティブに考えれば「知床が冬から春に変わる瞬間が見られる」と言えなくもありません。

そんなわけで、知床五湖・開園中です!


※ 5月1日現在は高架木道のみオープン中。最新情報は知床五湖ウェブサイトでご確認下さい。
http://www.goko.go.jp/

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2013年01月22日冬期も活躍中!<インターバルカメラ>

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

繁忙期には、知床五湖やカムイワッカ湯の滝に訪れる観光客の方の車の渋滞状況を確認するために活躍していた、インターバルカメラ。1分ごと5分ごと、1時間ごと・・・と撮影できるものです。
 冬眠の予定でしたが、今期から働いてもらうことにしました。

 内容は、以前から続けていた「冬期利用状況調査」。
 冬期になると、スキー、スノーシュー、カンジキ等々、色んな方法で散策を楽しめます。雪の上ならばトレースが残るので、大体の人数を予測してきましたが、調査をするならできるだけ正確に。カメラで撮影してしまえば正確なデータとなります。
 夏に比べて利用者は大幅に減少しますが、国立公園内の散策を楽しんでいる人ももちろんいます。近年は、利用者が増えてきているのかな、と感じているところです。
 うまく撮影できているか、結果をまとめるのが楽しみです。

また、別の仕事も。
流氷の移り変わりの撮影を行う事にしました。


冬は、固定用バンドの劣化も早い。補強の為に、新たにバンドを巻く高橋AR。知床五湖にて。



今日の流氷はこんな感じです。
岸に寄って来たかと思えば、遠ざかり・・・。海の上がぎっちり大陸となるのは、あと半月も後になるでしょうか。そのダイナミックな大陸の動きを1時間ごとに撮影しています。取ってきたデータは遺産センターで展示し、訪れた人の新たな発見のきっかけになってもらえればと考えています。

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2013年01月10日凍った港はごろ寝にうってつけ

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太

 新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。


 年が明け、久々に雲一つない快晴の1月8日。外出から戻ってきた知床世界遺産センタースタッフが開口一番、「港にアザラシがいたぞ。」

 これは!

 知床連山を挟んで半島の向こう側にある羅臼町では、この時期トドをはじめとした海獣のウォッチングツアーが盛況ですが、一方ウトロ側ではなかなかお目にかかれるものではありません。


 ウトロ港内に浮かんだ蓮氷の上に、ゴロリと寝転がる塊……


(カメラ目線でウインク)


 アザラシ!暖かい日差しに誘われて、波の無い港内へ日向ぼっこをしにきたのか、白い毛を見るにまだ子供のアザラシのようです。


 ところで「アザラシの子供」と聞くと、漫画『少年アシベ』に出てくる「ゴマちゃん」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。もちろん私もアザラシの幼獣のイメージは、白い毛をしたゴマちゃんです。

 実はアザラシの幼獣は、おおむねどの種類のアザラシも、白い毛で覆われています。氷上で天敵から身を守る保護色です。そのため一見して何アザラシの子供なのか、判別するのが難しい……では果たして、ウトロ港でくつろぐこのアザラシは何アザラシなのか?

 ゴマちゃん(ゴマフアザラシ)なのか、クラちゃん(クラカケアザラシ)なのか。私個人としては、白い毛が抜けてのぞく頭部の黒さから、ワモさん(ワモンアザラシ)ではないかと思うのですが……。



伸びてくつろぐワモさん(仮)

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2013年01月10日白い大陸

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

待ち焦がれていた、白い大陸の姿を確認しました。
 時期が近くなるとみんなソワソワし、今日か、今日かと通勤途中に目を向けるのは北の海です。誰が一番に確認することができるか、密かにみんな競い合っているのです。

そして本日。
ウトロの中でも少し小高くなっており、絶景ポイントである「プユニ岬」より、確認しました。


流氷です。

知床に豊富な栄養を持ち込み、ヒトに感動を与える流氷。これから気温がグっと下がる事と思いますが、このワクワク感をもたらしてくれる流氷に長くいてもらいたいです。

ちなみに、昨年は1月16日に確認しているので、一週間ほど早いですね。

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2012年12月17日ワシ調査展示開催中

知床国立公園 ウトロ 伊藤典子

例年通り、知床世界遺産センターにおいて、ワシ調査の展示を行っています。毎週水曜日に行うこの調査。11月より、4月まで行います。この期間に、調査結果やワシの生態も併せて展示しています。その日行った調査のデータを棒グラフに書き込むことで、ワシの数がどのように推移しているのかを、確認することができます。
 
羅臼でも同じ日に調査が行われ、この一日の知床のワシの数を把握する事ができます。これにより、ウトロと羅臼でどのようにワシが移動をしているか、大まかな動きや長期的変動などが確認・記録できます。そして、調査の結果は、オジロワシ・オオワシ保護増殖事業や知床世界自然遺産地域科学委員会において使用します。


今回の展示の目玉である、迫力あるオジロワシの写真。撮影者の展覧会が本年に羅臼で行われました。その際に展示された、作品の一つです。この写真を見るだけであっても、来る価値ありです。

○先日のワシ調査中に出会った鳥のご紹介

断崖の側を飛んでいる姿をたまに見かけるハヤブサ。留まっている姿を夢中で撮影しました。

クマタカのおそらく幼鳥。口笛の様な高い声で鳴いていました。親を呼んでいたのでしょうか。
両方とも道路脇で観察することができました。冬の知床、ユックリ車を走らせて、安全な場所に止めて、ちょっとあたりを見回すと、素敵な出会いがあるかもしれません。

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2012年12月11日「長いトンネルを抜けると世界遺産であった」

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太

 ここ数日の猛烈な暴風雪で道路という道路が雪に埋もれ、ガッチガチに凍りついたり、グッシャグシャの氷泥にまみれたり……自動車の運転が恐ろしい季節です。たとえばカーブ!急カーブが特に恐ろしい!


