ACTIVE RANGER

アクティブ・レンジャー日記 [北海道地区]

北海道地方環境事務所のアクティブ・レンジャーが、活動の様子をお伝えします。

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2021年9月

20件の記事があります。

2021年09月29日見えるかクイズ

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

ゼニガタアザラシの調査は、サケ定置網での漁業被害やアザラシの動きを確認したり漁網の改良を施している乗船調査のほか、ドローンを用いた個体数調査を実施しています。

ゼニガタアザラシは海で泳ぐだけでなく、岩礁に上陸する習性を持っているためいくつかのアザラシが岩礁に上陸しやすい条件を満たした日時を見極めドローンを飛ばしています。

アザラシが上陸場としている岩礁は、日高山脈の最南端。山脈の端が海に沈んでいく場所です。

キレイ~!

えりもで風速10m/s 以上の日は年間260日以上と言われており、ドローンを飛ばせる条件の日はとても少ないです。強風の中無理に飛ばせば墜落の可能性があり、海に落ちてしまっては回収も出来ない上とても危険なため細心の注意を払っています。

風が強いことに加え、霧がかかりやすのも えりも の特徴です。

↓濃霧の日に撮影した写真がこちら

写真の左側、白っぽい米粒のような楕円形のもの。アザラシが上陸している様子が分かります。しかしこれだけ霧が濃ければ見落としも多くなり、よいデータとは言えません。

快晴かつ風が弱い日時。これがドローン撮影には適した条件と言えます。

えりもではこれらを満たす日が少ないので、アザラシが岩礁に上陸しやすい条件のほか普段から天気予報や風向きを気にして少しでも撮影によいとあらばドローン撮影を試みています。

↓よい条件で撮影できた日

アザラシを驚かさないよう、海面から60mの高さを保っています。

アザラシには上陸しやすい場所があるようで、写真のように多く上陸している岩礁もあれば1頭も上陸しない岩礁もあります。

個体数調査で撮影した写真の中から「アザラシ見えるかクイズ」。

次の写真には、何頭のアザラシが上陸しているでしょうか...!

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正解は「13頭」。

岩礁とアザラシの体毛はとても似ていて、岩礁が濡れている時はアザラシの体毛も濡れていて同じような色をしています。また、日向ぼっこの後、体毛が乾くころには岩礁も乾いてこちらもまた同じような色になるため見分けが難しいのです。

私は、色だけでなく、頭部や尾部、ヒレのバランスを見ながら判断しています。みなさんもぜひ、アザラシの形をイメージしながらもう一度見てみてください♪アザラシの見分けが上手くなるかも?!

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2021年09月29日帯広自然保護官事務所に着任しました

丸岡梨紗

 はじめまして。

 9月1日に、帯広自然保護官事務所にアクティブレンジャーとして着任した丸岡梨紗です。

 帯広自然保護官事務所は、日高山脈襟裳国定公園及び周辺地域の国立公園指定に向け、自然環境や登山道・園地などの利用施設の把握、利用状況の調査、国立公園の指定に向けた関係自治体・地域の関係者との調整やシマフクロウ・タンチョウ等の希少野生動物の保護増殖に関する業務を行うため、今年度に開所された事務所です。

 私は、日高山脈が大好きで、縦走から冬山、沢登りまで様々な形で日高山脈を歩いており、登っていない山は、残り中の岳、ナメワッカ、1823峰の三山です。

これから日高山脈の魅力や、山や自然の情報を発信していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

  

 先週、平取町のご協力のもと、コロナ下で閉鎖されている幌尻岳の額平川登山道の調査を行いました。

 幌尻岳は日高山脈の最高峰で100名山にもなっておりますが、百名山最難関と呼ばれているほど、難関・健脚者向きの山ですが、登山者に人気が高い山です。幌尻岳の登山道は3つのルートがありますが、額平川ルートは一番人気の高いルートです。

