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アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年8月

18件の記事があります。

2021年08月31日層雲峡命名100周年

大雪山国立公園 上川 忠鉢伸一

こんにちは

大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

8月も最後の日を迎え、そろそろ次の季節が来そうですね。

今年は大雪山もとても暑い夏でしたが、山の上ではすでに紅葉が始まっています。

朝晩は気温もぐっと下がってきました。

今年は層雲峡命名100周年ということで少し層雲峡命名のお話をしようと思います。

層雲峡と名付けたのは、「大町桂月」という当時全国的に広く知られる文学者とされています。

大正10年(1921年)8月、大町桂月は層雲峡を初めて訪れた際に、当時「霊山碧水峡」と呼ばれていた石狩川上流の渓谷を、アイヌ語「ソウンペッ(滝のある川)」にちなむ双雲別川をヒントに「層雲峡」と命名しました。

この時、大町桂月は層雲峡から数日間がかりで大雪山系を縦走し、天人峡に下山しました。

桂月岳から見た夕暮れ(8月)

この当時は、国内では、すでにロープを使ったクライミングが始まっていたという記録もあり、日本人登山家がヨーロッパアルプスで最も困難なルートに初登攀するという時代でしたが、大町桂月はなんと袷衣姿に草鞋履きで沢筋を遡行して稜線へ登り、縦走を果たしたことになります。高性能な道具もない、整備された登山道も、ロープウェイもない時代です。無謀とも思える山行ですが、彼の冒険に対する情熱と、なにより8月の天気に恵まれたから成し遂げられた縦走だったのかもしれません。

縦走の途中、大雪山系黒岳の近くにあった無名の山に登頂しました。この大雪山縦走計画の企画者でもある塩谷忠の提案で、この無名の山がのちに桂月の名を冠した桂月岳(標高1938m)となったと言われています。

この大町桂月による縦走後、層雲峡や大雪山の名は全国に知れ渡っていくことになります。

大雪山が国立公園として指定されるのはそれからさらに13年後の1934年になります。

そのお話はまたいつか日記に書こうと思います。

層雲峡園地にある大町桂月の碑文

「人若し余に北海道の山水を問えば、第一に大雪山を挙ぐべし。次に層雲峡を挙ぐべし。大雪山は頂上広くして、お花畑の多き点に於いて、層雲峡は両崖の高く且つ奇なる点に於いて、いづれも天下無双」

と書かれています。

現代風に大まかに訳すと・・・

「誰かが北海道の素晴らしい景観はどこか?私に尋ねればこう答えます。最初に大雪山を推薦します。次が層雲峡です。大雪山は頂上部分が広く、お花畑が多いのが特徴です。層雲峡は崖がとても高く、その形はとても変わっています。両方とも他には、まず見ることができないほど素晴らしいものです」

大雪山と層雲峡は、これから100年後も碑文にあるような素晴らしい場所であり続けてほしいです。

大町桂月(1869~1925)高知県生まれ 詩人、歌人、随筆家、評論家 

大正時代には登山家としても活動し、北海道各地を旅してその魅力を発信しました。

※大町桂月の文学碑は層雲峡以外にも北海道各地に点在しています。

参考文献「大町桂月の大雪山」

    「大雪山のあゆみ」

    「大雪物知り百科」

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2021年08月30日大雪山国立公園携帯トイレ普及キャンペーンin黒岳石室

大雪山国立公園 入江瑞生

大雪山国立公園は、本州の山岳地と比べて避難小屋や常設トイレなどが極めて少なく常設トイレのない宿泊地を中心にし尿の問題が深刻となっています。登山者がし尿を排出するため登山道を外れて繰り返し歩き、高山植物が消失して裸地が拡大、土壌が流出するほか、排出されたし尿が放置されることによる景観の悪化、不快感の増加による利用上の支障、土壌の富栄養化など周辺植生への悪影響や水場や沢水等の汚染も懸念されています。そこでH30 年に大雪山国立公園に関わる山岳関係機関18団体が協力し「携帯トイレ普及宣言」を行い、山岳環境を維持するために携帯トイレの利用推進を行っています。大雪山国立公園連絡協議会では、87日に携帯トイレ普及キャンペーン活動の一つとして安く作れる携帯トイレの配布を行いました。今回のキャンペーンは携帯トイレブースがあり、携帯トイレをすぐ使える黒岳石室で行いました。天気が下り坂ということもあり利用者は少なめでしたが、石室を利用した約8割以上の方に携帯トイレの話や、配布を行うことができました。

<配布内容>

1セット:45Lの防臭ゴミ袋、防臭ビニール袋、凝固剤、防臭ジッパー袋を各一個づつ

山用品店でなくてもホームセンター等で安くそろえることができるもので作ってみました。「これでは不安だ」という方は、登山口近くのコンビニでも携帯トイレの販売を行っている箇所がありますので調べてみてください!

