ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年10月

11件の記事があります。

2021年10月30日夏山シーズンの終わり

大雪山国立公園 忠鉢伸一

夏山シーズンの終わり

こんにちは

大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

大雪山は今年10/6に旭岳で冠雪となりました。

例年よりも少し遅い冠雪となりましたが、観測開始されてから5番目に遅い記録となったようです。

例年パークボランティア行事として行っている旭岳周辺のロープ撤収ですが、コロナ禍で中止としたため、環境省職員で行うこととなりました。

10/7東川管理官事務所と協力して行った時の様子をお伝えします。

前日に雪が降った旭岳。先週までとはまるで見違えるようになりました。

山頂付近は真冬のような空気でした。

旭岳から間宮岳までは真っ白な世界

久しぶりの雪の感触にテンション上がります

ロープは先日の雪がついて凍りついていました。

雪の重みで鉄ピンが折れ曲がるのを防ぐため、ロープは外して下に置いておきます。

また来年の春にこのロープを付け直す時、シーズンの始まりを感じるのでしょう。

標柱には氷が付着し始めました。

これが風上に伸びてエビの尻尾と呼ばれる自然の芸術品が完成します。

風が強いほど伸びていくようです。

この日はロープの撤去の他、中岳温泉に設置していた携帯トイレブースを回収しました。

風の強い日にも飛ばされずに頑張ってくれました。

「お花摘み」や「雉打ち」などと呼ばれ、野外での排泄行為が当たり前のように行われていた信じられない時代もありました。まだまだ充分とは言えませんが、携帯トイレは少しずつ登山者に浸透してきたように感じます。

「山に持ち込んだものはすべて持ち帰り、山のものは持ち帰らない」この考え方を基本的な考え方として、ゴミや排泄物は責任を持って持ち帰りましょう。

来シーズンも中岳温泉には携帯トイレブーステントを設置予定です。

管内の麓でも先日雪が降りましたが、根雪となるのはまだまだこれから。

本格的な冬が来るまではもう少し時間があるのです。

冬の北海道は寒さの厳しい季節ですが、北海道の一番美しい季節であり、また雪国ならではの遊びができる季節でもあります。

冬をめいっぱい楽しみながら、次の季節を待ちたいと思いました。

(中岳分岐下部から旭岳方面の展望)

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2021年10月29日大雪山の初冬

大雪山国立公園 入江瑞生

愛山渓温泉の近くにある雲井ヶ原に行ってきました。

この雲井ヶ原湿原は登山口から20分ほど歩くと愛別岳、比布岳、安足間岳、永山岳を

眺めることができるとても格好の場所です。比較的簡単に行くことができ、

この景色が見られるのでおすすめの場所の一つでもあります。

この日は冠雪した雪のほとんどが溶けまだ秋の陽気を感じるほど暖かかったです。

湿原に着くと足下でシリシリシリとなく声がしました。しゃがんで声の主を探してみると

ツマグロバッタがいました。

  

   

一匹だけ余り動かない個体がおり観察していると、木の間におしりを近づけているのが分かります。何をしているのか上の写真で皆さん分かりますか?

拡大すると↓↓

何度もおしりを上下させ産卵している個体のようでした。外骨格で覆われているので、

表情からは何もよみとれませんでしたが、最後の力を振り絞って次の世代を残していくその姿に釘付けになってしましなかなかその場を離れる事ができませんでした。

産卵が終わり、ツマグロバッタがその場を立ち去ったので卵が見られないかのぞいてみました。

黄色の丸っこいものはあったのですが、他の場所にも着いておりカビのようでした。私の目では確認できないもう少し深い所に産んだのか、産む場所変更したようでした。

古くなった木道の上での出来事で、朽ちてゆく木道も生き物たちが利用している場合があるのだと改めて感じました。

一週間後に行くと真っ白の世界でした。もう春まで溶ける事はなさそうでした。

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2021年10月28日十勝と日高をつなぐエサオマントッタベツ岳で見た聞いた感じたもの