 額平川の水量は、渇水の影響でいつもより少なく徒渉は楽でしたが、例年は膝上~腰位までの水量があり、毎年遭難者も出ます。

~沢歩きワンポイントアドバイス~

☆沢歩きでは、ストックをついてバランスをとり、ぬめりやすい色が変わっている石を避けて、平らなところに足を置きましょう。

☆徒渉の際は水量の少なく、流れが遅いところを選びましょう。

【渡渉の様子】

 登山道調査の途中、登山道沿いに、笹の山のようなものを発見。土まんじゅうがありました。シカを食べる時、ヒグマはしばしば死体を土や落ち葉でおおって土饅頭のようにかくして食べ続けます。シカの死体が見あたらなくても、腐肉臭がすれば要注意です。また、近くにヒグマが見えなくとも、食べた跡があれば、近くに潜んでいます。

 ヒグマとの事故を回避するためには、鈴や声を出して事前にこちらの存在を知らせたり、ヒグマの臭いや威嚇音に気をつけることが大事です。また、万が一ヒグマに出会ってしまったら以下のことに気をつけましょう。

【土まんじゅう】

~ヒグマに遭遇した際の注意点~

☆遠くにクマがいることに気が付いた場合は、落ち着いて静かにその場から立ち去りましょう。

☆近くにクマがいることに気が付いた場合は、クマを見ながらゆっくり後退するなど、落ち着いてクマとの距離をとりましょう。

☆至近距離でクマと突発的に遭遇した場合は、クマによる直接攻撃など過激な反応が起きる可能性が高くなります。顔面・頭部が攻撃されることが多いため、両腕で顔面や頭部を覆い、直ちにうつぶせになるなどして重大な障害や致命的ダメージを最小限にとどめることが重要です。クマ撃退スプレーを携行している場合は、クマに向かって噴射します。

☆親子連れのクマと遭遇した場合は母グマが攻撃行動をとることが多いため注意が必要です。子グマが単独でいるような場合でもすぐ近くに母グマがいる可能性が高いため、速やかにその場から立ち去りましょう。

☆クマ撃退スプレーはクマを十分引き付けてから顔に向かって噴射することが重要です。事前に使い方を練習し、いざという時にすぐ使える場所に携帯することが必要です。

※詳細は「クマ類の出没対応マニュアル:R3年3月 環境省自然環境局」

https://www.env.go.jp/press/109446.html

をご参考ください。

 さて、肝心の幌尻岳はといいますと、心配していたお天気は好転し、ピパイロ岳からエサオマントッタベツ岳まで日高の山並みも見渡せ、幌尻岳の雄大な北カール(氷河地形である圏谷)は相変わらず美しく、紅葉が始まっていました。

  

【幌尻岳】           【幌尻岳山頂より】      【アイヌキンオサムシ】

     

 日勝峠から襟裳岬まで続く、造山運動により作られた日高の稜線は急峻で美しく、いくつものカールをもち、地質学的にも世界的に貴重なかんらん岩が分布しており、それに付随して貴重な植物が見られる等、国立公園の資質にふさわしい自然環境を有しています。

 日高山脈は、沢登りや林道歩き、藪こぎがベースになっている場所も多く、なかなか上級者向けの山が多い印象ですが、利用者に応じて登りやすい山や登山以外の日高の楽しみ方などを発信していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。

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2021年09月28日今年の花シーズンを振り返って

利尻礼文サロベツ国立公園 津田涼夏

みなさん、こんにちは。礼文島アクティブ・レンジャーの津田です。

長かった猛暑もおさまり、礼文島は秋の空気に変わってきました。

色鮮やかな夏から一転し、山やコースでは秋の匂いが漂います。


今年の花シーズンは、暑さがすごかったものの

エゾカンゾウやレブンシオガマ、チシマフウロの群落が斜面を輝かせていました。

「高山植物の監視員さんとこれは50年に一度の爆咲きだ!」と盛り上がるほどでした。

 