登山者の方と話をしていて驚いたのは、日帰りではトイレに行かないという方が多く、携帯トイレを持参されない方が多いということでした。一方で、今年は北海道でも猛暑が続き登山中に熱中症で下山できなくなったという人が多かったそうです。持って行く水の量が少なかったことが大きな原因ではあるようですが、トイレのことを気にして水を飲めず脱水症状になってしまったという方もいらっしゃるのではないかと心配になりました。

そんな時に有効なのが、携帯トイレです!!持っていればいつでも用を足すことができます。ポンチョ等も売られており、急を要しても隠れることができます。

大雪山国立公園では、常設のトイレブースや携帯トイレブースが設置されている場所もありますので事前に調べてみてください!

今年度大雪山国立公園管理事務所の何人かの職員で使い始めてたのがピーボトルです。

携帯トイレを初めて使用する時よりも抵抗感はありましたが、使っていると携帯トイレより良い場面もあるなと感じています。また洗って使い回しをできるのでお財布や環境にも優しいのではないかと期待しています。キャンペーン中に1組の登山者がピーボトル使ってますよという嬉しい話も聞きくことができました!!

ティッシュが風で舞い、野外し尿痕で汚れている山ではなく、雄大で綺麗な大雪山国立公園であり続けてほしいと改めて思いました。皆さんも登山の際にザックの中に携帯トイレ常備しておいてはいかがでしょうか?

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2021年08月20日ウトナイ湖の散策路の森にいる小鳥たち

苫小牧 大久保 智子

8月のウトナイ湖の散策路は、ハンノキ、ミズナラ、コナラなどの広葉樹の葉が繁り、緑に包まれます。

その散策路をいったり来たり飛び交って、ちゅるりちゅるりと小鳥たちがにぎやかです。動きが早くてなかなか確認できませんが、足を止め、極力気配を消して森の一部になりすまし、小鳥たちを追っていると、だんだんとその姿が見えてきます。

今回は、先日散策路の巡視を行った際に姿を見せてくれた小鳥たちを紹介します。

真っ白いお腹の小さな小鳥「雪の妖精」と呼ばれるシマエナガ。

かわいいフォルムがとても人気。小鳥界のアイドルで写真集も出ています。

たまに首を傾げたりして、しぐさもとてもキュートです。

シマエナガ:島柄長(島:北海道、柄:尾、長:長い)

アイヌ語:ウパチシリ(雪・鳥)

この個体はアイリング(目のまわり)がピンクなので幼鳥かもしれません。

ウトナイ湖でもよく姿を見せてくれる、ハシブトガラ。

頭の黒い部分が、帽子をかぶった装いのようです。

とてもすばしっこいのでなかなかじっくりみられませんが、かわいらしい小鳥です。

ハシブトガラ:嘴太雀(名前の由来:コガラより嘴が太いカラ)

混群といって、非繁殖期には他のカラ類と群れて活動しています。

良く通る鳴き声で、夏の散策路を盛り上げてくれる夏鳥のセンダイムシクイ。

鮮やかな緑色、白っぽい眉のラインがおしゃれな小鳥です。

センダイムシクイ:仙台虫食(鳴き声のチヨチヨが千代→仙台に置き換わって名付けられたとか)

鳴き声が特徴的で、チヨチヨビーと鳴き、「焼酎いっぱいぐびー」という聞きしが有名です。

私にはチヨチヨビール!!(おかわり!!)と聞こえます。

ウトナイ湖ではこれまでに250種以上の鳥類が確認されています。

都市部から近いのに鳥の宝庫という環境に、ウトナイ湖はとても奥が深いなぁ、と興味が尽きません。

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2021年08月18日中島ウォーク!

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 小松瑠菜

こんにちは! 洞爺湖アクティブ・レンジャーの小松 瑠菜です!

8月4日に洞爺湖町主催の「中島ウォーク」で環境教育活動に携わらせていただきました!

小学4年生〜中学3年生までを対象としたイベントで、

洞爺湖・中島に上陸後、まずは今年度リニューアルオープンした「中島・湖の森博物館」を見学しました。

↑お城みたいな船「エスポアール」に乗って、ついに中島に上陸!