丸岡梨紗

 10月上旬に登山道調査のために、エサオマントッタベツ岳に行ってきました。

 登山道の藪漕ぎを覚悟してはいましたが、入渓地点まで草刈りがされており、歩きやすかったです。

 ここは日高らしい沢登りからの山頂を目指すルートとなり、原始的な登山スタイルを楽しむことができます。

 繰り返す徒渉ではかなり水は冷たかったのですが、上流部の日陰では、キラキラと光るガラスのような氷も見られました。

左:【エサオマントッタベツ川はひたすら徒渉を繰り返す】

右:【ガラスのようにキラキラと光る氷】

 また、オショロコマでしょうか。魚影も多く確認されました。

 大滝の巻き道は慎重な通過が必要なところで、左岸にロープが設置されているところがありましたが、上部の滑滝は長く続くので慎重にぬめらないところ・登りやすいところをルート選びする必要がありました。

 今回は調査のためこの時期になりましたが、時期が遅くなると藻が発生し、沢がぬめりやすくなって大変危険であることと、行動時間が長いために、日没を考慮すると、遅くとも9月上旬までに計画することをお勧めいたします。

 このカールから流れ落ちる滑滝はトラフヘッドウォールと呼ばれる氷河地形の滝で、そんな滝を登ることができて心が躍ります。

【長大な滑滝】

 たどり着いた秋枯れの荒涼とした北東カールは、大変素晴らしいところで、衝立のようなカール壁にエサオマントッタベツが聳えていました。

                            下:【ブロッケン現象】

 ここから、その壁を越えて稜線に抜け、山頂を目指すのですが、稜線にあがったところ谷方面の一面の雲海の中に虹色に輝くリング、ブロッケン現象を見ることができました。

 ブロッケン現象とは、太陽などの光が背後から差し込み、影の側にある雲粒や霧粒によって光が散乱され、見る人の影の周りに、虹と似た光の輪となって現れる大気光学現象といわれています。霧の中に伸びた影と、周りにできる虹色の輪(ブロッケンの虹)の二現象をまとめて指しています。

山岳の気象現象として有名で、尾根の日陰側かつ風上側の急勾配の谷で山肌に沿って雲(霧)がゆっくり這い上がり、稜線で日光にあたって消える場合によく観察されると言われていますが(※Wikipediaより引用)、まさに今回はその状況です。 

 幻想的な光景中を山頂へ。山頂からは先月登った幌尻岳から1839峰まで見渡すことができ自分の山行を振り返りました。

 また、今回は確認できなかったのですが、山頂には十勝と日高のアイヌが日高山脈を越えて行き来していたということを示す古い石垣があるようです。エサオマントッタベツは、アイヌ語で「浜に向かう箱様の川」の意味をもっています。

 そして日高のアイヌの英雄である、シャクシャインも実は十勝生まれだったと言われています。帯広の拓成町(この上流にトッタベツ川がある)と新ひだか町の農屋を結ぶ道はシャクシャインロードと呼ばれていて、この道筋の川や沢の名付け方は十勝と共通しており相当古くから人が行き来したことを示しています。(参考文献※1)

 

【1839m峰方面を望む】

 

左:【山頂から見渡す雲海】            

右:【衝立のようなカール壁と雲海】

 下山すると霧は晴れ、青空に無数の小鳥が風に舞って輝いていました。日高山脈でナナカマドの実を食べたりして羽を休めつつ、南に向かって飛ぶのでしょうね。

 カールには来る冬に備えて貯食に忙しいナキウサギの声がこだましていました。カールは、冬期の風の向きや積雪から、日高山脈の北斜面と東斜面に分布し、十勝側でも多数のカールがみられ、水や高山植物が豊富な為、ヒグマやナキウサギの姿が多く見られます。

                       下:【北東カールより夕焼けのエサオマントッタベツ岳】

今回はそのナキウサギについてご紹介したいと思います。

ーナキウサギについて(参考文献※2)ー

 日本では北海道だけに生息しているエゾナキウサギは、ウラル、シベリア、モンゴル、中国東北部、朝鮮半島北部、カムチャツカ半島、サハリンと広く分布しているキタナキウサギの1亜種とされている。

 高山帯を中心に12℃前後の寒冷な気候を好み、露岩帯やガレ場など岩塊が積み重なったところや、岩塊地上に森林が成立しているところなどに生息する。

 エゾナキウサギは,氷河が発達して海面が下がり、間宮海峡と宗谷海峡ともに陸橋があったヴュルム氷期の3.5万~4万年前に大陸から北海道に渡ってきたと考えられている。その後、氷期が終わって氷河が北へ後退していった後も、山岳地帯に生き残ったので、遺存種・生きた化石などといわれる。