毎年めぐり来る花の季節ではありますが、

今年は冬の豪雪、6月に霧も少なく、7月と8月には、例年にはない記録的な猛暑...季節感覚が掴みづらい年でした。私たち、人も振り回される猛暑に植物たちはそれ以上の影響がでたのではないでしょうか。

通常より、早い花シーズンの推移は例年にない気象条件が影響したのかもしれません。

年によって、異なる気象条件に対応しながら毎年咲く高山植物たちが、今後どのように影響していくのか、とても気がかりです。

秋分を過ぎ、みるみると日が短くなってきました。朝晩も冷え込むようになりましたので、歩道の散策の際は十分な防寒対策をお忘れ無いよう、お気を付け下さい。

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2021年09月27日利尻礼文サロベツ国立公園だより(4月・5月号編)

利尻礼文サロベツ国立公園 福井翔太

少しずつ秋の肌寒さを感じ始めたサロベツのアクティブレンジャーの福井です!

今回は稚内自然保護官事務所で発行している『利尻礼文サロベツ国立公園だより』について紹介します!

『利尻礼文サロベツ国立公園だより』とは利用者や観光客の方へ向けて、稚内自然保護官事務所のスタッフが季節の旬や魅力をお伝えしている情報誌です。便りをきっかけに利尻・礼文・サロベツそれぞれのエリアへ足を運んで頂ければと思います。!

季節は過ぎましたが今回のAR日記ではこれまでに発行した4月号と5月号を紹介しつつ、サロベツのアクティブレンジャーとしてサロベツの魅力や旬、撮影している際の出来事の発信を試みたいと思います。

●4月 春の足音

私自身は着任したての4月のサロベツは国立公園管理官が撮影と記事を書いてくれました。

湿原センター周辺には営巣しているハクセキレイがいますが、もしかすると4月号の写真のハクセキレイかもしれませんね。

より多くの色づいた草花を見るには少し早いですが、サロベツから見るまだ雪が残る利尻山の眺めも素敵です。野鳥はマガンやヒシクイの群れが確認できます。

●5月 花の便り

5月の利尻礼文サロベツ国立公園はつぎつぎと花々が咲き始めました。

このとき、サロベツで撮影したのはショウジョウバカマです。サロベツの木道を巡視していて私が最初に開花を確認した花でした。日が当たるときに花を開くタテヤマリンドウを見るにもいい季節です。4月には聞こえなかった渡り鳥の声も聞こえました。

利尻礼文サロベツ国立公園だよりは毎月1日(6月から8月は15日にも発行)、

稚内市内だけでなく利尻島、礼文島、更には豊富町、幌延町、浜頓別町など役場、駅、空港、ホテル、港など、約150ヶ所に掲示しています。

道北に訪れて便りを見つけた際には、ご確認と共にぜひ『利尻礼文サロベツ国立公園だより』に掲載されている利尻・礼文・サロベツへ足をお運びください!

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2021年09月27日アメリカオニアザミ大群落

釧路湿原国立公園 佐野 綾音

 皆さまこんにちは。

 各地の国立公園では外来生物(動植物)の動向を注視しています。

 外来種は、元々はその場所に生息(生育)していなかった動植物ですが、食用や園芸用など人為的に取り入れられたり、人や動物、自然界の営みにより運ばれたりと、様々な理由を経て、今ではその地に生息(生育)しています。

 外来種の一種であるアメリカオニアザミは、かつて北アメリカから輸入された牧草や穀物に混じって北海道に入り、そののち広く分布するようになった外来植物ですが(ちなみに、アメリカ・・・と名前はついていますがヨーロッパ原産のようです)、釧路湿原国立公園内でも局所的に生育しており、景観や植生保護の観点から特定の場所では積極的な防除活動を行っています。最近釧路湿原でも増えているエゾシカは葉のトゲを嫌って食べないため、この植物は残ってしまうのです・・・。食べてくれればいいのに・・・。