まずは、火山マイスター・加賀谷にれさんの10分間おはなしをお聞きしました。

洞爺湖の水を抜いた時の地形がわかる図面をお見せいただき、

私たちが普段眺めている「中島」は、本当はもっと大きな島であることを学びました。

↑子どもたちにもわかりやすく説明してくださる加賀谷さん

その後、映像を鑑賞し、自由に見学をしました。

リニューアルした博物館に入り、子どもたちはわくわくしているようでした!

↑早く館内を見て歩きたい気持ちを抑えて、ビデオ鑑賞・・・

散策路(短縮コース)で「フィールドビンゴ」を実施しました。

博物館のマップで今回のコースを見たとき、「こんなに短いのか・・・」とがっかりしていた子どもたちですが、

実際歩いてみると、帰り際には「疲れたー!」と言う子がいるほど、充実した散策になったようです^^

↑フィールドビンゴの説明を受ける子どもたち

今回の散策では、子どもたちが率先してたくさんの昆虫や植物を見つけることができました。

見て・触って・嗅いで・・・自然を楽しむことができたようです。

↑子どもたちが見つけてくれた昆虫たち。何かをモグモグしている様子・・・

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2021年08月17日羊蹄山外来コマクサ駆除

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 小松瑠菜

こんにちは! 洞爺湖アクティブ・レンジャーの小松 瑠菜です!

7月下旬に、羊蹄山の外来コマクサ駆除活動に参加してきました。

※関係機関に許可を得て実施しています。

↑今回の活動で見つけたコマクサ

コマクサはとっても愛らしい姿をし、ファンも多いかと思いますが、

羊蹄山に生育するコマクサは、「国内外来種」扱いとなります。

↑イワブクロの群落の中に咲くコマクサ

今回の活動では、約10株駆除しました。

当初に比べると、かなり個体数が減りました。

↑コマクサがないか探す参加者

自然環境を可能な限り本来あるべき姿で維持するためには、利用者の皆さんのマナーやモラルが大切です。

下山後・散策後は靴底を洗う、人為的に種子を散布しないなど、できることはたくさんあります。

皆が自然に優しく、自然を楽しめると良いですね。

~おまけ~

●羊蹄山で見た植物

●羊蹄山で見た動物

※現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、天候不良・体調不良などの緊急時を除き、

宿泊目的の羊蹄山避難小屋のご利用はできません。

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2021年08月16日大平山の登山道及び高山植物の盗掘等の状況確認

支笏洞爺国立公園 洞爺湖 小松瑠菜

こんにちは! 洞爺湖アクティブ・レンジャーの小松 瑠菜です!

7月中旬に、大平山(北海道島牧郡島牧村)の登山道及び高山植物の盗掘等の状況確認をしに行きました。

大平山は支笏洞爺国立公園には含まれませんが、山頂より奥は、ほとんど人の手が加わっていない原生の状態が保たれている地域や優れた自然環境が維持されていることから、自然環境保全法に基づき「自然環境保全地域」に指定されています。

↑大平山で見た植物

道南地方には珍しい石灰岩露出地帯が広がり、日本の北限となるブナの天然林や、オオヒラウスユキソウなどの希少な石灰岩植生が数多く分布しています。特に、第2ピークより上にかけて多く分布していました。

↑オオヒラウスユキソウ

※近年、希少植物の盗掘や踏み荒らしが多発しています。

植物の採取は法律により禁止されていますので、ご注意ください。

※大平山はヒグマの生息地となっています。入山の際はご注意ください。

※山頂付近は経路が不明瞭となっていますので、ご注意ください。

植物への落石や踏み付け等を行わないよう、配慮しながら自然を楽しんでいただければと思います。

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2021年08月16日大好き、富良野岳❀

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

十勝岳連峰の南端、富良野岳は早くに火山活動が終わったため多種類の高山植物が咲き、十勝岳温泉から登るルートは登山口から標高差670mほどでピークに達することができるので、高山植物の開花がピークとなる7月は、全国からはもちろんのこと、登山初心者や長年大雪山に登り続けるリピーターも毎年登りたくなる幅広い世代から愛されている山です。