                         

【日高山脈における分布】

 南限は豊似岳南東の三枚岳、標高では様似町幌満川流域の標高50mにも生息している。  

【縄張りについて】

 多くの場合、つがいでのなわばりの直径は40ー70mで、一年中つがいでなわばりが持たれるが、9月から12月では雌雄の行動圏が一致し、オスはオス、メスはメスに対して防衛する同性間なわばりとしてほぼ全域が防衛される。

【糞について】

 糞はふつう直径約3ー4mmの固くて丸いフンで、排出直後は表面がぬめっていて黒褐色だが、乾くと黄土色や薄茶色になる。岩や苔の上,まれに倒木の上に糞は見つかる。

【鳴き声】

・長鳴:キチッという音を一定間隔で連続して強く発せられる4~16音からなる鳴きで、雄だけが発する。構成音数は3月から6月の十音前後から秋の数音へと減っていく。

・短鳴:単独であるいは不規則な間隔で連続して発せられる鳴きで、雌雄ともに発するが、雌の多くの鳴きは短鳴である。

・震え声:震え声は尻下がりの柔らかい鳴きで、多くの場合岩中へ逃げ込む時に発せられる。

【冬眠しない】

 積雪下での採食も行なうが、それだけでは食物不足となるため、貯食を行う。貯えられる場所は、岩の下の隙間や木の根の下である。色々な種類の植物を貯食しており、草本類、木本類、シダ類、蘚苔類、キノコ類を利用する。採食と同様に、」出入り口の近くで貯食物を獲得するため、貯食物は周囲の植生を反映し、貯食場によって種類と割合構成はかなり異なるものとなる。

 翌日は晴れていましたが霧雨が降るような不思議なお天気。沢の下降は特に注意が必要で滑りにくいところ、歩きやすいところを探して注意深く三点支持をして一歩一歩確実に足を置きましたが、そんな私たちに微笑みかけるかのように谷には虹がかかっていました。

ー三点支持とは(参考文献※3)ー

 手・足四肢のうち三肢で体を支えることを三点支持(さんてんしじ)と言います。三点で支持して一肢だけを自由にして次の手がかり・足場へと移動することで岩場を安全に登ることが出来ます。

 三点のうち特に足場は重要で、足場が不安定のまま登ると事故を起こす場合があります。

ハシゴを登る姿勢が基本で、手は基本的にはバランスをとるためのものであり、岩からなるべく体を離して、重心のラインが靴のつま先を通るようにしてください。怖がって手でしがみついて体が岩にくっついてしまうと滑落の危険が生じます。

ー三点支持ワンポイントアドバイスー

・足で登る(足の力が腕より強いため)
・手は目線(ホールドを高くすると岩の表面に体がくっついてしまって重心線が靴のつま先に通らずに靴が滑ってしまう可能性が高く、足下が見えづらい)
・体を岩から離して重心のラインは靴のつま先を通ること
・足をクロスさせない(足が引っかかったりする危険性がある)
・膝を使わない(膝は不安定なため靴底の摩擦(フリクション)を利用して登る)
・かかとは少し下げ目(フリクションがきいて滑りにくくなると同時に、ミシンを踏まないように楽に足を掛けることができる)
・頭をつかって適切に足場や手がかりの置く場所を考えながら登る

・スタンスの置き方は岩に対して垂直(横におかない)

 今回は、幻想的な光景の中、冬に向かう自然の姿を感じることができました。

 同じ山でも、季節や天気によって様々な楽しみ方ができると思います。

 また、自然について知識を高めたり、良く観察すると見える世界も違ってきます。

 日高山脈の奥深い山々の風景、動植物について今後も発信していきたいと思います。

ー参考文献ー

※1 十勝毎日新聞記事 電子版 2020/11/05 13:12 

入手先URL https://kachimai.jp/article/index.php?no=2020115131613 

※2 小野山敬一.1993.6.エゾナキウサギの生活を追って

※3 ページ名「ヤマレコ 三点支持の基本」 更新日:2013年09月16日 

入手先URL https://www.yamareco.com/modules/yamanote/detail.php?nid=45

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2021年10月28日今年の紅葉

大雪山国立公園 入江瑞生

今年の大雪山の紅葉は当たり年だったといわれるほど綺麗で、見頃が長く続き多くの人に楽しんでいただけたのではないかと思います。高原温泉沼巡りコースでは、二十年に一度ぐらいの素晴らしさではないかとの声も!