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【アメリカオニアザミの生育状況を確認】 【開花し始めのアメリカオニアザミ】

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写真左【抜き取りの様子(鋭いトゲ対策として革手袋を着用しています)】

写真右【根の抜き取りの様子】

 毎年防除活動を行っている場所では、感覚的(視覚)にも、実数的(防除数)にも減少しており、局所的な地における防除活動は、一定の効果があるのではないかと関係者間で実感していました。

 そんな矢先、国立公園内の巡視をしていた際、これまで気づいていなかった場所でアメリカオニアザミの大群落を発見しました。

 衝撃的な情景にアクティブレンジャー2人で目が点になってしまいました...。

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【アメリカオニアザミ大群落(多くのものはすでに綿毛(黄白色)となり種子分散中でした...)】

 その場所は、エゾシカが休んだ跡など痕跡も多い所で、エゾシカにより運ばれてその地に根ざし、生育数を増やしたのだろうなと想像しました。

 外来種云々はさておき、植物の生命力を感じつつ...今後どうしていくかを考えなければと思いました。

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2021年09月27日漁業とアザラシの関係

えりも自然保護官事務所 熊谷 文絵

みなさんこんにちは。

えりも自然保護官事務所の熊谷です。

前回の日記で、えりも町で秋サケ定置網漁が解禁になったとお知らせしました。

始まったばかりの水揚げ内容は、サケよりもブリが上回っていましたが、漁が始まり約1ヵ月。日を追うごとにサケが増えてきました。これは喜ばしいことですが、サケと同時に増えてくるのが「トッカリ喰い」。

アイヌ言葉でアザラシのことをトッカリと呼び、えりも地域に生息しているゼニガタアザラシによる漁業被害を「トッカリ喰い」と呼んでいます。

多くが漁業関係者であるえりも町民にとって、漁業被害は生活に直結する問題且つ近年の不漁にあっては気にせざるを得ない問題です。

▼数年前までのトッカリ喰い(ほとんどは頭部がない状態です)

▼近年のトッカリ喰い(胴部分が喰われボロボロ...サケもブリも被害を受けています)

 

被害の様子に変化が見られます。

サケの頭部がなくなる被害がほとんどだった数年前に比べ、ここ2年で頭部のみの被害は減り胴部分への被害が増えました。また、ブリへの被害が目立つようになったのもこの2年。

知能の高いアザラシがサケもブリも上手く捕まえられるようになったのか、海況が変化していることでアザラシの餌となる資源が減り定置網に執着しているのか...下記のお話からも、後者の理由が有力ではないかと考えています。

漁師のみなさんが言います。「すっかり海が変わってしまった」

これはサケが獲れなくなったことを総じて言っているものですが、その背景には

◆本来、秋定置網漁の前半(9月)に最盛期を迎える地域だけれど、9月後半になっても気温

水温共に高い状態で、サケが来遊する適温に定まらない

◆水温上昇に伴い、獲れる魚種が変化している。(昔は獲れなかったブリがここ3年でサケより目立つ漁獲量に。今年にいたっては暖かい海域にいるはずのカジキがかかることも...)

◆かつては海をみれば魚が跳ねていたけれど、そもそも魚を見かけない

記録的不漁!と言われた年から5年が経ちますが、今も不漁が続いています。

このような状況で、上記写真のように毎日ゼニガタアザラシが被害をもたらしているとなれば漁師の気持ちも昂りません。

えりも自然保護官事務所の業務としては、えりも地域に棲むゼニガタアザラシがもたらす漁業被害軽減を目指しています。漁業とアザラシがどんな状態であることが望ましいのか、取り巻く環境が変化する中で対応していくことには難しさもありますが、冷静に状況を把握することも必要で毎日の乗船調査で魚・海・アザラシの状況の把握、漁網の改良に取り組んでいます。