 12月7日14時をもって、そんな急カーブがひとつ、静かに役目を終えました。


 これまでウトロの町の玄関は、チャシコツ崎という岬でした。岬の付け根に岩盤の切り通しがあり、左右に岩壁が迫って道幅が狭く、さらに曲線半径50mの急カーブになっています。人呼んで――「亀岩のカーブ」。(チャシコツ崎を遠くから見ると亀の形に似ており、通称「亀岩」と呼ばれています)

 ウトロへ向かい車を走らせてきた観光客の皆さんの中には、これまで快適走行していた国道の感覚で亀岩の急カーブに飛び込み、あわや!大惨事寸前、ヒヤリ・ハットを経験した方もいらっしゃるのではないでしょうか。


 この急カーブの危険解消のため、2年間の工事を経てついに完成!そして12月7日14時より通行スタートとなったのが、「ウトロトンネル」です!



巡視の帰りに、早速ウトロトンネルを通りました。


 当日は巡視の日でしたので、その帰りに早速ウトロトンネルを通りました。シミ一つ無い、なめらかな白い壁。できたてホヤホヤです。実はトンネルを通るのはこれが既に2回目。ではいつ1回目を?もちろん夜中にトンネルに忍び込んだりなどはしていません。


 供用開始に先立ち、去る12月3日、「トンネルに車が走る前に、ど真ん中を好きなだけ歩こう!」というイベントが開催され、これに参加したのです。当日はウトロの地域住民に皆さんが老若男女大勢駆けつけ、新たな町の玄関・ウトロトンネル(延長378m)をワイワイと眺め歩きました。



お菓子、お茶が振る舞われ、沢山の方がトンネルを歩きました。


 トンネル内の壁にプロジェクターが投影され、2年間に及ぶ工事の一部始終を紹介する映像が流れると、観衆から拍手が!工事関係者の皆さんの気持ちを思うと、胸にグッと熱いものがこみ上げます。(私は工事に関わっていませんが)




ありがとう亀岩のカーブ。どうぞよろしくウトロトンネル。


 今後ウトロにいらっしゃる方は、亀岩のカーブではなく、このウトロトンネルを通ることになります。交通安全の面では危険なカーブですが、実はウトロの町と知床連山を一望でき「遂にたどり着いたぞ!知床半島!」感を味わえる、絶景ポイントでもあります。車で通り抜けることはできませんが、往事の景色を偲んで足を運ぶのもまた、一興です。

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2012年11月30日オシンコシンの滝駐車場改良完成

知床国立公園 ウトロ 高橋 優太

 この夏も観光客の皆さんで大にぎわいだったオシンコシンの滝。すっかりオフシーズンで人影もなく、雪が降る前のこのチャンスを見計らって、駐車場で作業をおこないました。

 オシンコシンの滝は、知床半島・ウトロ側の海岸にある落差80m・幅30m、目の前はオホーツク海という豪快なロケーションを誇り、国道334号線がすぐ近くを通っているので、ウトロに向かう車窓からも見ることができます。国道脇に駐車場があるのですが、盛夏の混雑時は観光バス・一般車両・歩行者が入り乱れ、駐車場内で車がすれ違えない、出られない等の問題が起きていました。

 これらを解消するため、「一般国道334号斜里~ウトロ間路線連絡会議 パーキング推進グループ」が検討を重ねてきた「混んでもスムーズに出入りできる駐車マーキングに変更する」というのが今回の作業。つまり「もっと使いやすいように、駐車スペースの白線を引き直す」というものです。


白線の形にマスキングし、ペンキを塗っていく


 今回のこの作業は地域協働でやりましょう!という呼びかけのもと、国・地方自治体・地域住民各方面から、総勢十数名の方々がオシンコシンの滝駐車場へ集いました。

 さあ早速取りかかろう!しかしここで問題発生。前日まで降り続いた雨で路面が濡れています。路面が濡れていては諸々の作業に支障があるため「乾くまで待ちましょうか……」いきなり中断か、と思われたところへ「うち、ガスバーナーあるから焼いて乾かそう!ちょっと取ってくっから!」という申し出が地域住民の方から飛び出し「ご家庭に眠るアイテムまで総動員……これが地域協働の強みか!」と感心することしきりです。


専門業者さながらにガスバーナーで路面を乾かす様子

 そんなわけで完成した、新・オシンコシンの滝駐車場。駐めやすく出しやすく、かつ車両同士が余裕を持ってすれ違えるよう、工夫されています。はたしてその効果のほどは?ちょっと先ですが、来年の夏、また沢山の人々が訪れた際に判明します。


できあがり

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