綺麗に紅葉をするためには初秋昼の温度が高く日が十分にあり、夜冷え込むことが必要といわれていますが、皆さんはどうして木は紅葉するのかご存じですか?

木は葉から水分が外に出る仕組みを持っています。葉を付けたまま乾燥している冬になると、水分が出過ぎてしまうため木は秋になると葉を落とす準備を始めます。準備とは木の葉に含まれている栄養を回収するためにクロロフィル(緑色)とカロチノイド(黄色)という色素を分解します。秋になり日差しが弱くなると両方の色素が分解されますが、クロロフィルの方が早く分解され、黄色のカロチノイドが目立つようになり黄葉します。さらに寒くなるとクロロフィルが分解させていくときに葉の中に元々含まれていないアントシアニンという赤い色素が作られることがあります。しかしなぜこの赤い色素が作られるかについてはよく分かっていないそうです。

湿度や気温が関わっているそうで、その年々によって紅葉の雰囲気は変わるそうです。

さて、この秋に私が撮った写真をお見せしますね!!

<高原温泉沼巡りコースの紅葉>

ナナカマドの葉が赤と黄色のグラデーションになっていてとても綺麗なのですが、これはどうしてこうなったのかまだ分かっていないとは...びっくりですよね!?

<赤岳の紅葉>

上の写真は晩秋を迎えほとんどの葉が落ちている中、林道に沿って筋のように残った黄色の並木がありました。どうしてあの場所だけ残っているのか気になり見に行くと、ヤナギとミヤマハンノキという樹種たちでした。

秋も終わりに近づく中、ふと小川に目をやると小さなバイカモが一輪咲いていました。

季節外れだと咲く花が小さくなるようです。寝過ごしちゃったのか、早起きか...不思議ですね。他にも季節外れに咲く花たちがいました。

 

季節外れに咲いたアオノツガザクラやミヤマキンバイは、最後のマルハナバチたちの憩いの場になっていました。

この翌週には大雪山の初冠雪が観測され、長い冬が始まりました。

来年はどのような紅葉なのか今から楽しみです。

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2021年10月27日ペンケトー・パンケトー自然探勝会

阿寒摩周国立公園 鈴木達郎

 こんにちは。阿寒湖アクティブレンジャーの鈴木です。

 今回は、10月10日に開催された自然ふれあい行事「ペンケトー・パンケトー自然探勝会」についてご紹介します。

●ペンケトー・パンケトーとは

 ペンケトーとパンケトーは、阿寒湖の北東に位置する2つの湖で、それぞれアイヌ語でペンケトーは「上の沼」、パンケトーは「下の沼」を意味する言葉です。二つの沼に至る林道は私有地であるため、普段は一般の方の立ち入りが禁止されています。

 「ペンケトー・パンケトー自然探勝会」は、そんな手つかずの自然が残る阿寒の森の奥深くに特別に許可を得て入ることができる、年に一度きりの非常に貴重な機会でもあります。

 阿寒湖の北側を通る林道を1時間ほど車で移動すると、ササ原の中にペンケトーへと続く道が見えてきます。

 森の中では、倒れた木の上に美しく並んで生えるエゾマツ・トドマツの稚樹(倒木更新)や、葉の裏に神秘的な模様を描く粘菌の仲間、オシロイシメジ・ホコリタケ・ボリボリ(ナラタケ)といった多種多様なキノコなど...原生的な森の住人たちが私たちを出迎えてくれました。

自然公園財団スタッフによる自然解説 一列にならんだトドマツ・エゾマツの倒木更新

▲スタッフによる自然解説      ▲一列に並んだ倒木更新

 ガイドスタッフによる自然解説をはさみながら、森の中をのんびり一時間ほど歩くと、目的のペンケトー湖畔が見えてきました。

 この時期のペンケトーは、エメラルドグリーンの湖面と対岸に並ぶ針葉樹の緑、広葉樹の赤や黄色が美しいコントラストを形成します。辺りはわずかに木々のさざめきが聞こえるだけで、皆さん静かで穏やかな水面を眺めてゆったりとした時間を過ごしていました。