休んでいる野生のゼニガタアザラシをすぐ近くに見られるのは珍しく、少し観察していると、動きには個体差がありとても可愛らしいです。日本一の生息地・繁殖地という環境があることも、誇らしいことだと感じます。

引き続き、漁業にもアザラシにもよい状況とはどう在ることなのか、考えながら取り組みたいです。

漁業が盛んで野生動物の生息地でもある地域にはこのような課題があることを、まずはみなさんにも知っていただけたらと思います。

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2021年09月24日We all live in the Earth

大雪山国立公園 渡邉 あゆみ

こんにちは、東川管理官事務所の渡邉です。

先日、東川町内の小学5,6年生に、東川町の生き物と環境問題について出前授業をする機会がありました。

授業のタイトルは【We all live in the Earth~大雪山に暮らす生き物とわたしができるエコプラン~】

「大雪山に暮らす生き物を学び、自然環境問題について課題意識をもち,自分にできるエコを考えてみよう」がテーマです。

はじめに先生と打合せをしたときに「生徒はみんな東川が大好きで、東川に誇りを持っている。」と仰っていました。

では「みんなの誇りでもある町の自慢【お米】【旭岳】【雪】。この3つが、今と同じ暮らしをしながら、50年後も自慢と言えるだろうか?」と、少しドキッとさせる質問を投げかけ、東川で起こっている環境問題や地球温暖化の影響をクイズにしたり、私たちができるエコ活動のお話をしました。

続いて、最近ニュースで連日報道されている「市街地に出てくるヒグマ」について。

ヒグマに関するクイズを出しながら、本来のヒグマの生態を紹介し、ヒグマがなぜ増え、山から下りてくるようになったのか。山の豊かさの象徴であるヒグマを"悪者"とせず共存していく方法や、ヒグマとの事故を起こさないために私たちにできることについて、お話しました。

ヒグマが一時絶滅しかけたことや、ヒグマの生態など知らないこともあったようで、ただ怖いだけだったヒグマの印象が少し変わったかな?と話しながら感じました。

後日、第二弾として、生徒たちが考えた【東川の自然を守るためのエコプラン】の発表会があったので、私が生徒たちに伝えた内容は届いているだろうか・・・とドキドキしながら聞きに行ってきました。

先生が発表前に「笑顔で、アイコンタクトをしながら、ハキハキと」とアドバイスしたポイントを守り、学習している英語やSDGsに絡めた内容を交えての堂々とした発表で、今の小学生はたくましいし、頼もしい!と関心しきり。

生徒たちが発表したエコプランは「動物はとてもデリケートで、私たちに害のないものはむやみに殺さず見守っていく」「50年後の東川を守るために、マイバッグを持ったり、ポイ捨てはしない。」「私もレンジャーになりたい」など嬉しい発表などもあり、今回の授業をきっかけに、自然環境保護への関心が芽生えて、地球に優しい生活が日常の一部になって、みんなで東川の自然を守っていけたら嬉しいです。

これからの時代を担う若い世代への負担を減らし、恥ずかしくなく、胸を張ってバトンを渡せるように、私たち大人もコツコツと、できることからはじめていこう。

【かかとを縫った愛用の靴下を紹介中】

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2021年09月22日スノーモビルによる荷上げ2021編

大雪山国立公園 忠鉢伸一

こんにちは大雪山国立公園管理事務所の忠鉢です。

9/11当麻乗越にて、木道を設置作業に立ち会った時の様子をお伝えしたいと思います。

以前AR日記でお伝えした、スノーモビルを使った資材荷上のその後です。

以前の日記も良かったら見てください。

2020.3月「スノーモビルを使った荷上げの調査」

この木材はスノーモビルを使って今年の3月に荷上げしたものです。

大雪山は雪解けが遅いため、登山道が乾く8月下旬~9月上旬が登山道の整備に適した季節となります。

木道を作る角材は1本約15kgあります。この仮置き場から各設置場所へ数100メートル移動させるだけでも一苦労ですが、登山口から約5km位離れたこの場所に人力で運ぶとしたら途方もない労力と時間が掛かるでしょう。