私もかれこれ15年以上、毎年かかさず登っています。

今年の6、7月は悪天で富良野岳に登る計画が流れ、やっと8月5日にパークボランティアの方々とセイヨウオオマルハナバチ防除活動のため富良野岳に登ってきました。

すっかりお花の盛りを過ぎているので、秋のお花に出会えたらいいな~と向かったところ・・・夏と秋のお花をミックスした50種以上もの高山植物に出会うことができました❀

富良野岳の斜面を覆い尽くしていたのが、ナガバノキタアザミとトカチフウロ。

 

頂上直下で満開だったのがカラフトイチヤクソウとムカゴトラノオ。

ムカゴトラノオは雄しべがピンクになります。

小さくて、よく見えない!!そんな姿もいじらしくて可愛い♡

 

目立つ黄色いお花たち

控えめに咲くお花たち

チングルマやコマクサなどの目を引くアイドルたちの出番は終えていましたが、急いでいたら見落とすほど控えめに、ジッと咲いているお花たちを見つけると、尊さで一つ一つ話しかけてしまい、なかなか歩みを進めることができません。正直なところ、あまりにも控えめなので、図鑑で同定していかなければ名前が思い出せないほど・・・(勉強不足です)。

この日、セイヨウオオマルハナバチはおらず、在来マルハナバチが忙しそうにミヤマサワアザミに潜り込んでいました。

普段は作業をするために急ぎ足で歩くことが多いですが、じっくり周囲の自然を観察しながら歩くと、新たな発見がまだまだあり、今まで見落としていた「はじめまして」のものに出会えて、大雪山は本当に奥深く、底なしに学ぶことがあって、こんなに豊かな自然に出会えてありがたい♡と心がホカホカになりました。

過酷な環境下で、たくさんの高山植物が力強く根を張り、ときには風の、ときには昆虫の力を借りて、様々な形で命を紡いでいる姿を見て、改めてその一つ一つを大切にしていきたいと感じました。そのためにももっと大雪山について勉強していきます。

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2021年08月13日雌阿寒岳の安全点検

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 鈴木達郎

こんにちは、阿寒湖管理官事務所の鈴木です。

5月26日(水)に足寄町役場・足寄観光協会・足寄山友会・林野庁と合同で雌阿寒岳登山道の安全点検を実施してきました。

今回の点検では利用者が安全に登山出来るように、道迷いや危険防止のための規制テープの張り替えや、火山活動に関する注意看板の立て替えを行いました。

雌阿寒岳には、雌阿寒温泉のそばに登山口がある雌阿寒温泉コース、オンネトー野営場のそばに登山口があるオンネトーコース、阿寒湖温泉街からフレベツ林道を少し上ったところに登山口がある阿寒湖畔コースのあわせて3つの登山道があります。

今回点検したのは、足寄側にある雌阿寒温泉コースとオンネトーコースの2つです。

参加者は2班に分かれそれぞれの登山道を点検していきました。私はオンネトーコースを担当することになりました。

オンネトーコースは、利用者が多い雌阿寒温泉コースに比べるとやや距離が長いものの、比較的勾配が緩やかで、低地では針広混交林の豊かな森を堪能することが出来ます。

登山口に入ってすぐ、エゾオオサクラソウやヒメイチゲなど春先~初夏に見頃を迎える可愛らしい草花が私たちを出迎えてくれました。

雌阿寒岳_エゾオオサクラソウ 雌阿寒岳_ヒメイチゲ

▲エゾオオサクラソウ(左)、ヒメイチゲ(右)

まだ本格的な高山植物の季節には少し早かったですが、この時期しか見られない花を存分に愛でながら歩みを進めていきました。

三合目付近には、岩穴の奥で薄緑の神秘的な光を纏うヒカリゴケが自生しているポイントがあります。ヒカリゴケは厳密には発光しているわけではなく、光を反射する特殊な構造の細胞を持つコケ植物です。

岩に差し込む日光を遮るようにすると光がよく見えるので、是非ご観察下さい。

オンネトーコースは、5合目を過ぎてハイマツ帯に入るまで阿寒の深い森の中を歩きます。

今回の点検で、つまずきそうな樹の根や道沿いの枯損木にはテープを巻いています。登山をされる際は景色だけに目を奪われず、周囲をよく注意して歩きましょう。

雌阿寒岳_ヒカリゴケ テープを巻いた枯損木

▲ヒカリゴケ(左)、テープを巻いた枯損木(右)