エメラルドグリーンのペンケトー湖面と紅葉 湖畔を歩く参加者のみなさん

▲ペンケトー湖畔          ▲湖畔を歩く参加者の皆さん

 滅多に来ることのできないペンケトーに後ろ髪を引かれる思いですが、林道を戻って次の目的地のパンケトーへと向かいます。

 パンケトーは、ペンケトーの下流に位置する大きな湖です。湖畔からは、晴れていると森の向こうに雄阿寒岳が見えるのですが...。この日はお昼前頃から流れてきた雲で、すっぽり隠れてしまっていました。

 パンケトーからは、阿寒湖へ向かって「イベシベツ川」と呼ばれる川が流れ出ています。川沿いの林道を少し歩いたところには、阿寒でも有数の紅葉の名所である「乙女の滝」もあります。

 乙女の滝から川の底を覗くと、大きな黒い塊のようなアメマスの群れのほか、冷たく綺麗な水でしか生息できない様々な生き物の姿も見られました。

 続いて訪れたのは、イベシベツ川河口にある阿寒湖漁協の養魚場です。

 養魚場では、ちょうど産卵の時期を迎えたアメマスが、急流を次々に遡上していく様子が間近で観察できました。なかなか他では見られない迫力満点の姿に、参加者のみなさん大興奮でした!

乙女の滝の紅葉風景 遡上するアメマス

▲乙女の滝             ▲遡上するアメマス

 最後に、マリモの生育地であるチュウルイ湾を訪れました。ここでは、釧路市教育委員会マリモ研究室の職員の方に、マリモの解説をしていただきました。

 ちょうど湖岸に大きなマリモが打ち上げられていたため、まじまじとマリモが観察でき、その不思議な生態について参加者からは、色々な質問が飛び交っていました。

 参加者の中からは、「マリモの中が空洞ということは図鑑的な知識として知っていたが、こうして水槽越しでない生のマリモが打ち上げられて自重でひしゃげている様子を見ると、より実感を持って知識が身についた」などの声も聞こえました。

チュウルイ湾にてマリモ研究室職員によるマリモ生態解説 マリモ

▲マリモ研究室職員による解説    ▲打ち上げられたマリモ

 普段は立ち入ることのできないペンケトー・パンケトーで、阿寒の秋の美しい自然が堪能でき、参加された皆さん大満足のご様子でした。

 ペンケトー・パンケトー自然探勝会は毎年紅葉が一番美しい10月頃に開催されます。阿寒湖畔エコミュージアムセンターの公式HP・SNS等で募集していますので、ご興味を持たれましたら、来年是非ご参加ください。

 阿寒湖地域での次の自然ふれあいイベントは、来年1月にひょうたん沼のスノーシューハイキングが予定されています。積雪期のイベントは10月までとはガラリと変わって、厳しい冬の森に息づく自然の営みが楽しめます。こちらも是非ご参加ください。

■阿寒湖畔エコミュージアムセンター

HP:http://business4.plala.or.jp/akan-eco/index.html

Facebook:https://m.facebook.com/pg/AKankohanekomyujiamusenta/posts/?__nodl&ref=external%3Awww.bing.com

Instagram:https://www.instagram.com/p/CEfnTAlnuRs/

■(過去記事)アクティブレンジャー日記『ひょうたん沼スノーシュー』

http://hokkaido.env.go.jp/blog/2021/02/post-587.html

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2021年10月27日下サロベツ園地でササ刈り活動

利尻礼文サロベツ国立公園 福井翔太

サロベツ担当アクティブレンジャーの福井です。
緊急事態宣言に伴い、パークボランティア活動が実施できずにいましたが、久しぶりにパークボランティア活動を行うことができました。

今回のパークボランティア活動は10月7日に幌延町の下サロベツ園地にてササ刈りを行うものです。
サロベツでは湿原の乾燥化などに伴う、ササの生育地の拡大が問題視されており、ササの生育地の拡大を防ぐことは湿原植物の生育を促します。

活動当日は雨の予報で心配でしたが、皆さんが集まった時には無事に晴れていました。
そして、パークボランティアの皆さんは久しぶりの活動にやる気に満ちあふれていました。
ササを刈る範囲を決めて湿原に降り立ち、その中でひたすら刈っていきます。