令和元年度からスノーモビルでの運搬ルートや手法の調査を続けてきましたが、今年の春に初めて木材の運搬をする事ができました。

スノーモビル数台のチームで行われたこの調査は、スノーモビルの運転技術のみならず、天候、ルート読み等、山行に適した知識や能力も必要であり、何よりも運搬作業が可能かどうか、重要なのは現地の雪の状態です。パウダー雪では運搬には適さないし、溶けすぎていても樹林帯の走行が難しくなってしまいます。

調査の結果、資材運搬は気温が上がり始めた3月が最も適した時期だとわかりました。

     

当麻乗越付近での資材運搬の様子(2021年3月)

(この作業にあたり、環境省が道有林の入林申請を行い、また国立公園内の乗り入れ規制区域でのスノーモビル使用手続きを取りました。許可無く国立公園内にスノーモビルの乗り入れ規制区域に入ることは禁止されています。)

登山口から遠いと日常的な補修整備ができずに、登山道の浸食を止めることができません。

資材不足が登山道の維持管理を難しくしていた部分もあり、今年のスノーモビルでの荷上げは、今後大雪山の登山道整備の方法を変えていく可能性があると期待しています。

当麻乗越から(2021.9月)

当麻乗越への登山道には高層湿原や、秋は綺麗な紅葉をみることができる場所が多くあり、旭岳や愛別岳の展望も良い素晴らしい場所です。

歩きやすい木道が整備されると、ぬかるみを避けて法面や植生の上を歩く登山者の踏圧による侵食が軽減されます。木道を設置する事で整備は終了ではなく、設置してからの管理がとても重要なため、巡視の際に経過の観察をし、侵食状況や木道の不具合を点検する作業が始まります。

 

今回は全部で13基の木道を制作し、水がたまってぬかるんでいる場所や侵食が進みそうな箇所に敷設されました。

一度に大きな施工を行ったために、場合によって生態系が変化してしまうケースもあり、今後の整備としては、最低限の整備をしつつ現場を良く観察しながら、臨機応変に整備方法を見直していくやり方が望ましいと思われます。

今回の試験的な試みが成功して、色々な地域でスノーモビルが活用されるようになり、今まで資材確保が難しくてできなかった整備が進むことによって登山道が快適になったら良いですね。

登山の際は、登山道整備した箇所を観察しながら歩くのも面白いですよ。

今後の整備後の経過もAR日記でお伝えしていけたらと思います。

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2021年09月17日今シーズン見た面白い生き物たち

大雪山国立公園 入江瑞生

大雪山国立公園では少しずつ紅葉が進み、短いグリーンシーズンの終わりを迎えようとしています。

さて、今シーズン見た面白い生き物たちを皆さんに紹介したいと思います。

ナガバノモウセンゴケは食虫植物の一種で貧栄養の湿地に生育します。葉の表に紅色を帯びた長い腺毛が多数あり、粘る液で小虫を捕らえ消化液で溶かして栄養としているそうです。下の写真は何が起こっているか皆さんわかりますでしょうか?

モウセンゴケに2匹のトンボが捕まっています。

粘液には2匹も捕まえることができる力があったのかと驚かされました!!

今までは、下の写真のように

小バエが捕まっているところは見たことがありましたが、このサイズの小虫ぐらいまででした。

一度気になって湿原を歩くたびにモウセンゴケの観察を始めると、他の場所でもトンボが捕まっていました。朝露のように小さな滴の粘液でどのくらいのサイズの虫を捕まえることができるのか気になりますね!

どこかのアニメで出てきそうな感じでかわいいですよね!頭部のオレンジに愛らしい目!!