オンネトーコースの7合目あたりでは、両脇から茂ったハイマツで登山道はトンネルのように様変わりします。このハイマツ帯を抜けると一気に展望が開けます。

前方には雄大な雌阿寒岳がそびえ、右手に美しい円錐状の阿寒富士、振り返ると麓に深い群青色のオンネトーが見えてきます。

風は強かったものの、雲間に青空の映える作業日和の良い天気でした。

ハイマツのトンネル 雌阿寒岳7合目_オンネトー遠景

▲ハイマツのトンネル (左)、7合目から望むオンネトー(右)

雌阿寒岳_阿寒富士 雌阿寒岳_山頂

▲阿寒富士(左)、雌阿寒岳山頂(右)。

雌阿寒岳_防災看板立て替え作業

▲火山防災看板立て替え作業

現在の雌阿寒岳は残雪もすっかりなくなり、非常に歩きやすくなっています。山頂付近では、メアカンキンバイやメアカンフスマ、コケモモにガンコウランといった多様な高山植物が開花結実する登山のハイシーズンを迎えています。

入山される際は十分に注意して、天候・服装・装備等を確認の上、マナーを守って登山を楽しんで頂ければと思います。

今回ご紹介した雌阿寒岳登山道は、環境省Webサイトでも見どころや登山ルートを解説しています。ぜひこちらも合わせてご覧になって下さい。

(https://www.env.go.jp/park/guide/akan/recommend/01.html)

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2021年08月13日雄阿寒岳に登ろう!

阿寒摩周国立公園 阿寒湖 鈴木達郎

こんにちは、阿寒湖管理官事務所の鈴木です。

月日を少し遡って6月下旬頃、雄阿寒岳の登山巡視をしてきました。

突然ですが、登山口で下の写真のような機械をご覧になったことはありませんか?

登山者カウンター

こちらの機械は登山者カウンターといい、各登山道の利用者数を把握するために環境省が設置しているものです。阿寒湖の周辺では、雌阿寒岳の3つの登山道と今回ご紹介する雄阿寒岳登山道のあわせて4箇所に登山者カウンターを設置しています。

下の表は、設置した登山者カウンターで計数した昨年(令和2年)度の月ごとの登山者数をまとめたものです。黄色のグラフが雌阿寒岳、青色のグラフが雄阿寒岳の登山者数を表しています。

2020年度雄阿寒岳雌阿寒岳登山者数年間利用者数は雌阿寒岳登山者数10,501人に対し、雄阿寒岳は1,738人。

雄阿寒岳は雌阿寒岳に比べるとやや急峻であり、登山の難易度は高いため、年間利用者数は少なくなっています。しかし、頂上からの眺めは格別ですので、登山経験がある方や体力に自信がある方には是非おすすめしたい山の一つです。

雄阿寒岳_太郎湖夏 雄阿寒岳_太郎湖冬

雄阿寒岳の登山口を入って10分ほど歩くと、右手に太郎湖が見えてきます。太郎湖には阿寒湖の湖水が流れ込んでいるため、注意深く観察すればコイやアメマスなど淡水魚の魚影が見られます。

澄んだ湖底に静かに横たわる古倒木がなんとも趣深い美しい湖です。

(※右側の写真は湖底の緑が映える冬期に撮影したものです)

雄阿寒岳次郎湖夏2

太郎湖を過ぎ、さらに10分ほど歩くと登山道左下に次郎湖が見えてきます。次郎湖は流出河川などがなく、地下水で太郎湖や阿寒湖と繋がっていると考えられており、流れがほとんど見られないとても静かな湖です。

天気の良い日には水面が鏡面のように反射し、神秘的なひとときを味わうことが出来ます。

さて、太郎湖、次郎湖を過ぎると5合目辺りまで鬱蒼とした針広混交林が続きます。

こまめに休憩を取り、阿寒の森の豊かな自然を存分に味わいながら登山を楽しみましょう。

エゾアカガエル

登山道脇で見かけたエゾアカガエル。水場から結構距離があるはずなのに森の中を元気に飛び跳ねていました。

風穴

こちらは2~3合目辺りにある風穴。永久凍土が奥にあるらしく、年中冷たい風が吹き出してきます。

ヒカリゴケ

3合目付近の岩の隙間にはヒカリゴケが自生しているポイントがあります。よかったら探しながら登ってみてください。

雄阿寒岳高山帯

5合目から先は植生も針広混交林からハイマツを中心とした高山帯へと移り変わります。この辺りからパッと展望が開け、風も吹き込んで爽やかな気持ちで歩くことができます。

イソツツジ

ウコンウツギ

イソツツジ ウコンウツギ

エゾノクサイチゴ ハクサンチドリ
エゾノクサイチゴ ハクサンチドリ

ミネザクラ イワウメ
ミネザクラ イワウメ

高山帯では5合目までと植生ががらりと変わり、色とりどりの高山植物を見ることができます。足下には見頃を迎えたイソツツジやウコンウツギ、エゾノクサイチゴ、ハクサンチドリ、頭上にも可愛らしいミネザクラが咲いていました。