刈り取りをしていると足下にショウジョウバカマと思われる葉が確認できました。
このまま、冬を越し来年の春に再びピンクの花を咲かせてくれるのでしょうか。

生い茂るササの下には見えていなかったサロベツで生きる植物の姿がありました。
ササを回収するために用意をしていた袋はあっという間に満杯になり、今回はササを21kg刈りました。
それでもまだササが目立ちます。

今回のササ刈り活動は2005年から継続して行っています。
ササ刈りを行った場所と刈り取っていない場所を見比べると、刈り取りを行った場所では湿原植物の姿が目で確認できるようになっています。
今後も継続が大切です。

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2021年10月25日森の生き物~10月、紅葉盛る豊似湖~

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

グッと冷えてきましたね。

そろそろ紅葉も見ごろかなと楽しみにしていましたが、先日の雨風で「天馬街道」の一部はいくらか散ってしまったようでした。しかし、ハート♥の湖として有名な「豊似湖」やその周辺ではまだまだ楽しめそうです。

えりもにお越しの機会があれば是非足を伸ばしてみてください。

ただし足元はぬかるんでいることもありますので長靴があると安心。また、山に入れば気温が低いことが多いです。風を避けられるは織物をお忘れなく!

普段、魚やアザラシと海の生き物の話題をお届けすることが多い"えりも"から、今が紅葉真っ盛りの豊似湖への道中、森で出会った生き物をご紹介します。

...この日、私は数年越しの存在に出会いました!!

その正体は「ナキウサギ」。

日本では北海道のみで確認されており、標高1,500m付近の冷涼で石や岩のある場所に生息するとされています。これに比べ豊似湖は標高約260mととても低い場所に位置していますが、ここにもナキウサギが生息しています。これまで豊似湖にナキウサギがいることは把握しており、行く度に鳴き声は聞けるものの姿が見れない...という日々を過ごしていました。

しかし、この日は違ったんです!

視界の片隅で、なにかが動いた気がしました。

しばらく同じ方向を見ていると、また動いた!これを数回繰り返し、やっと肉眼で捉えることが出来ました。

昨年か今年生まれでしょう、まだ幼いナキウサギがせっせと巣穴に葉っぱを運び、行ったり来たり。

私は海の生き物や環境に目が行きがちで、こんなに近くにナキウサギが生息していると聞いた時にも特にピンときていませんでした。しかし、何度行っても鳴き声しか聞こえないナキウサギに会いたい気持ちが募ります。数年越しの思いが届いたようで、また自分で見つけることが出来た喜びも相まって嬉しかったです。

▼まだまだ小さなナキウサギ

    

別の場所でカサカサと何かが素早く動く様子を察知。ナキウサギが動いたときの音と少し違っています。でもその正体はすぐに見つけられません。そっと前へ歩みを進めると、目の前に何かが飛び出してきたその正体は...大事そうにナナカマドの赤い実を持った「シマリス」でした。ちょうど私の足元付近にナナカマドの実が落ちており、次々拾って忙しそう。フワフワで可愛らしい。

▼シマリス

この日出会ったのはこの2種だけではありません。

もう一度ナキウサギを見ようと先ほどいた場所に目を向けると、シマリスの様に素早く動くものを発見。カメラをできるいっぱいまで望遠してみると、今度はふっくらかわいい「エゾリス」。

木の皮を剥いでみたり、エサを探しているようでした。

▼エゾリス

そして豊似湖から山を下りていると、今度は大物に出会いました、「エゾシカ」です。

この時期オスは大きな角を携えています。色は森に溶け込んでいるため、近くまで来てやっと存在に気付くことが多いほか、ジャンプ力の優れたエゾシカです。急に飛び出してくることもありますので運転時はスピードを出しすぎないよう注意が必要です。

北海道ではよく出くわすエゾシカ。たまにはと思いカメラを向けると、なんだか雰囲気のある写真が撮れました◎このまま森に導いてくれそうな、そんな感じがしました。

▼エゾシカ

 

この日だけで複数種の野生生物に出会えました。

今回は森ですが、空に目を向ければ多くの種類の鳥が生息または飛来してきていることにも気づきます。冬は鳥が沢山見られる楽しみにしている季節です。

えりも自然保護官事務所の業務の多くは「ゼニガタアザラシ」に係るもののため、どうしても海関連の内容が多くなりますが、その他にも、えりも町には沢山の野生生物が暮らせる豊かな環境があることも知っていただけたら嬉しいです。

季節に合わせ、ご紹介の予定です。お楽しみに!