見た瞬間かわいすぎて思わず写真を撮ってしまいました。

ハチ目ハバチ亜目という種類の幼虫ではないかと思います。日本に生息するハチの種類は4,000種以上とも言われておりこれ以上同定することはできませんでした。ハバチの仲間は他の動物や人を攻撃するための毒はもっておらず、群れも作らないそうです。そのため初めてこの幼虫を見たときハチの仲間だったとは気づきませんでした...


私は木です。

登山道を歩いていると、あたかも木に同化していると思っているようなエゾライチョウに会いました。登山道に沿って少しづつ近づいても変わらずこのポーズ。

微動だにせずじっとこちらの様子をうかがっていたので、エゾライチョウが逃げるまで待つのではなく、私たちが先に去ることにしました。

エゾトラマルハナバチが夢中になってサワアザミの蜜・花粉を集めていました。サワアザミには蜜が多いのか長いことどの個体も花にしがみついていました。アザミが下向きに咲くのでマルハナバチの調査をしていなければ気づきませんでした。好きな花があるのか、多くのマルハナバチはアオノツガザクラから蜜を集めていましたが、エゾノコザクラやチングルマからしか蜜を集めないというマニアな個体もいるようでした。

マルハナバチの働き蜂は、一日に2匹のハチを育てるだけの花粉を集めると言われており、大忙しに蜜を探して飛び回っています。どのような世界が彼らにあるのか少し覗けたような気がしました。

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2021年09月16日宮島沼の秋の始まり

苫小牧 大久保 智子

こんにちは、野生生物課の大久保です。

札幌は、木々がちらほらと色づき始め、エゾリスたちも冬支度に備え、餌集めに大忙しです。

宮島沼周辺も黄金色に染まった稲の刈り取りが始まり、

沼でも今シーズンの初雁(今年生まれの幼鳥を連れたマガン一行)が9月13日に確認され、渡り鳥がやってくる時期になりました。

8月下旬に行った際には、のんびりとした風景が広がっていて、賑やかな渡りのシーズンとはまたひと味違う宮島沼の様子でした。

たとえば、カンムリカイツブリ家族の滞在。

真ん中が成鳥で左右が幼鳥です。幼鳥の顔には白黒のシマ模様があります。

頭頂に短い冠羽があるのが名前の由来です。

そして別の日にはカルガモの親子。子どもを7羽引き連れて沼を横断中。

春に話題になる光景ですが、この家族をみたのは8月下旬でした。孵化してから2ヶ月ほどで飛べるようになるということなので寒くなる前に大きくなるといいのだけれど。

この日は他にも数羽のカルガモたちがくつろいでいました。

秋が深まるまで、それぞれの家族が子育てできる環境の宮島沼ですが、

これからは、渡り鳥が冬に備えて本州へ南下する途中で、休息とエネルギー補給のために立ち寄り、たいへん賑やかになります。

なお、渡り鳥シーズンに合わせて宮島沼水鳥・湿地センターでは、アクティブ・レンジャー写真展を開催しています。ですが、9月30日まで北海道に緊急事態宣言が発令され、宮島沼水鳥・湿地センターの利用は美唄市民に限定されています。温かい手作り感満載の展示物が多いセンターでのAR写真展は、ほのぼの暖かい空気に包まれていてお勧めなのですが、こういった状況では仕方がありません。AR写真展はインスタグラムでも開催していますので是非こちらをご覧ください。

https://www.instagram.com/hokkaido_active/

宮島沼がある美唄市では「人の流れを抑制することが重要である」としています。

渡り鳥の観察は10月に渡り鳥のピークを迎えますので、緊急事態宣言の解除までもう少しお待ち下さい。

渡り鳥の朝晩の飛び立ちや集結する様子は、心動かされるものがあり大変人気ですが、日中のおしゃべりしてまったりしているマガンたちの姿もなんともいえない休息日の顔を見せてくれます。解除後は観察での密を避けられる、人が比較的少ない平日もしくは日中の宮島沼をおすすめします。

最新のマガン情報はこちらMIYATOMOをご覧ください。

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