さらに山頂付近の岩場では大量に咲き誇ったイワウメが私たちを出迎えてくれました。

今回紹介したのは主に6月中旬から7月下旬の初夏に見頃を迎える高山植物ですが、春~夏の雄阿寒岳はこのように様々な高山植物が楽しめ、秋口に差し掛かってくると、今度は息を呑むような美しい紅葉を楽しむことができます。

雄阿寒岳山頂から阿寒湖沼群 雄阿寒岳山頂部から阿寒湖

雄阿寒岳の山頂から見える風景です。山頂からは阿寒湖の湖沼群はもちろん、遠くの屈斜路湖まで見渡せる大パノラマが堪能できます。

雄阿寒岳は登山難易度が高く、5合目を過ぎるまでは樹林の中をひたすら登る険しい道のりとなりますが、その分、山頂に辿り着いた時の達成感は格別です。

雌阿寒岳とはまた違った良さのある山ですので、是非登山の候補として検討してみてください。

入山される際は十分に注意して、天候・服装・装備等を確認の上、登山をお楽しみください。

今回ご紹介した雄阿寒岳登山道は、環境省Webサイトでも見どころや登山ルートを解説しています。ぜひこちらも合わせてご覧になって下さい。

(https://www.env.go.jp/park/guide/akan/recommend/02.html)

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2021年08月13日「アトサヌプリ(硫黄山)」という山

阿寒摩周国立公園 川湯 武山栞

阿寒摩周国立公園管理事務所の武山です。

記録的な暑さの日が続きましたが、今回の記事もあつい話題となっています。川湯温泉の源泉である「アトサヌプリ」(=硫黄山)の調査登山に行ってきましたので、紹介させていただきます。

「アトサヌプリ」はアイヌ語で「裸の山」という意味。山から噴出される火山ガスの影響で、噴気孔の周りでは植物がほとんど生育できません。過去には硫黄採掘も行われていたことがあり、その形跡が今でも確認できます。

↑アトサヌプリの麓の森林内にこんなものが。当時の硫黄採掘時に利用していた鉄道の線路を木が取り込み、そのまま成長しここまで持ち上がったようです。年月の経過が感じられます。

ほぼ平地の森林を抜けると、一気に雰囲気が変わり、登りになります。なんだかとても高い山に来た気分...!でも実際は、写真の場所で標高200mくらいなので驚きです。↓

場所によっては、火山ガスの影響により低標高にも関わらずハイマツが生育していますが、後は岩ばかりです。でも不思議なことに、登山中、新鮮なキツネのフンやシカのフンをいくつも見かけました。彼らは一体ここへ何をしに来るのでしょうね。


↑三角点337mが今回の調査コースの頂上です。(本当の山頂には現在は登ることはできません。)

遠くに川湯温泉街と、それに続く道路が見えます。左奥にちらっと写っているのは屈斜路湖です。低い山なので、広い土地や湖を一望!...とはいきませんが、駅前や温泉街の建物、畑や牧草地が広がっているのを見下ろせます。川湯に住む人々の営みを感じられるスポットです。タイミングが合えば、釧路と網走をつなぐJR釧網本線の気動車が走るのを見られるのだとか。

この調査登山は7月初めでしたので比較的涼しかったですが、日差しを遮るものがない上、アトサヌプリ特有の白い砂からの照り返しもあり、想像以上に暑かったです。すぐにでも温泉に入りたくなりました。

ここまでアトサヌプリ登山の魅力について書かせていただきましたが、危険性についても知っておくことが大切です。アトサヌプリは活火山で、熱い火山ガスが常に噴気孔から吹き出しています。また、過去には落石事故、滑落事故など痛ましい事故も起こりました。そのため、一度は立入り禁止となりました。

ですが、現在では認定ガイド付き限定でトレッキングができるツアーが企画されており、今年度も開始に向けて調整中です。ツアーが開始されたらぜひ挑戦してみてください。ガイドさんの興味深いお話を聞きながら歩くことで、下から眺めるだけでは分からない、硫黄山の魅力をより感じることができると思います。


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