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2021年10月22日定山渓の山と紅葉

支笏洞爺国立公園 荒川真吾

こんにちは。支笏湖アクティブ・レンジャーの荒川です。

先日、定山渓にある小天狗岳の登山道巡視を行いましたので、今回はその様子をご紹介します。定山渓は「札幌の奥座敷」とも呼ばれ、温泉や紅葉がとても有名ですが、支笏洞爺国立公園の一部であるということはご存じない方も多いかもしれません。札幌中心部から約1時間という立地に、札幌岳や無意根山を始めとする山々や豊平川の清流など、豊かな自然を楽しむことができます。

小天狗岳は温泉街の北側、さっぽろ湖の南西側に位置する標高765mの山で、登山口は定山渓ダム下流園地内の定山渓ダム資料館の横にあります。(定山渓ダム下流園地は17時で閉鎖されるので、小天狗岳に登るときは遅くとも14時30分までに登り始める必要があります)

小天狗岳登山口

登山道は勾配が急な箇所が多く体力と脚力が必要ですが、最近新しくなった階段とロープが設置されており、とても良く整備されています。

登山道周辺では、赤や黄色に色づいたハウチワカエデやイタヤカエデが眼を楽しませてくれます。また、山頂付近からは、眼下に定山渓の温泉街やさっぽろ湖を眺めることができました。

定山渓には小天狗岳の他にも、朝日岳や夕日岳のように登山初級者にもおすすめの山があります。定山渓の山々にもヒグマが住んでいますので、山に入る際は登山の準備の他、クマ鈴などの対策を忘れないようにして下さいね。

定山渓の紅葉は10月終わり頃まで楽しむことができます。皆さんも見事な紅葉と温泉、豊かな自然を体験しに定山渓を訪れてみてはいかがでしょうか。

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2021年10月21日晩秋の1839m峰

丸岡梨紗

 大雪山では積雪も見られた寒い日ではありましたが、10月6ー8日に1839m峰の登山道調査に行ってきました。

 水も冷たくなった紅葉のコイカクシュサツナイ川を遡行し、北海道3大急登と呼ばれている急な尾根を苦労して登っていくと、稜線が近づくにつれ、1823m峰へと続く縦走路のナイフリッジには幾筋もの険谷が美しく刻まれ、ピラミッド峰を経てアイヌ語でカムイ・エクチカ・ウシ・イ(熊が・ 岩崖を踏み外して下へ落ちる・よくする・所)という意味をもつカムイエクチカウシ山まで急峻で美しい造形が連なる様子を望むことができました。

1823m峰紅葉のグラデーション【1823m峰紅葉のグラデーション】

 稜線から見た、残照に照らされる下部の紅葉から、上部の落葉した真っ白なダケカンバへと移り変わる晩秋の山のグラデーションと秋枯れの草紅葉。そして、その彩られた美しい屏風のような稜線をバックに、うっすらと舞う初雪が太平洋に沈む洛陽に輝く様子は、寒さも忘れる美しさでした。

夕暮れに染まるナイフリッジ【夕暮れに染まるナイフリッジの稜線】

 翌日は晴天で、北日高方面では白く輝く山々が見られました。今回は調査のために万全の準備のもと山行にのぞみましたが、10月以降は気温も低く、また日没も早いため、9月中までの登山をお勧めします。

 コイカクシュサツナイ岳を過ぎるとハイマツのブッシュは濃くなり、枝や幹を払いのけながら、ヤオロマップ岳への藪漕ぎが始まりました。

コイカクシュサツナイ岳山頂から1839峰への稜線【コイカクシュサツナイ岳から1839m峰方面を望む】

 水場は、このヤオロマップ岳の東側の急斜面をヤオロマップ左沢源頭に向かって慎重に10分ほど下ると水が得られるとされていますが、水量が少ないため時期が遅ければなおさら下から担ぎあげることをお勧めします。その際、2日目の行動時間が長いため、もし夏場であれば、特に十分な水の量を計算することが必要です。

 私は、隆起して地球の圧力を受けた変成岩や深成岩の岩壁が、氷河や川に削られてさらに雪に磨かれた険谷に、地球のエネルギーを感じながら沢登りするのが好きなのですが、カムエクから続く中日高一帯は特に難易度の高い沢に囲まれており、1823m峰からすっと流れ落ちる名無沢の滝を筆頭に、縦走路から望むことのできる様々な滝や、サッシビチャリ川源頭のきらきらと光る水に輝く岩盤などに美しさや遡行への憧れを感じました。

 その後1781m付近からのハイマツと低木ブッシュをまるで木登りのように越え、急なアップダウンも越え、1839m峰への最後の登りである部分的にロープが張られている急な壁を越え、苦労して山頂につくと主稜線から離れていることもあり、ペテガリ岳からカムイエクチカウシ山までの雄大な日高山脈の国境稜線を見渡すことができました。

【1839m峰山頂からカムイエクチカウシ山方面を望む】

 1839m峰に登るのは13年前のお盆に1週間かけてポンヤオロマップ岳まで縦走した時に登った以来でしたが、夏の日高山脈にありがちな上昇気流の影響によりガスがかかっていたその時と違って、今回は寒いながらも、最高のお天気で感動もひとしおです。

 帰路のヤオロマップ岳からコイカクシュサツナイ岳への工程はハイマツの生える向きが逆になるために、疲れた体に鞭打って厳しい藪こぎとなり、なんと足には無数の青あざができていました。

 秋の日暮れは早く、夕暮れのエゾシカのラッティングコールに晩秋の寂しさを感じながら1日がかりで往復しました。

 1839峰は、急峻な日高らしさを持つ美しい山でしたが、北海道最難関とも呼ばれており、23日は必要となる体力的に大変ハードなルートとなりますので十分計画されてからの山行をお願いいたします。

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2021年10月08日今が狙い目!川湯の森散策のススメ

阿寒摩周国立公園 川湯 武山栞

阿寒摩周国立公園管理事務所の武山です。

「川湯の森ナイトミュージアム」が今年も始まっています。

ライトアップによって「夜ならではの森の観察体験」を楽しめるイベントです。

入口でヒグマがお出迎え。

川湯の森が立体図鑑に変身した「図鑑の森」は、一部の木々がライトアップされると共に、シマフクロウなどの彫刻の野鳥たちを見ることができます。道中には、スマートフォンと連動する解説板が至る所に設置してあり、川湯の森や生き物たちへの知識をさらに深めることもできます。

普段は気にとめないような切り株が......


夜の明かりの下では、いつもより神秘的で、より生命力を感じます。

また、109()17:0021:00は関連イベントとして「森のマルシェ」も同時開催。川湯周辺のお店が大集合し、美味しい料理や飲み物を楽しむことができます。

※イベントによって開催期間や時間が異なるので、事前に確認することをおすすめします。

特設HP(各種関連イベントの詳細あり)

https://www.kawayunomori.com/

☆消毒液の設置など、感染対策を行って開催しています。

「レプリカもいいけど、やっぱり本物の動物が見たい!」

そう思われる方もいると思います。道東を巡ると様々な動物たちに出会えますが、お昼の川湯の森も実は穴場。私が巡視していて、よく見かけるのはキツツキの仲間です。

↳キツツキの仲間の中では比較的よく見かける「アカゲラ」


↳アカゲラより一回り大きく、おなかの赤い部分の範囲も広い「オオアカゲラ」

↳キツツキたちに混じって一緒に木をつついていたのは「キバシリ」。

スズメよりも小さい鳥で、キツツキのように木の幹に縦にとまり、隠れている虫を探します。

川湯の森のふかふかの苔の道を踏みしめながら(雨の日などは滑りやすくなるので要注意!)、のんびり鳥の声を聞き、緑に包まれてみてはいかがでしょうか。紅葉も進んできており、きれいですよ。

夜の川湯の森を楽しめるのは今だけですのでぜひこの機会にお越しください。

最近はかなり気温が下がってきているので、防寒対策はしっかりしてきてくださいね。

川湯の森から歩いてすぐの足湯や温泉で暖まっていくのもおすすめです。

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